砲撃開始
「お、ようやくボス突入か?」
この状況でものんきに釣りをしていたお父さんが戻ってきた。
りょーちゃんも武器を構える。
「ずっと後方のほうがよかったのですが……」
yagenさんも釣りざおで応戦準備。
この船にいる人たちはみんな凄腕メンバーだから、そこまで心配はいらないと思う。
いざとなったらボクが守ろう。
先行していた船を追い抜かし、ボスの眼前に迫る。
『おい、旗艦が突っ込むなwww』
『幼女みるく自重しろw』
『やりやがったwww』
『天使にもしものことがあったらどうする気だ!』
『これだから幼女みるくは』
『正直やると思ってた』
『まあ、幼女みるくだし……』
『勝手に自爆するのは構わんがSENRIちゃんを巻き込むのはやめろ!』
『おぱんつ集団進路塞いでくれ!』
『やつらの暴走を止めろ!』
『止めるどころか一緒になって突撃してる』
『wwwww』
『草』
『ですよねーw』
『すーぐ共鳴する』
『あの野郎どもwww』
『おぱんつだからね』
『5町のやつらに協調性求めるほうが間違ってる』
『5町の中でも特にアレなギルドだからなぁ……』
『ええい、もうやるっきゃねぇ!』
『砲撃開始ぃ!』
『合図が違う!』
『天使クンカクンカ!』
『天使クンカクンカ!!』
『天使クンカクンカ!!!』
一斉に放たれる艦隊砲撃。
ボスに命中して煙を上げる。
「よーし、突っ込めー!」
「宴の時間だー!」
「ぬるぬるをぶっかけるぜー!」
「うぉおおおおおお!」
「クンカクンカ!」
「クンカクンカ!」
水しぶきに紛れて近づき、白兵戦を仕掛けていく。
ボスに攻撃を始めると、大量の取り巻きのモンスターが出現した。
たちまち甲板の上が大混乱に。
「いくぜー! yagen!」
「できれば戦いたくないのですが……」
「おお? 敵強いぞ?」
「さっき釣ったサハギンと色が違ってませんか?」
「そういや、なんか赤いな」
甲板に飛び込んできたサハギン。
名前が『エサを横取りされて激昂したサハギン』になっている。
海底の生存競争は大変らしい。
動きが激しくなって、対処が難しくなっている。
「ぬぉおおおお!?」
吹き飛ばされて甲板に叩きつけられるお父さん。
その一撃だけで根性スキルが発動していた。
攻撃力も上がっているようだ。
『イィー!』
サハギンがボクのほうにやってきた。
お父さんにヒールをかけつつ、他の人の邪魔にならない場所へ誘導する。
「このっ!」
yagenさんが釣りざおで攻撃する。
ぴょろ~~~んっ。
口の端に釣り針に引っかかり、きれいな弧を描いて飛んでいくサハギン。
モンスター相手にも通じるらしい。
狙って相手を移動できるなら、かなり強いかも。
「ありがとうございます」
「いえ、それよりも敵の数が……」
ざぱーんっ!
ざぱーんっ!
ざぱーんっ!
次々と乗り込んでくる。
りょーちゃんにお願いしたかったけど、すでに他のモンスターと戦っていた。
こっちに来る余裕はなさそう。
周りの人たちも手いっぱいだし、自分たちでどうにかするしかない。
ざぱーんっ!
ざぱーんっ!
ざぱーんっ!
「おー、釣り糸垂らさなくても勝手に釣れるのはいいねぇ」
「よくないですよ……」
お父さんたちが囲まれる。
ボクも攻撃に参加して数を減らそうとするけど、手数が足りない。
対処しきれないサハギンが目の前まで迫ってくる。
金魚のエサですら争奪戦が発生する海底の食料事情。




