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小部屋

 今までと同じような小部屋。

 その中央。

 ダークアーマーが1人で立っている。

 他にはいないのかな……?

 部屋の隅まで見回すけど、隠れるような場所はなかった。

 ここもボーナスステージなのかも?


 タッ、タッ……。


「?」


 どこからともなく、物音が聞こえてくる。

 音の大きさからして、この部屋の中だと思うけど……。


 タッ、タッ……。


「??」


 何も動いていないのに、音が聞こえてくる。

 ダークアーマーは中央で仁王立ち。

 りょーちゃんも、短剣を構えたまま動いていない。


 タッ、タッ……。


「……」


 少しずつ、音が近づいてきている。

 何かいる。

 姿は見えないけど、この空間のどこかにいる。


 きゅぴーん。


「!」


 スキル発動音。

 すぐ近くにいる。

 後ろ……いや、前?

 音の方向が、いまいちはっきりしない。

 部屋に反響しているというか……もしかして、複数に囲まれている?


『ゼァッ!』


「!?」


 突然、真横に黒い影が現れた。

 短剣を振りかぶり、のど元を狙うように飛び込んできて……。


 スパッ。


 りょーちゃんに叩き落とされる。


「まだくるぞ」

「う、うん!」


 すぐにロッドを構えて、見えない相手に注意する。


『ゼァッ!』


 きた!

 斜め後方。

 振り向きながら、ロッドを叩きつける。


 ぺちん。


 先手を取れた。

 振りかぶるモーションがあるので、攻撃発生速度は遅いらしい。

 接近されると不利なので、なるべく距離を取って……。


『ゼァッ!』


「!?」


 まだいた。

 攻撃の硬直が残っていたので、迎撃できない!


「っ!」


 逃げなきゃ……と思ったら、体が動いていた。

 転がりそうになりながら、横へと飛ぶ。


 スカッ。


 ほんの紙一重の距離で、短剣が振り下ろされる。

 通常攻撃の硬直は、ステップでキャンセルできるんだった。

 体勢を立て直し、相手の動きを……。


「……あれ?」


 囲まれていたはずなのに、その姿が見えなかった。

 りょーちゃんが倒した……のかな?


「?」


 振り返ると、今さっき攻撃してきた相手も消えていた。

 りょーちゃんとは方向が違うので、手の出しようがない。

 つまり、自分から隠れたということになる。

 少なくとも3人いるはずだけど、どう対処すれば……。


「……?」


 なんだろう。

 背景の一部が、ゆがんでるような……?

 しかも、少しずつ動いている。

 はっきりとはわからないけど、なんとなくその辺にいるのはわかる。

 先ほどのような奇襲に備えて、武器を構え直す。


 きゅぴーん。


 武器の光は見えないけど、スキル使用音は聞こえてきた。

 すぐ近く。

 反応が遅れないよう、タイミングをはかる。


『ゼァッ!』


 予想通り、同じ攻撃で飛び込んできた。

 ロッドで叩き落とし、次の動きに注意する。


「!?」


 別の相手が目の前に現れる。


 プッ!


「わっ!」


 何かを口から吹き出してきた。

 顔にかかって、目の前が真っ暗になる。


 ごしごし。


 目をこするけど、やっぱり真っ暗。

 『暗闇』の状態異常。


「……」


 姿を消すスキル。

 シンプルな短剣。

 他のダークシリーズとは違う黒装束。

 りょーちゃんお目当ての『ダークローグ』だと思われる。


「……」


 ロッドを持った手を伸ばして、接近されていないか探る。

 完全に真っ暗というわけではない。

 自分の手の先くらいまでは、なんとか見える。

 視界50センチくらい?

 他に『毒』や『行動封じ』といったスキルを持っていたら、さらに厳しいことになりそう。


6通常(右方向に通常攻撃)(※1)」

「!」


 りょーちゃんの声が聞こえてくる。

 言われた通り、右側にロッドを振る。


 ぽこん。


 何かに当たる手ごたえ。


ステキャン(ステップキャンセル)


 続けて指示が飛んでくる。

 どの方向に動くか迷ったけど、ひとまず後方へステップする。


『ゼァッ!』


 スカッ。


 耳元を風が通り抜ける。

 飛び込み攻撃を回避。


「3歩下がってスマ(スマッシュ)準備」


 状況がわからないので、りょーちゃんの指示に従う。


 ドゴォ!


 少し離れた場所で、スマッシュのヒット音が聞こえる。


 ドサッ。


 何かがすぐ近くに落ちてくる。

 いつもの連携を狙っているっぽい。

 相手の姿が見えないので、起き上がりに変化を付けられると当たらないけど。


 ビシッ。


 起き上がり重ねのヒット音を確認してから、スマッシュを放つ。


 ぽっこーん。


 当たった……けど、方向は合ってるかな?


「?」


 周囲を覆っていた暗闇が晴れて、視界が戻ってくる。

 どうやら、状態異常の効果時間が切れたようだ。


 ザシュ!


 視界が開けた時には、短剣持ちが消滅していくところだった。


「あっ」


 りょーちゃんの目の前に、短剣……ダークローグが現れる。


 プッ!


 口から吐き出された黒いもやもやが、りょーちゃんの顔の周りを覆う。

 ボクがさっきまでかかっていた『暗闇』になるスキル。

 外から見るとあんな感じなんだ。


『ゼァッ!』


「!」


 別のダークローグが、りょーちゃんに飛びかかる。

 周りが見えていない状況だと、対処が難しいはず!


「りょーちゃん、後ろ!」


 ズバッ。


 こちらの声よりも先に反応していた。

 スキル発動時の音で判断したのかも。


「ヒール!」


 もう片方のダークローグの攻撃を止める。

 暗闇の効果が解けるまでは、こっちががんばらないと。


「……」


 弓に持ち替えて、りょーちゃんと密着しているダークローグを狙う。

 攻撃力はそう高くなさそうだけど、りょーちゃんの場合だと一撃受けただけでも危ない。


「りょーちゃん!」


 サッ。


 見えないはずのりょーちゃんが、密着した状態から回避する。

 そのまま裏に回って、スキルの準備。


 ぶすり。


 こっちが放った矢が突き刺さる。


 ドゴォ!


 きれいに連携がつながった。

 ヒールを当てたほうがやってきたので、いったんそちらの対処に回る。

 人の心配ばかりしていられない。

 距離が近いので、まずは相手の出方を見る。

 もしゲームの世界に入ったら、真っ先に姿消す系スキルを習得してアレコレします。


※1、6通常:別のゲームでよく使われていた方向指示。

 マップを9分割して、それぞれテンキーを当てたもの。

 東西南北だと6、4、2、8。

 南東だと3。

 南南東だと23。

 ボイスチャットがないゲームだとキーボード入力するしかなかったので、より早く打ち込むために簡略化された。

 例:『1、4p2』=マップ南西の西寄りライバルパーティーが2つ。

 実際に使うとこのような表記になるので、知らない人には謎の呪文に聞こえる。

 現実世界で説明すると、『トゥーゴーパーソナルリストレットベンティツーパーセントアドエクストラソイエクストラチョコレートエクストラホワイトモカエクストラバニラエクストラキャラメルエクストラヘーゼルナッツエクストラクラシックエクストラチャイエクストラチョコレートソースエクストラキャラメルソースエクストラパウダーエクストラチョコレートチップエクストラローストエクストラアイスエクストラホイップエクストラトッピングダークモカチップクリームフラペチーノ』。

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