大物
「!」
再びボクのさおにアタリがやってきた。
最初のときと同じように、慎重に手繰り寄せる。
びっちびちっ。
「太刀魚だね」
細長ーい魚。
新鮮だと刺身でもおいしい。
狙っている魚ではないけど、釣れるとうれしい。
「おっ、りょうくんすげぇ当たり来てるじゃん!」
「スズキの暴れ方ではないような……」
りょーちゃんのさおが折られそうなくらい激しく動いていた。
一目でわかる大物具合。
どんな魚がヒットしたんだろう?
ザパーッ!
大きく跳ね上がり、ボクの上を飛び越えていく。
その魚の正体は……魚?
全長は1メートルを超える大物で、顔は間違いなく魚なんだけど……二足歩行している。
手には槍を持っていた。
名前を見ると『サハギン』となっていた。
海にすんでいるモンスター。
「こいつは景気いいねぇ!」
「せ、戦闘は苦手です」
「ブレス!」
ロッドに持ち替えて、支援スキルをかけていく。
りょーちゃんを狙っているようだし、後ろから注意を引きつけて……。
さぶーん。
「わっ」
船が揺れて転びそうになる。
スキルも中断されてしまった。
大きな船と違って足場も悪い。
慣れていないと船上での戦闘は難しいかも。
「おらよっ!」
お父さんが斬りかかっていった。
りょーちゃんと挟み込んでサハギンの動きを封じる。
邪魔をしないよう、ダメージプラスで支援する。
2人でぺしぺし叩いていると、サハギンが泡を吹きながら倒れていった。
「ふー、モンスターまで釣れるとはな。さすがファンタジーな世界だぜ」
「みなさん『ネコのお守り』は持ってませんよね?」
「何それ?」
「これを装備しているとモンスターが釣れなくなるんですよ」
yagenさんが見せてくれる。
お魚をくわえたネコのネックレス。
デフォルメされていて可愛らしい。
「モンスター釣れたほうがおもしろくね?」
「えぇ……」
「なぁに、りょうくんと、うちの娘がいたら大丈夫さ。な?」
こっちに目配せしてくる。
「できる限りがんばります」
単体のサハギンならなんとかなるけど、もっと強いモンスターが出てきたらどうなるかわからない。
常に警戒だけはしておこう。
『なんじゃこりゃぁあああ!?』
まったりと釣りを続けていたら、大きな叫び声が聞こえてきた。
その方角を見ると、一隻の船が巨大生物に襲われていた。
『南西の海上に リヴァイアサン が出現しました!』
システムメッセージが流れてくる。
フィールドボスだ。
『やべぇの釣れた!』
『いやいやいやいやwwww』
『何を釣ってんだよ!』
『釣れたってレベルじゃねーぞ!』
『これはちょっと聞いてない!』
『どんなエサならこんなの釣れるんだよ……』
『オキアミなくなったから、金魚のエサで釣ってたら……』
『www』
『金魚wwwww』
『草』
『ねぇよwww』
『俺の知ってる金魚と違う』
『こんなデカイ金魚があるかw』
『おい、襲ってきたぞ!』
『助けてくれぇー!』
見た感じ、2~30人くらいは乗れそうな大きな船。
それなのに、ミニチュアサイズに見えるほどの圧倒的なサイズ差。
海上に見えている部分だけでも100メートルはありそう。
前に戦った『暴渦の主』と同じか、それ以上かもしれない。
「お? なんかすげーの出てきたな」
「に、逃げましょう」
「俺達も行こうぜ!」
「えぇ……」
「攻撃できるところまで頼むわ!」
何か手伝えることがあるかもしれない。
yagenさんに頼み込んで、近くまで連れていってもらう。
琵琶湖ほどの水槽があればご家庭でも飼えます。




