表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
721/1588

釣り部門

「お父さん、ちょっと……」

「ん?」


 会話が途切れたところを見計らって、お父さんを引っ張ってくる。


「娘ってところは訂正してくれないの?」

「ん? 訳アリで女装している息子だと説明したほうがいいのか?」

「そうだった……」


 ゲーム内では女性扱いになっているんだった。

 その説明で間違っていないけど、すごく変な人だと思われてしまう。


「まあ、お姫様ってことでいいじゃん……ぐふふふ」

「……」


 絶対楽しんでる……。

 現実世界でお父さんと付き合いがある人なら、ちゃんと説明しておいたほうがいいかもしれない。

 どうせすぐにバレることだし。


「yagenさん」

「ん? 何か用かな?」

「ボク、息子です」

「……ん?」

「ゲーム内では女性扱いになっていますが、実際には男です」

「……んん?」


 何度も首をひねるyagenさん。

 いまだに不具合状態が続いていてややこしい。

 運営さんには定期的にメールを出しているけど、『調査中』の返信しかこない。

 現実世界で会えばすぐに納得してもらえるのに。


「たむおさん、この子って……」

「そういう年頃なんだよ」

「ああ……」


 お父さんの言葉にうなずいていた。

 納得してもらえたのかな?


「そっか、男の子なんだ」

「はい」

「そういうことなら仕方ないね、うん……」


 目をそらしながら答える。

 男だとわかると、この女装姿は厳しいのかもしれない。

 釣りイベント中くらいは普通の服を着ていようかな?

 といっても、このドレスか、初期服か、水着しかないけど……。


「さーて、何狙うかね」


 今回のイベントは、指定された『10種類の魚』の中からどれかを選ぶ形。

 『サイズ』『釣った総数』『一定時間内でどれだけ釣れたか』の3部門があり、どれに登録するかも自由。

 10種類の3部門すべてに登録することもできるけど、受賞資格があるのは1つだけ。

 例えば、サイズと釣った総数で1位を獲得しても、どちらかは2位の人が繰り上げになる。

 すべてに登録しておくと、自動的に一番高い順位の報酬がもらえる仕組み。


「総合ポイント狙っちゃう?」

「総合ポイントのほうは危険海域に出ないと無理ですよ」


 10種類の3部門以外にも、『釣りポイントランキング』がある。

 こちらはどんな魚を釣ってもポイントになり、ユニーク種などを釣ると高ポイント。

 運の要素が大きくなっている。

 トップ10入りを目指している人なんかは、イベント開始してからずっと釣りだけしているとか。


「最初は釣りやすい魚を狙うのがいいかと」

「え? 大物狙いじゃないの?」

「釣りに慣れている私たちだけなら別にいいけど、初心者が狙うなら最低でも釣りスキル5は欲しいですよ」


 そういえば、釣りにもスキルがあるんだった。

 すっかり忘れていた。

 当然のように未習得。

 多少ならスキルポイントに余裕もあるけど、今からスキルレベルを上げようとしたら時間がかかってしまう。


「ごめんなさい、釣りスキルは取っていません」

「いいっていいって。こんなおじさん趣味なんて興味なくて当たり前だよ。イベントの参加報酬ならスキルなくても大丈夫だから」

「現実世界ならお父さんと釣りに行くことはあるのですが」

「え? そうなの?」

「はい」

「魚とか大丈夫なの? 素手で触ることも多いけど」

「大丈夫です」

「エサなんかもちょっと見た目がアレなのあったりするけど……練り餌とかルアーかな?」

ゴカイやイソメ(うねうねした虫エサ)なら自分で付けています」

「おおー」


 生きているエサに針を通すのは、ちょっと罪悪感がある。

 でも、おいしい魚をとるため、毎回感謝しながら使っている。


「いいなぁ……一緒に釣りしてくれる娘さんいいなぁ……」

「いいっしょ? なんといっても可愛いし!」


 チラチラとボクのほうを見ながらドヤ顔で言うお父さん。

 もう……。

 総合ランキングを狙うならイベント期間中24時間不眠不休で張り付き強要されるク〇イベント。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ