表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/1588

闇城の廊下

 次へ進む扉を開くと、細長い廊下に出た。

 照明がないので、かなり暗い。

 窓から差し込む月明かりだけ。


「……」


 じーっと目をこらす。

 見たところ、動いている姿はない。

 廊下の奥に扉があるので、次のマップはその先かな?

 薄暗い廊下を、2人で歩いていく。


「……あの鎧の置物って、動き出したりしないよね?」


 廊下の途中に、物々しい鎧の置物。

 ゲームの定番だと、いきなり襲いかかってくることがあるけど……。


「しない」


 大丈夫らしい。


「……」


 そうは言われても、近くで見ると迫力がある。

 2メートルくらいあるのかな?

 勝手に動き回ることはないとしても、触ったら倒れてきそうで怖い。

 なるべく近寄らないよう、窓側を歩いて……。


 パリーンッ!


「ひゃぅ!?」


 突然、後ろの窓ガラスが割れる。

 びっくりして振り返ると、何か黒い物が飛び出してきた。


『ガウ! ガウッ!』


 全身黒い毛で覆われた『何か』が、のしかかってくる。

 見た目は犬っぽい。

 押しのけようとするけど、かなりの大型サイズ。


『ハッ、ハッ、ハッ!』


 赤く、大きく開いた口。

 その鋭い牙の先から、明かりに照らされたヨダレが垂れてくる。

 かみつかれたら、一気にHPを持っていかれそう。


「んっ……!」


 なんとか防ごうとするも、手の力だけじゃどうしようもない。

 目の前に牙が近づいて……。


 べろん。


「……?」


 ぺろぺろぺろぺろ。


 なめられている。

 すっごいなめられている。

 細く長い舌で、顔中をなめ回していく。


 ぺろぺろみゅるんっぽ。


「くすぐったい!」


 逃れるチャンスを探すけど、身動きが取れない。

 早くなんとかしないと、顔がふやけちゃう!


「うっひょーぅ! 自重するように言われてたけど、我慢できるわけがねぇ! ロリっ子のぐちょぐちょヌルヌルの獣○○○○とかマニアックな○○〇……」

「ナビ子さん……?」


 ……の声が聞こえたような気がするけど、反応は返ってこなかった。

 気のせいだったのかな?

 姿を探そうにも、口と舌しか見えない。


「適当なエサ与えれば大人しくなるぞ」


 りょーちゃんからアドバイスが届く。

 適当なエサと言っても……何かあったかな?

 メニューを開いて、アイテムを確認……。


 べろんべろんじゅるるるるる。


 メニューが操作しづらい!

 かろうじで見えるすき間から、それらしきアイテムを探す。


「!」


 これならいけるかも……!

 カバンから取り出し、顔の前に持ってくる。


『わんっ!』


 すぐさま反応して、むさぼるようにしゃぶり出す。

 そのすきに抜け出し、どうにかおしゃぶり地獄から脱出する。

 よかった。

 ちゃんと効果があった。


 ガリガリバリボリ。


 気に入ったようで、こちらにはもう目もくれない。

 ちなみに、与えたアイテムは『骨のかけら』。

 最初のダンジョンで『スケルトン』からドロップした物。


「いきなりやってくるから、びっくりしたよ……」


 鎧のほうに気を取られていたから、完全に不意打ちだった。

 変な声出ちゃったし。


「『びびりすぎてリアルで漏らした』といったクレームがあったようで、前よりは改善されてる」

「これより怖かったの?」

「ああ、名前が『ダークネスヘルハウンド』だった」

「……?」


 名前……?

 骨のかけらをかじっている『何か』の名前を見る。



 『だーく☆わんわん』



「そこじゃないと思う!」


 もっと違うところを直すべきだと思う!

 ちょっと可愛くなってるけど!


「……あれ? よく見たら、2匹いたんだね」


 ボクのところにやってきた『だーく☆わんわん』の他に、もう1匹いた。

 何かをもしゃもしゃ食べている。


「人数分襲ってくる」

「フルパーティー(※1)だと、すごいことになりそうだね」


 一斉にガラスが割れる光景とか、知らなかったら心臓が止まりそう。


「りょーちゃんは何を与えたの?」


 かじるというより、なめまわしている。

 硬い物ではなさそう。


「ここのドロップ」

「食べ物だったんだ」


 お金や通常ドロップアイテムは拾ってたけど、どんな物かまでは見てなかった。

 カバンを開いて、アイテム説明を見る。



 黒いもこもこ:ダークシリーズの中身。ふわふわもこもこで、とろける口当たり。体にやさしい黒砂糖味。



「お菓子だった!」

「ほのかに甘い匂いがするぞ」

「闇の力とか、そういうのじゃないんだ!」


 見た目と違って、ずっとメルヘンだった!


「『ダークカンパニー』が本社で製造して、近くの村で販売してる」

「想像していた力と違う!」


 ダーク要素が、見た目しかなかった!


「……もしかして、ここの人たちって、中は普通の人だったり?」

「中に誰もいない設定」

「そこはちゃんとファンタジーなんだ」

「ただ、勝手に増えて近所の農作物を荒らすから、定期的に駆除する必要がある」

「害虫扱いだった!」


 『闇の力で世界征服をたくらんでいる』みたいな設定じゃなかった。

 農作物に被害が出るのも、それはそれで困るけど。

 このクエスト自体も、そういう依頼だったのかな?


『わんっ!』


 りょーちゃんが歩き出すと、1匹のわんわんが立ち上がった。

 しっぽをブンブン振りながら、あとをついていく。


『わんっ!』


 ボクが歩き出すと、もう1匹のわんわんがついてきた。

 骨のかけらを食べていたほう。


「倒さずに餌付けすると、しばらくついてくる」

「そうなんだ」


 見た目はちょっと怖いけど、中身は人懐っこい犬そのもの。

 ぴょんぴょん跳ねながら、うろちょろしている。

 わんわんたちと一緒に、扉まで歩いていく。


 ギィー……。


 ゆっくりと扉が開き、まぶしい光が差し込んできた。

 また投稿できてなかったようです。

 『よし終わったやほーーぃ!』と確認しないで即布団ダイブしていました。


 愛らしいわんわん。

https://twitter.com/yosagenanamae/status/1147508902428233729


※1、フルパーティー:パーティーを組める限界人数。

 このゲームではパーティー人数の上限はないが、クエストやミッションの場合は同時に参加できる人数が決まっている。

 この『闇に潜む城』の場合は8人まで。

 現実世界で説明すると、地元で同窓会が行われたのに、お店の席が足りなくて自分だけ誘われないこと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ