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闇に潜む城2

「……」


 ダークアーチャーとのお見合いが続く。

 先に動いたら硬直時間を狙われそうで、なかなか動けない。


「!」


 りょーちゃんが、間に入ってきた。

 相手をしていたダークガードは……壁際でバタバタしていた。

 吹き飛ばしスキルを使い、遠くに追いやってきたようだ。

 すぐにポーションを使う。

 それと同時に、矢を放ってくる。


 スパッ。


 切り払われて地面に落ちる。

 りょーちゃんの近くにいれば、弓だって怖くない。

 ダークガードが走ってきたので、そちらを弓で狙う。


 ぶすり。


「っ!」


 反射により、お互いに硬直する。

 そのチャンスを逃さず、りょーちゃんが攻撃を入れる。

 吹っ飛んでいくダークガード。


「あっ」


 ダークアーチャーが、今度はりょーちゃんを狙っていた。

 まだスキル硬直中のようで動けない。

 今から矢を放っても、間に合いそうにない。

 HPは回復中なので、盾になることも無理そう。

 ……だったら。


「えいっ!」


 りょーちゃんに体当たりする。


 シュッ!


 2人の間を、矢が通過していく。

 よかった。

 硬直中でも動かせるようだ。


 カシャン。


 再びダークガードがやってきた。

 矢を当てて、りょーちゃんが追撃。

 同じように飛んでいく。


「!」


 ダークアーチャーの矢が光り出す。

 スキル発動?

 フェイントキャンセル?

 動きをよく観察する。


「……」


 光が消えない。

 そのまま、上空に向けて矢を放つ。

 事前に予測できていたので、難なく範囲外へ移動する。

 しっかり相手の動きを見ていれば、ちゃんと対処できる。

 1つミスが大きく響くので、慎重にいかないとだけど。


 ズゥウウン……。


 3回目の攻撃で、ダークガードが崩れ落ちた。

 あとは、残ったダークアーチャーを……。


「あれ?」


 いつの間にか、また別のダークガードの後ろへと移動していた。

 ホント、しっかりしたAI。


「今と同じ感じでいいよね?」

「ああ」


 なるべく遠くから狙う。

 現状、2体相手にするのでも精一杯。

 うっかり3ターゲットになってしまったら、すぐに全滅しちゃう。


 ぶすり。


 ダークアーチャーの動きに注意しつつ、ダークガードを壁際まで釣ってくる。

 そこからは、りょーちゃんにバトンタッチ。

 ダークガードの相手。

 矢の切り払い。

 そして、火力役。

 ほとんどのことをやってくれる。

 タイミングを見ながら支援するだけでいいので、すごく楽。

 あんまり役立ってる感じはしないけど。


「!」


 攻撃が当たらないせいか、ダークアーチャーが前に出てきた。

 待っていたと言わんばかりに、りょーちゃんが飛び出す。

 飛び道具スキル+キャンセルダッシュで、一気に距離を詰める。

 それに気づいて逃げようとしたので、後ろから矢を放って援護する。


 ドゴォ!


 硬直中に裏回りしたりょーちゃんが、こちらに飛ばしてくる。

 一番ダメージを稼げる連携を狙うチャンスだけど、ダークガードが走っている。

 間に合うかどうか微妙なタイミング。

 ロッドに持ち替えて、起き上がったところを『通常攻撃』する。

 その攻撃に反応し、弓のまま反撃してくる。


「っ!」


 相打ちになるけど、10ほどのダメージしか受けなかった。

 弓の直接攻撃なら、そこまでの攻撃力はないっぽい。

 走っていたダークガードは、りょーちゃんが対応していた。

 目の前に集中する。

 また距離を取られたらやっかいなので、接近戦でがんばる。


 ドゴォ!


 りょーちゃんのほうで動きがあった。

 カウンターを決め、遠くへ飛ばす。

 こちらを振り向いたので、攻撃を止めてスマッシュの準備をする。

 距離を取ろうするダークアーチャーに、りょーちゃんの飛び道具が当たる。


 ぽっこーん!


 すかさず、スマッシュを入れる。

 硬直が終わり次第、ダメージプラスの詠唱。


 ザシュ!


 一撃で倒す。

 ダークウォーリアほどのHPはないようなので、ダメージプラスはいらなかったかも?


「こっち」

「?」


 残ったダークガードに駆け寄る。


「盾を出してきたら、通常殴り」


 めり込むような位置でタゲを取って、そう言ってくる。

 何か考えがあるみたいなので、しばらくりょーちゃんの動きを観察する。


「……」


 相手の突きを、半身ずらして回避。

 水平斬りを、ステップ無敵で回避。

 剣が光ってスキル発動……は、すぐに短剣で突いてキャンセルさせる。

 どの動きにも無駄がない。

 行動パターンは、すべて頭に入っているらしい。

 わかっていたとしても、ボクだと反応できない。


「!」


 盾を前にして、防御の体勢を取る。

 りょーちゃんに言われた通り、ロッドで殴りかかって……。


 ガギンッ!


「わっ」


 盾に跳ね上げられて、尻もちをつきそうになる。

 なんとか踏ん張ったけど、無防備な状態になってしまう。

 ダークガードが動こうとした、次の瞬間……。


 ドゴォ!


 りょーちゃんのスマッシュが決まって、重そうな巨体が吹っ飛んでいく。


「追いかけてスマ準備」


 動けるようになったので、近くまで行って待機。

 起き上がる直前になって、りょーちゃんが走ってくる。

 走りながら攻撃して……。


 スカッ。


「?」


 空振り。

 距離が足りてない。

 もう一度踏み込んで、攻撃。


 ガギンッ!


 起き上がって盾で弾く。

 りょーちゃんは行動不能なので、すぐにスマッシュを入れる。


 ぽっこーん。


 壁に当たって、すぐ下に落下する。

 次は通常攻撃かな?

 そう思って、りょーちゃんのほうを見る。

 駆け寄ってダウン状態にスマッシュを決める。


 ズゥウウン……。


 もうHPがなかったようで、光となって消えていく。


「MP消費少な目のお手軽運送(※1)」

「なるほど」


 使っているのは、通常攻撃とスマッシュだけ。

 タイミングもはかりやすいし、いろいろと使いどころがありそう。


「これって、どのモンスターでも対応できるの?」

アタスマ(アタックとスマッシュ)連携は盾持ち用。起き上がりに攻撃してくるAIなら、空ステップ(※2)に変える必要がある」

「それぞれレシピを覚えないとダメなんだ」

「確定行動(※3)させて安定パターンを作るためだから、見てから対処変えてもいい」

「それができたら苦労はしないけど……」


 少しでも反応が遅れたら、逆にやられちゃうだろうし。


「そうなると、さっきの空振りもパターン用?」

「ああ、攻撃反応のガードを起き上がりに誘発するため」

「必要な行動だったんだ」


 スムーズに連携するためにも、一度チェックしておいたほうがいいかもしれない。

 あとで攻略サイトを読んでおこう。

 モンスターのAIを利用した連携がいろいろとありますが、遠距離職をたくさん集めて範囲ぶっぱなすのが現在の主流。

 連携とかいりません。


※1、運送:ワッショイワッショイ。

 敵に囲まれない立ち回りや、壁を利用した連携のために使われる。

 大量のモンスターに攻撃されるとどうしようもなくなるので、死ににくい盾職がどこか遠くへ運ばれていく光景をよく見かける。


※2、空ステップ:『そら』ではなく『から』。

 起き上がり攻撃をしてくるとわかっている場合に、あらかじめステップで回避行動をしておくこと。

 先読み行動の一種。

 現実世界で説明すると、目が合っただけでおまわりさんに職務質問をされるため、怪しまれないようにサングラスとマスクとコートで人相を隠しておくこと。


※3、確定行動:します、させます、させません。

 通常攻撃に対して『ガードを優先するAI』や『反撃を優先するAI』などがある。

 それぞれのAIを理解していると、毎回決まった行動を誘発できる。

 無駄に見える空ステップをするのもこのため。

 現実世界で説明すると、新しい期間限定SSRガチャが実装される→コンビニダッシュ。

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