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ほのぼのタッチの対戦シューティングゲーム

「ギャフン!」


 りょーちゃんのエキストラアタック(特殊攻撃)が決まり、田中くんのライフを削り切る。

 3回ほどやって、どれもりょーちゃんの勝利で終わった。


「どうしたらヤツに勝てるんだ……」

「無理だろ」

「田中なんだしあきらめも肝心だぞ」

「何か1つくらいは勝てることがあるはず!」

「安心しろ、フラれた女の数では勝ってる」

「ベッドの下のお宝の数でもな」


 田中くんの周りに集まって、なぐさめの言葉をかけていく。


「誰か、アイツを倒せるヤツはいないのか!」

「……」

「……」

「……」


 みんなが目をそらす。


「そうだ! ナツ! お前ならやれるよな!?」

「えっ? ボク?」

「もう、お前しかいないんだ!」

「うーん、ボクも勝てないとは思うけど……」


 どんなゲームをやらせても、りょーちゃんは上手。

 ボクの腕前だと、とても太刀打ちできない。

 予想もしない動きをしてくるから、対戦すること自体は楽しいけど。


「頼むよ、ナツ!」

「じゃあ、ちょっとだけ」


 10円を投入して、りょーちゃんの隣に座る。

 このゲームもずいぶんとやってないから、すぐにやられないか心配。 

 キャラクターを選択して、ゲームスタート。


『ラウンドワン、レディー、ゴー!』


 序盤は、お互いにパーフェクト狙い(ボーナスがお得)で消していく。

 できるだけ早く消せるよう、立ち位置に注意する。


「おっ、フィーバー(押せ押せモード)来たぜ!」

「そのままやっちまえ!」


 お互いにフィーバー状態に突入し、一気に戦況が激しくなる。


「ボス出た―! 押せ押せー!」

「そのまま押し切れー!」


 先にボスアタック(相手にボスを送る)が成功するけど、これくらいじゃりょーちゃんを仕留められない。

 ミスらないように気をつけつつ、さらに追加分を送る。


「おっしゃ! ボム(※1)使わせた!」

「いける! いけるぞっ!」

「Vやねん!」


 フィーバーが終わったところで、ボムの分だけリード。

 このまま押し切りたい。


「当たらねぇな」

「ちょこまかと避けよってからに」


 ザコキャラ送り込みと難しいパターンの組み合わせで、パーフェクトが取れなくなってくる。

 避けるだけで精一杯。

 追い込まれてきた。


「大丈夫だ! 俺たちがついている!」

「田中がいると負け運しかつかなそう」

「なんでや! どんな強敵が相手だとしても、一歩も引かないだけや!」

「身の程を知らねーだけじゃねーかな」

「あー! 被弾した!」


 敵の誘導(※2)に失敗して、初被弾する。

 すぐさまパーフェクトからの連爆(大量撃破)でボスを送り込み、リカバリーをはかる。


「あかーん! ボス返ってきた!」

「もうだめだぁ……おしまいだぁ」


 速攻で消すことはできず、ボムを消費する。

 さらにエキストラアタックからの猛攻に、残りのボムも使わされる。


死神(永久パターン防止)が出てきやがった」

「長期戦なら、まだナツにもチャンスはある!」

「集中力を切らしたほうが、負けるぜ」


 その言葉の通り、攻撃を避けようとしてザコキャラと接触。

 焦ったところに大量の攻撃を送られて、1ラウンド終了する。


「あー、結構いいところいってたのに」

「おもにリョウの避け方がキモイ」

「ぬるりとエキストラアタックのすきまを抜けていく姿は、まごうことなき変態」

「まだだ、まだ次がある!」

「チャンスは必ずくる!」


『ラウンドツー、レディー、ゴー!』


 2戦目が始まる。

 序盤は、やはりパーフェクトの取り合い。

 同じようなタイミングで撃破していく。


「……しかし、こうして並んでるのを見ると、同学年とは思えんな」

「歳の離れた兄妹とかだよな」

「見ていて癒されますわ」

「画面のほうは、癒しとは程遠い展開になってるけど」

「もう何が起きてるのかよくわからん」

「リョウがアレすぎるんで目立たないけど、ナツもだいぶアレだよな」

「さらっとハメ殺してくるしな」

「見た目との落差も考えると、リョウよりエグいぜ」

「天使みたいな笑顔で凶悪コンボ決めてくるもん」


 同時フィーバーで、お互いにボムを1個ずつ消費。

 さらに1被弾で、状況は五分。

 でも、ここから強いのがりょーちゃん。

 必ず何か狙ってくるので、一瞬たりとも油断はできない。


「この試合も長引いてるな……」

「俺だったら、開幕10秒でライフ吐き出せる(5ライフ全消失)ぜ」

「逆にすげぇわ」

「俺は20秒くらい持つぜ」

「店の売り上げにやさしい男どもだな」


 りょーちゃんの動きを見ながら、慎重にキャラを動かしていく。

 被弾しないようにしつつ、チャンスを待つしかない。


「死神きた」

「俺には、リョウのほうが死神に見えるぜ」

「ブランクあるはずだよな?」

「家でなんかやってるんじゃねーか?」

「最近はアレばっかのはずだが」

「くそぅ、俺も早くやりてぇ! そしたらPvP(対人戦)で、リョウのヤツをボコれるのによ!」

「1週間後。そこには、元気にボコられる田中の姿が!」

「あ、ボム使った」


 避けられない攻撃がきて、ボムで回避する。

 残りボムは、あと1つ。


「リョウの野郎も使ったぜ!」

「これなら勝てる!」

「レッツゴーナツー!」


 死神の耐久力も上がり、ボクでは避けられないところまできた。

 ここで勝負をつけにいくしかない!


「うぉおお! フィーバーキター!」

「ヤツは少し遅れているぞ!」

「さらにボスまでキター!」

「勝ったな! 両替してくる」


 なんとか、ボムを使わせることに成功する。

 でも、すぐにりょーちゃんもフィーバーで追撃してくる。

 お互いにボムを使い切って、最後の弾幕勝負になる。


「大量に飛んでったー!」

「さすがのリョウといえど、これはかわせまい」

「やったか!?」


 画面を埋め尽くすほどの弾幕で、ほぼ回避不能な攻撃が到達する。


「まさか……」

「そんな……」

「なん……だと……」


 予想されていた『K・O』の文字は表示されなかった。

 返ってきた物量に押しつぶされ、2ラウンド目もりょーちゃんが勝利した。


「今の当たってなかったか?」

「チートか! この野郎チートしてんのか!」


 りょーちゃんに食ってかかる田中くんたち。


「見た目よりは判定小さいからね(※2)」


 この手のゲームはだいたいそうだけど、見た目通りに判定があるほうが珍しい。

 一見不可能そうに見えても、ドット単位の調整ができれば抜けられることもある。

 できるかと言われたら、ボクはできないけど。

 作者はシューティングゲームも苦手のため(ry


 連日の感想を目撃し、思わずパンツをはいてネクタイを締めました。

 そのうち人間らしい格好になりそうです。


※1、ボム:シューティングゲームでよくある強い攻撃。

 だいたい無敵時間が付いているので、緊急回避として使われることが多い。

 現実世界で説明すると、漏れそうな時に『ハァッ!』と気合を入れて一時的にストップすること。

 あくまで緊急回避なので、30後にはオートボンバーが発動する。


※2、誘導:敵キャラの動きを制御して、逃げ道や攻撃場所を確保すること。

 闇雲に動き回るより、誘導しながら少しずつ避けたほうが追い込まれにくくなる。

 現実世界で説明すると、卵かけご飯を食べるときに、あらかじめご飯の中央を凹ませておくこと。

 多くの場合は凹みからはみ出して、端っこでべちゃっとなる。


3、当たり判定:攻撃が当たる場所。

 見た目と設定された当たり判定にズレがあり、どう見ても当たっているのにセーフな場合がある。

 全裸の人間が空を飛んでいたとすると、胴体の部分にしか当たり判定がなかったりする。

 顔面セーフ。

 『詐欺判定』とか『愛されボディー』と呼ばれることも。

 現実世界で説明すると、普段はだるんだるんの腹肉が、イケメンの近くを通る時だけキュッと凹むこと。

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