愛されすぎてVRゲームが全盛期になっても終わらせてもらえないゲーム
『ジョインジョインジョイン』
対戦台に座ったりょーちゃんが、キャラクターを選択する。
元々は別のキャラクターを使っていたけど『強キャラ使うの禁止!』と言われたために変更した過去がある。
キャラ性能はいまいちでも、中の人性能で押し切るスタイル。
「さあ、始まりました! 田中がリョウに一方的にふっかけた因縁の対決! 解説の高橋さん、勝負のポイントをお願いします」
「えー、キャラ差だけで言えば、田中が圧勝するはずなんですけどね」
「あのキャラ適当に通常技振り回してるだけでも強いですからねー」
「最近サボってたリョウ選手が、どこまで精度を保てるかがポイントになると思います」
『……ディスティニー!』
「なるほど……おおっと! リョウ選手の開幕ガンダッシュ(※1)!」
「欲望にまみれてますね」
「2D(※2)が怖くないのか! 田中選手はバックステップで様子見。距離を取っていく」
「すでに逃げ腰ですね」
「さあ、どうする……JPが入る! ファーストアタックを取ったのはリョウ選手! さらに画面端で固めていく!」
「投げには注意ですよ。露骨に狙ってきますから」
「とか言ってる間に投げたー! 小足、2C、バニ。起き攻めは……JD見えない! バニで締めて、起き攻めJD、小足、グレイヴ見えないー!」
「田中選手、ガードができません」
「さらに小足が刺さって……もうダメだこれ! ゲージと星を回収して1本取っていくー!(※3)」
「次のラウンドは狙ってくるでしょうね」
『……ディスティニー!』
「開幕欲望のバニ……は、さすがに当たらない!」
「田中選手、ジャンプはできました」
「千手が刺さる! 追い打ちは入らない! だがしかし、また画面端に追い込まれていく!」
「さっき見た」
「小足で刻んでグレイヴ……千手崩れるー! ブースト吐いて星取って、最後は一撃! 勝ったのはリョウ選手!」
「さりげなくパーフェクトです」
「田中選手、怒りの連コ(※4)! 次こそは本領発揮することができるのでしょうか!」
「本気を出したところで、投げコンすら完走できないんですけどね」
「試合前の余裕はなんだったんでしょうか」
『……ディスティニー!』
「さあ、2試合目! 田中選手から仕掛ける! リョウ選手はきっちりガード! 裏回り(※5)も見えている!」
「攻撃しなきゃ勝てませんからね」
「おっと、対空が刺さるー! 田中選手初ヒット! しかし落としてしまう!」
「田中らしいです」
「今度は小パンが入って2D、ナギ、2C、5D落としてしまう!」
「キャラ用コンボ(※6)がわかってないですね」
「それでも強いのがこのキャラ! 攻め継続で固めていく!」
「一度反撃を許したら終わりなので、このまま攻め切りたいところです」
「リョウ選手ジャンプで逃げる! 田中選手も追いかけるが、対空は通らない!」
「終わりました」
「いや、仕切り直しになっただけで、さすがに終わったりは……と、よそ見していたら画面端でべしべし蹴られていたー! ごっそりHPを持っていく!」
「いつものパターン入りました」
「リョウ選手の起き攻めに対して、たまらずガーキャン! おおっ!? バニでスカしたー! そのままコンボがつながって、壁コンに移行していく!」
「田中選手の悲鳴が心地よいです」
「1ラウンド取ったのは、リョウ選手! このまま連続勝利なるか!」
『……ディスティニー!』
「田中選手ガン逃げー! リョウ選手が追いかける!」
「心が折れかけてますね」
「ジャンプで逃げるが……JBが当たる! 拾って浮かせてJB、JB、ブースト、もう1回拾って……このルートは!」
「ゲージもあるし浮きそうですね」
「ぺしぺしやって、地上からのぐるぐる……小足小足小足、ミスらなーい!」
「田中選手が叫んでます」
「あーっと! ここで落としてしまう!」
「露骨な人間アピール」
「しかし、ジャロウが通る! 壁コン行って……ギリ残る! しなやす(※7)なるか!」
「生き残っても、どうせ田中ですからね」
「ここでガーキャン! しかしバニでスカしている!」
「さっき見た」
「リョウ選手2連勝! 田中選手、台バン(※8)は禁止です」
田中くんが立ち上がって、頭をかきむしる。
「なぜだ、なぜ勝てねぇ!」
「フッ……どうやら俺の出番のようだな」
「山本!?」
「すでにヤツの動きは見切った。1分でケリをつける」
「おお! 任せたぞ!」
『……パーフェクト』
「お前が1分で作業されてどーするよ!」
「読めなかった……この山本の目をもってしても……」
「もういい! しゃべるな! カタキは取ってやる!」
「頼んだぞ、佐々木!」
『テーレッテー!』
「佐々木? おい、ウソだろ……佐々木ぃ!」
「こんなの格ゲーじゃないわ! リョウのコンボ鑑賞ムービーよ!」
「もう許せねぇ! 俺たち全員が相手だ!」
「うぉおおおっ!!」
「……」
「……」
「……」
「……」
画面に輝く『10WIN』の文字。
久々なので、コンボ精度などはいまいちっぽい。
それでも、しっかり勝つあたりはさすがりょーちゃん。
「こんなクソゲーやってられるか! 次はコイツで勝負だ!」
田中くんが、別の台の前に立つ。
こちらも対戦ゲームではあるけど、格闘ゲームではない。
「ああ」
「次こそは『ギャフン』と言わせてやるぜ!」
作者は格闘ゲームが苦手なのでエアプ勢です。
波○拳を出そうとすると空中でソ○ックブームが出ちゃうレベルです。
ついに、初めての感想が届きました!
いつものように更新しようとしたら『おっふ!?』となって、思わずパンツをはきました。
重ねて御礼申し上げます。
※1、ガンダッシュ:防御とか考えず全力で前進すること。
自分から相手の間合いに入ってくリスキーな行動。
雪が降った日に真っ先に校庭に出て遊ぼうと、凍った道を全力で走る子供くらい危ない。
※2、2D:じゃがみ強キックのこと。
格闘ゲームの表記はパソコンのテンキーの1~9と、ABCDのボタンを組み合わせた物が使われることが多い。
数字の『5』がレバーを何も入れていない状態。
ジャンプはJ、パンチはP、キックはKと表示される。
『2D』だとテンキーの下にあるから『↓+Dボタン』という入力になる。
波動○だと『236+P』、レイ○ングストームだと『1632143+BC』。
※3、ゲージと星:ゲームの上部や下部にあるゲージのこと。
このゲームだとブーストゲージと北〇七星ゲージ。
ブーストゲージは高速移動。
相手の星を全部なくすと一撃必殺奥義が使用可能になる。
他にも体力ゲージ、必殺技ゲージ、ガードゲージなどゲームによっていろいろある。
※4、連コ:連続でコイン(このゲームセンターでは10円)を投入すること。
後ろで人が待っている時に順番を無視してやると、リアル格闘に発展する場合がある。
※5、裏回り:相手が飛び込んでくる位置などによって、ガード方向が逆になること。
『めくり』とも呼ばれるガードを崩すための基本戦法。
思っていた方向と逆になるので混乱する。
現実世界で説明すると、向こうから来る人を避けようとしたのに、なぜか同じ方向に避ける現象。
※6、キャラ用コンボ:キャラクターに合わせてレシピを変えたコンボ。
キャラクターの大きさで当たり判定が違うので、同じ攻撃が入らない場合に使い分ける。
現実世界で説明すると、私がコンビニで弁当を2つ買うとハシが1本しかついてこないこと。
※7、しなやす:死ななければ安いの略。
たとえ開幕9割減るコンボを食らったとしても、勝てばよかろうという考え。
ガチャで5万円課金して目当てのSSRが出なかったとしても、追加の1万円できっと出てくれるはずだからノーダメージという考えと一緒。
※8、台バン:ゲームセンターにあるマシンをバンバン叩くこと。
何度もやっていると、店員さんとのリアル格闘に発展する場合がある。




