ネコと和解せよ
「……」
アメンニャーの対処法を考えていて、一つ気になったことがあった。
もう一度ミッション内容を確認する。
『ミッション:アメンニャーの怒りを鎮めろ!(その場復活禁止)』
『倒せ』とは書いてない。
戦う以外のやり方があるのかもしれない。
「ジャハルさん、先ほどの缶詰はまだありますか?」
「ごめん、あれで最後」
「わかりました。ありがとうございます」
缶詰で興味を引けたらと思ったけど、もうなかった。
他の物で代用できないかな?
「……」
カバンの中を探す。
時々露店に出して整理しているから、そこまでアイテムが多くない。
エサになりそうな物といったら……これかな?
『アーーーーーオゥ』
『ゥワァーーーーーーォ』
にらみ合っている2匹の前に、骨のかけらを置いてみる。
スケルトンダンジョンでよく拾えるアイテム。
『……』
『……』
少し離れて様子を見たり、近づいてニオイをかぐ。
興味は引けたようだ。
ゲシゲシゲシ!
前足でひっぱたく。
払うように蹴り飛ばし、再びにらみ合いが始まる。
『アーーーーーーーオゥ』
『ゥワァーーーーーーーーォ』
好みが合わなかったのかな?
他に何かないか探すけど、興味を引けそうな食べ物はなかった。
あとできることといったら……。
「ヒール!」
それぞれにヒールをかけてみる。
癒し効果で仲良くなってくれないかな?
『!』
『!』
首だけを回し、こっちをじーっと見つめてくる。
再び興味を引くことはできたけど、ここからどうしよう。
気に入らなかったら、ボクもゲシゲシされそう。
「……?」
ネコさんたちの視線が揺れている。
その視線の先は……ロッド?
……というよりは、ロッドから舞い落ちる羽を見ている?
試しにロッドを動かしてみると……。
ふいっ。
顔を振ってその動きを追う。
ふいっ。
ふいっ。
左右に振ると、2匹の顔がそろって動いた。
ちょっと楽しい。
ぴょーん!
何度か振っていたら、アメンニャーが飛びかかってきた。
飛び散った羽をつかむけど、エフェクトだからすぐに消えてしまう。
消えた羽を探してキョロキョロしている。
ぴょーん!
タママミーも飛んできた。
羽はキャッチできず、スカートの上に着地する。
服に爪を引っかけながら、もぞもぞと登ってくる。
ちょっとくすぐったい。
「ひゃっ」
羽を探していたアメンニャーが、ボクの足首に触る。
しばらくぺたぺたやっていると思ったら、するすると足を登ってきた。
爪は立てていないのか、ぷにぷにとした感触。
こっちもくすぐったい。
「おいおいおいぃ!」
ナビ子さんが現れた。
「乳もみまくってる畜生と、パンツに顔突っ込んでクンカクンカしてる畜生とか、この世界のモラルはどうなってんだよ!? じっくり浄化されてる場合じゃねぇわコレ!」
今日は色がはっきりしている。
調子はよさそうだ。
「どうなんだ? ぺったんこなのか? それとも膨らみかけなのか? 感触は? やわらかい? ぷにぷにしてる? 吸い付きたくなる感じなのか? 先端とかはどーなんすか!?」
胸の辺りにいるタママミーに話かけていた。
「この私ですら入り込めない聖域にやすやすと入り込むなんて……色は? 形は? リボンとかついてるのか? しましまか? 水玉か? くまさんとかなのか? それとも純白なのか!? もしかしたら染みとかあっちゃったりします!? 高価買取オプションなんか!? どうなんだよ! 教えてくれパイセン!」
スカートの中にいるアメンニャーにも。
一緒に機嫌を取ろうとしてくれているのかな?
『ニャー』
「ニャーですと!? ニャーってどういう意味っすか!? 感情がわかりにくいっす! すごいんすか? めっちゃすごいんすか!?」
ガブッ!
タママミーが飛びかかり、ナビ子さんの頭をかじる。
「あ、その牙の入り方は妖精としてマズイことになっちゃいます。妖精汁出ちゃいます」
ガジガジされながら冷静に答えるナビ子さん。
かまれるたびにビクンビクンと揺れていた。
ガシッ!
スカートの中から出てきたアメンニャーが、ナビ子さんの体を引っかく。
「あ、爪もマズイっすね。モザイク必要になっちゃいます。健全な全年齢版のゲームなのに、生々しいモツが飛び散っちゃいます」
ナビ子さんが気に入ったのか、2匹がじゃれつく。
町でもよくきゅーちゃんと遊んでいるし、動物に好かれやすい体質なのかも。
「おい、綿あめ!」
あ。
ザイドさんのことを忘れていた。
ナビ子さんに夢中になっているし、今のうちに復活させてこよう。
「あれ? この状況見てスルーっすか? 人間で例えるとクマやライオンに襲われてるくらい危機的状況っすよ? 上下に引っ張られてるんすよ? 普通にちぎれますよ? 十二指腸の辺りから変な音出てますよ? SENRI様? SENRI様ぁあああ!!」
ニャー。




