破壊神
「ミパさん、すごい……」
「英雄の1人ですから!」
「わっ」
足元にペタさんがいた。
自慢げな顔で、胸を張っている。
「英雄というと……アイリさんのおじいさんのような?」
「はい、7英雄のうちの1人で『破壊神』の称号を持っています」
「おい、その呼び方はやめてくれって」
ミパさんがやってきた。
「もうちょっと可愛いのにしてくれよ」
「他にも『戦略兵器』とか『世界の歪み』とか『アースイーター』といった称号なども」
「ほらー、可愛くないだろ?」
「なんだか、すごそうですね……」
アイリさんのおじいさんもすごかったし、強さのケタが2つくらい違っている。
いろんなクエストを進めていくと、過去の大戦の話も出てくるらしい。
他の人の話も気になるし、暇なときに進めてみてもいいかも。
「気に食わねぇヤツがいるから、片っ端からぶっ飛ばしてただけなんだがなぁ」
「大丈夫、ママはいつでも可愛いよ」
「あんた……!」
お父さんがやってきて、ミパさんと抱き合う。
とっても仲がいい。
「お母さんは小人族の誇りです!」
「……ミパさんも、小人族なのですか?」
「はい」
「……」
くるくる回っているミパさんを見つめる。
りょーちゃんを見下ろすほどの身長。
オークにも負けない盛り上がった筋肉。
ペタさんも、成長したらここまで大きくなるんだろうか?
……でも、お父さんは小さいまま。
ミパさんだけが特別なのかも。
「あー、そろそろいい感じだってさ」
ようやく、硬そうな肉さんのHPが回復したらしい。
「もう大丈夫ですか?」
『ギェエエエエエエエ!』
大きな体を丸めて、手を伸ばしてくる。
握手……でいいのかな?
その手に触れる。
思ったよりプニプニしていた。
これだけ柔らかいと、トゲが刺さってしまうのも仕方がない。
「大丈夫だってさ」
「よかったです」
タイトルの効果があるのに、ずいぶんと時間がかかってしまった。
今後もこういう頼み事があるかもしれないし、早くヒール強化装備をそろえたい。
「さんきゅー、助かったわ」
「お役に立てて何よりです」
『ギェエエエエエエエ!』
硬そうな肉さんが、森の中へ帰っていく。
トゲの影響を感じさせないしっかりとした足取り。
一安心。
「さて、もう一眠りするかな」
あくびを押さえながら、ミパさんが去っていく。
3日ほど眠っていたのに、まだ寝足りなかったらしい。
大きくなる秘訣は、やっぱりその辺りなのかな?
「では、僕たちもこれでー」
ぴょんぴょん跳ねながら、ペタさんが手を振ってくる。
「はい、さようなら」
その姿が見えなくなるまで見送る。
「戻るか」
「うん」
もういい時間になったし、町に戻ってからログアウトしよう。
性格は豪快でも、心は乙女。




