帰宅便
「フェニックスの加護ってなんだろう?」
「タイトルと似たようなシステム」
りょーちゃんが答える。
「タイトルとは別で設定できる」
「そういえば、攻略ページに載っていたような?」
主に耐性面が増える効果。
直接ステータスには関係ないので、取得は後回しにしていた。
加護がもらえるかどうかは、ランダム要素も多かったはず。
「専用のエフェクトが発生する」
「あ、ホントだ」
よく見たら、足元から何か出てた。
火の粉のようなエフェクトが、ふわふわと漂っている。
りょーちゃんの足元からも出ていたから、同時に取得できたみたい。
『ばっちこーい』
鳥さんがパタパタする。
この加護があれば大丈夫なのかな?
近づいて触れてみる。
ぴと。
大丈夫だった。
揺らめく炎に触っても、ダメージは受けなかった。
羽毛のようにふかふかしている。
なんだか不思議な感触。
それはいいんだけど……。
「……」
どうやって登ろう?
ミパさんみたいにジャンプできないし、足場になりそうなところはない。
炎がゆらゆらしているため、つかみながら登るのも大変そう。
どうしようかと、りょーちゃんを見る。
「……」
バックステップやスキルキャンセルなどを使って、よくわからない登り方で上に進んでいた。
うん。
参考にならない。
『どうした? 嬢ちゃん』
足元で悩んでいると、鳥さんが首をぐいっと曲げてきた。
「登り方がわからなくて……」
『なんや、最近の若いのは飛べんのかい』
そう言って、羽を近づけてくる。
「わっ」
ぽーんと飛ばされて、宙を舞う。
くるくる回って、りょーちゃんの隣に着地。
『振り落とされんよう、しっかりつかまっとき』
鳥さんが羽ばたく。
その巨体が浮き上がり、見る見る地面が遠ざかっていく。
「っ!」
急激な上昇に耐えられず、落っこちそうになる。
ガシッ。
「あ、ありがと」
隣でりょーちゃんが支えてくれた。
さらに加速し、天井に空いた穴から外へ。
「……!」
噴煙を突き抜けると、真っ青な世界が広がっていた。
初めて見る空からの景色。
『方向はどっちや?』
「えっと……」
「あっちだ、あっち」
ミパさんが方向を指す。
『んー、こっちか?』
180度首を回した鳥さんが、指の方向を確認。
山肌を滑るように降下していく。
その勢いのまま、山のすそから続く広大な森へ。
「あの辺な」
『あいよー』
感動している時間も、ほんのわずか。
あっという間に着いてしまった。
みんなで鳥さんから降りる。
『どや』
胸を張る鳥さん。
「すごかったです!」
『せやろ? もっとほめてもええんやで』
「あんなに速く飛べるなんて、すっごいです!」
『まー、それほどでもあるわな。なんてったって、サラマンダーより速いしな!』
こんな風に空を飛んだことはなかったので、新鮮な体験だった。
「もっと飛んでいたかったです」
『そーか、そーか』
長い尻尾をばっさばっさして、ひっくり返りそうなくらい胸を張る。
プレイヤーでも空を飛べる方法はないのかな?
スキルに追加されたら、最優先で取りたいかも。
このゲームのサラマンダーは飛べません。
時速5キロくらいで歩きます。




