溶岩の中の落とし物
溶岩の中を漂う、誰かの手。
自分たちも落ちないように気をつけながら、りょーちゃんと引き上げる。
「だ、大丈夫ですか……?」
恐る恐る声をかける。
大柄な女性の姿。
溶岩の中にいたのに、肌や服はなんともなさそうだった。
システム上の表現なだけで、無事だとは思えないけど……。
「あー、よく寝た」
元気だった!
何事もなかったかのように、むくりと起き上がる。
「えっと……ミパさん、ですか?」
りょーちゃんよりも一回り大きい。
2メートル近くありそう。
髪の毛がくるくるになっているけど、それ以外は写真で見た姿と同じ。
「おや? あたしの名前を知ってるのかい?」
「はい、ペタさんから『探してきてほしい』と依頼を受けました」
「おっと、そりゃ迷惑かけちまったな」
ガハハと笑う。
ペタさんと同じ小人族だと思っていたので、大きさにびっくり。
「ん? あたしの顔に何かついてるかい?」
「いえ、その……ペタさんと比べると、とても大きいので」
「ああ……よく飯食って、よく寝てたら、こうなった」
食べて寝るだけで大きくなるなんて、すごくうらやましい。
「今日も途中で眠くなったから、ちょっくらうたた寝してたわ」
「眠るにしても、もう少し場所を考えたほうが……」
「ホントはあっちのほうで寝てたんだけどさ。寝返り打ってるうちに落ちたらしい」
ダイナミックな寝相のせいだった!
50メートルくらい移動している。
「ペタさんが心配していましたよ」
「もしかして、もう夜?」
「ミパさんが出かけてから、3日ほどたっています」
「あれ? ちょっと寝過ごしたかな?」
ちょっと、なのかな……?
ファンタジーの世界なんだし、睡眠の基準が違っていてもおかしくはないけど。
「暖かくて快適だったから、つい」
「暖かいを通り越しているような……」
炎耐性があるのか、溶岩の中でも平気らしい。
顔まで埋まっていたけど、呼吸はできるのかな?
『せやせや、ここ快適やで』
鳥さんも賛同する。
全身炎で包まれているし、こちらは見た目通り。
「あれ? 薬草どこいった?」
ミパさんが服のあちこちを探す。
『燃えたんちゃう?』
「マジか、根性ねぇ草だな」
本人は大丈夫でも、それ以外は耐えられなかったようだ。
服は無事なので、装備していないとダメなのかも?
『誰か治すんか? 回復くらいワイがやったるわ』
鳥さんが名乗り出る。
炎スキルだけでなく、回復魔法も使えるらしい。
『ワイの火やったら、魂ごと燃やし尽くして転生できるで』
「そりゃいいな」
回復の意味合いが違った!
ミパさんも納得してたけど、薬草の代わりにはならないような……。
「そんじゃ、家に帰るとするか」
『その場所まで乗せたるわ』
「お、さんきゅー」
ひょいっと、鳥さんの上に乗るミパさん。
軽く5メートルくらい飛んでいた。
これだけの身体能力があるなら、1人でここまで来れたのも納得。
『ほれ、自分らもはよ』
鳥さんが羽をパタパタさせる。
乗るといっても……。
「……」
鳥さんを見る。
背中どころか、全身が燃えている。
ミパさんは普通に座っているけど、溶岩の中でも平気な人だし……。
『あー、そのままだと燃えてまうな』
鳥さんが気づいてくれた。
『ちょいとそこに立っとき』
りょーちゃんと並ぶように立つ。
『いくでー』
鳥さんの体が、激しく燃え上がる。
まぶしいくらいに輝き、そして……。
「っ!」
炎がこちらへ迫ってきた。
反射的に目を閉じる。
「……」
ダメージは……なかった。
体に直撃したはずだけど、HPは減っていない。
『フェニックスの加護を得ました』
「?」
システムメッセージが流れてきた。
梅と昆布のおにぎりを買って帰ってきたと思ったら、梅と梅だった時の衝撃。




