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勝敗

「ゼェアアア!」

「ギェエエエ!」


 短剣を持った2人組が襲いかかってくる。

 回避できそうになかったので、相打ち狙いで槍を突き出す。


「ぐふっ!」

「おっふ!」


 その槍が届く前に、後ろから飛んできた魔法と矢が当たる。


「ば、バカな! まだ暗闇だぞ!?」

「なぜ俺達の場所がわかった!?」

「戦場で培ってきた勘ってやつよ」

「なん……だと……?」

「くっ、これほどまでの猛者がいたとはな……」

「なぁに、たいしたことじゃないさ」

「誰か音だってツッコめよ」

「あ、そっかー!」


 和気あいあいとした雰囲気に。


「よし、暗闇も解けたし……〇ねぇ!」

「今度こそ地獄に送ってやんよ!」


 一転、殺伐とした雰囲気に。

 ポーションを飲んでHPを回復しながら、後ろの2人を守るように立ち回る。


「当たるかよっ……ぐえ!」


 矢を避けたところを、槍で突く。

 さらに、その硬直を狙って魔法がヒット。

 たまらず逃げようとしたところに、矢が降り注ぐ。


「ふははっは! 残念だったな!」


 残りHPあとちょっとまで追い詰めたけど、ガケに飛び込まれてしまった。

 弓のおじさんが上から狙うけど、岩場を巧みに利用しながら去っていく。

 もう1人の相手も、自陣へ逃げていく。


「無理に追わないで旗守ろう」

「んだな」

「はい」


 残りゲージを確認すると、あとわずかになっていた。

 防衛に専念する。


『すまん! スルト死亡』

『どんまい』

『結構惜しいところまで行ってたけどなー』

『さすがに城直通はきつかったか』

『2体目出す?』

『今からじゃ間に合わん』

『もはやこれまでか……』

『あきらめるなよ……あきらめんなお前! どうしてそこでやめるんだそこで! もう少しがんばってみろよ!』

『でも、このゲージ差はさすがに……』

『ダメダメダメダメあきらめたら! 周りのこと思えよ、応援してる人たちのこと思ってみろって! あともうちょっとのところなんだから!』

『こんな絶望的な状況でも、勝てるのか……?』

『俺だってこのキルレートマイナス10(※1)んところおこぼれキルが取れるってがんばってるんだよ!』

『そうだな……俺としたことが弱気になってたぜ!』

『絶対やってみろ! 必ず目標達成できる! だからこそ、Never Give Up!!』

『いける、けるんだ! まだすべてを出し切っちゃいない! 最後まであきらめたりしない! 俺たちの戦いは、これからだ!』


 デーデデデッデーン!


 結果画面が出てくる。

 敗北。

 最後までゲージ差を返すことができなかった。


「もう一歩でしたね」

「ナビ子さん」


 ひょっこり出てくる。


「いい感じのアングルにはなるんですけど、いまいち張り付き具合が足りないというか……もっとこう、肉がはみ出すようなピッチピチ感が欲しいところですね。具のラインが出る感じで。あともう10kg増量願いたい」

「?」

「そう考えると、やっぱりスパッツよりはおパンツが安定ですかねぇ。チラッと見えただけでもはかどりますもん。ロリのおパンツという響きだけで神器級のアーティファクト感ありますわ。もちろん、スパッツも悪くはないんですけどねぇ。ニオイも汁も制限されているこの世界だと、いまいち魅力が半減してしまうというか……。せっかく戦場にいるんだから、もっとこうぐっちょぐちょになって張り付いたりするべきなんですよ。運動後のムレムレ要素は必須なんです。もわっとね、もわっと。それさえあればおぱんつにも勝てる潜在能力があるというのに、悔やむべきはこのクソシステム。制作者はホントわかってませんわ。しかし、それだけのハンデがあろうとも、スパッツの魅力が完全に封じ込まれるわけではない。なぜなら我々は……」


 ぶつぶつと何か語っている。

 戦場でのこと……ではなさそうだし、お仕事関係の話かな?

 邪魔をしたら悪いので、そっとしておこう。

 だんだんとナビ妖精の扱い方がわかってきたようです。


※1、キルレート:自分が何回死んで相手を何人ぶっ殺したか、を比率にしたもの。

 似た意味で『キルレシオ』という言葉もあるけど、違いがよくわからない。

 なんとなく雰囲気で使っとけば大丈夫。

 キルレートマイナス10の人は『10回の殺し合いで9回死んで1回ぶっ殺せた』という意味で使っているとすると、キルレートだと10%、キルレシオだと0.11になる。

 満員電車でのキルレート90%だとすると、行き帰り合計で月に4回は漏らす計算になる。

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