迫り来る影
「?」
岩場を下りていくと、一際大きな結晶があった。
これも魔力石だよね?
つるはしマークが出てきたので、掘ってみる。
カン、カン。
『魔力石×2を入手しました』
1度に2つ拾えた。
大きいだけあって特別っぽい。
この調子で掘り進める。
カン、カン。
カン、カン。
……。
光が消える。
合計で12個も取れた。
大きさで採れる量が違うようだ。
他にもないか探してみる。
「んーと……あった!」
普通の結晶だけど、3つ並んでいた。
片っ端から掘っていく。
教えてもらった通り、この辺りは穴場になっている
今のうちにいっぱい集めよう。
『東援軍求む』
『投石機壊されちゃう!』
『タイタン(※1)出す』
『西の砦に人いねぇ』
『炊事場どこー?』
『ゲージ負けしてるから旗立ててこーぜ』
『石が足りない!』
『西奥も敵きた!』
『何でもいいから召喚しようぜ!』
『あかん、落ちるぅー!』
『どっち行きゃいいんだ!?』
情報が入り混じっている。
マップを見ただけでは状況がわからない。
石はまだまだ必要そうだし、みんなを信じて掘り続ける。
カサカサ……。
「?」
何かが擦れるような音。
動物でも現れたのかな?
そう思って辺りを見るけど……。
「……」
岩や結晶があるだけで、他に動く姿はない。
気のせいかな?
不思議に思いつつも、石集めを続ける。
カサカサ……。
やっぱり聞こえる。
音のするほうを見るけど……誰もいない。
もしかして、隠れて誰か近づいてきている……?
「……」
槍に持ち替えて『のけぞり無効』を使用する。
開始前に『ハイドで襲ってくる』と忠告してくれた人がいたのを思い出す。
これがまさに、その状況かもしれない。
他にも状態異常スキルがあるはずだし、先制攻撃されてしまったら逃げることすら難しい。
岩の上の広い道に出れば、誰か気づいてくれるかもしれない。
どうにかして、そこまで移動を……。
カサカサ……。
「!」
先回りされている。
少なくとも、誰かがいることは間違いない。
ボクが狙われていることも。
国家戦に慣れている相手だとしたら、勝ち目はない。
別方向から逃げよう。
カサカサ……。
「!?」
今度は逆方向から。
一瞬で移動した?
走ったような音は聞こえなかったけど……。
移動スキルかな?
カサカサ……。
また別の方向から音がする。
スキルを使ったにしても、そんなに連続で使えないはず。
そうなると、1人じゃなくて、複数いる……?
もしそうだとしたら、逃げ切れそうにない。
カサカサカサカサ。
一斉に音が近づいてきた!
こうなったら、覚悟を決めるしかない。
槍をギュッと握る。
せめて、少しでも時間を稼いで、他の人が有利に戦えるようにしたい。
せんりは にげだした!
しかし まわりこまれてしまった!
※1、タイタン:巨人型の召喚獣。
基本的なスペックはギガンテスと一緒で、攻めよりは受けが得意。
ギガンテスとはよくケンカしているけど、嫌いではない。
むしろ好き。
自分の部屋をギガンテスの写真で埋め尽くすくらい大好き。
戦場でもよく熱い視線を送っている。




