フィールドマップ
「……(ビクンビクン)」
ナビ子さんの尊い犠牲(?)もあり、無事にスキルレベルが3に上がった。
・ブレッシングを使用する。
・ブレッシングを他人に使用する。
・ブレッシングの残り時間が10秒以内で再使用する。←NEW
新しい項目が追加された。
けど、これ以上スキル修練するのはやめておこう。
ナビ子さんも限界っぽいし。
「……」
それより、気になるのは消費スキルポイント。
ブレスの場合だと、0、2、5~と右上がりの上昇値。
9→10なんかは30も使う。
最初からあった10ポイントと、レベルアップで入るポイントで、現在の累計が15。
全然足りない。
今のところ、レベルアップで1ずつ増えている。
レベルが高くなれば、もっと取得量が増えるのかな?
そうじゃないと、とても覚えられそうにない。
「りょーちゃんに聞いてみようかな」
「何だ?」
「わっ!」
振り返ると、りょーちゃんがいた。
「びっくりした……」
「ちょうど呼ばれたからな。それで、何か用か?」
「あ、うん。スキルポイントなんだけど、レベルによって増え方が違ったりするの?」
「1Lvで1SPは変わらない」
「ポイント足りないような?」
「レベリセ(※1)できる」
「あ、そうやって増やすんだ」
「そうじゃなきゃSLv10は取れない」
「だよね」
1→10までの必要ポイントの合計が、100以上あったりする。
レベル上限がどれくらいかわからないけど、そこまで上げるのは大変そう。
「レベルリセットの方法は?」
「前回リセットしてから2週間」
「2週間待つだけでいいの?」
「ああ」
「じゃあ、ゆっくりやっていても覚えられるんだ」
「SP欲しいならできる限り上げたほうがいい」
必要ポイントから計算すると、リセットまでにメインのレベルを60くらいまでは上げたいところ。
「りょーちゃんは、どれくらいまで上げられそう?」
「最低70、目標100」
「わりと厳しいのかな?」
「Lv上げだけしてれば余裕だが、他にやりたいこともある」
「なるほど」
りょーちゃんがそれくらいってことは、ボクだと50くらいが限界かも。
1つのスキルを10にするだけでも、1ヶ月単位でかかりそう。
「リセットがあるにしても、スキルポイント足りないよね」
「累計Lv10と20でクエストくるから、そこで多少もらえる。レベリセ後にもクエストある」
「それはうれしいかも」
レベル上げがきつくなってきたら、そういったクエストで稼ぎたい。
「SLv10に上げきるまでは、SP効率のいい場所で止めるか、効果上昇の多い場所で止めるといい」
「りょーちゃんも止めてる?」
「メインスキルだけ10振った」
「全部は取れてないんだね」
まだ始まって1ヶ月ちょっとだし、さすがのりょーちゃんでも振り切れてないようだ。
「Lv上げに行くか?」
「うん。矢を買ったらお金なくなっちゃったし」
「矢筒は?」
「お金が足りなかったよ……」
「あるぞ」
「?」
何かを投げてくる。
矢筒だ。
「いいの?」
「売ったところで金にならないし、複数持っていても使わない」
「ありがと」
せっかくの好意なので、大事に使っていこう。
さっそく装備する。
「……冒険者っぽくなったかな?」
「そうだな」
狩人的な感じで、ちょっとかっこいい。
服装がちょっと合わないけど。
「雪ウサギ狩りでいいか?」
「場所は任せるよ」
「わかった」
町から出て、どんどん北へ進む。
今回はインスタンスダンジョンじゃなくて、フィールドで狩るらしい。
「わぁー……人多いね」
町から近いせいもあるのかな?
マップのいたるところで、モンスターを追いかけ回している人が見えた。
武器や魔法を使って、次々とスライムを倒している。
チュートリアルで見た青いスライムの他に、赤いスライムもいた。
「素材狙いだろう」
「べとべとの体液?」
「『こりっとした消化器官』狙い」
「何種類かあるんだ」
「素材2種と、薬草、強化アイテム、木の棒、エンチャ、のテーブル(※2)」
「いっぱい持ってるんだね」
あの体の、どこに埋まってるんだろう?
スライム自体そう大きくないので、木の棒とか持ってたらはみ出そうな気がする。
「たまに『木の棒』はみ出てるヤツもいる」
「ホントにはみ出るんだ!」
ちょっと見てみたいかも。
「あと、ユニーク(※3)がたまに湧く」
「えーと……レアモンスター?」
「ああ。銀色のスライムで、倒すと経験値がうまい」
「これだけ人いると、争奪戦がすごそうだね」
「高額レアが落ちるマップでは、24時間体制で張りついているギルドもある」
「夢があるね」
他のゲームでも、よく見かける光景。
PKが許可されているゲームだと、狩場を巡って戦争に発展することも多い。
「りょーちゃんは、しないよね?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……ああ」
だいぶ気になる間があったような……?
ゲームくらい好きやればいいと思うけど、体だけは壊さないようにしてほしい。
「着いたぞ」
スライムゾーンを抜けて、ウサギゾーンに入ったようだ。
白くてフワフワしたウサギが、たくさんいる。
「雪ウサギって、この子たち……?」
「ああ」
「これを狩るの?」
「そうだ」
「狩りをするには、抵抗のある見た目なんだけど……」
普通のウサギと比べると、ちょっと大きい。
でも、見た目はそのまんま普通のウサギ。
もしゃもしゃと草を食べてる姿がカワイイ。
「そう思うなら攻撃してみればいい」
「うーん……」
スライムとかスケルトンとか、あきらかにモンスターっぽい見た目なら気にならない。
ここにいるのは、目がくりっとしたウサギさん。
動物虐待みたいで、どうしても罪悪感が……。
「まずは100匹狩るぞ」
やる気になっている。
かわいそうな気もするけど、これもゲームの一部。
りょーちゃんと自分にブレスをかけてから、弓に持ち替える。
「……」
弓とか構えたことないけど、これでいいのかな?
狙いをつけて放ってみる。
ぽいーん。
「あ、あれ?」
およそ弓らしくない軌道を描いて、地面に落ちる。
引きが足りなかったのかな?
「……」
今度は、しっかり引いてから放つ。
ぴょーん。
だいぶフラフラしてるけど、前には飛んでいった。
飛んではいったけど、狙った場所とはまったく違ったところに刺さる。
「難しい……」
まっすぐ飛ばすことすらできない。
ゲーム的な補正で、当てやすくなったりしないんだろうか?
まったくの素人では扱えないかも?
「型とか覚えたほうがいいのかな?」
「覚えるより慣れろ」
「そうは言っても……」
いろいろ試しながらやってみるけど、なかなか安定しない。
少しずつ飛ぶようになってきたけど、狙いをつけるとなると別問題。
ぶすり。
「あっ」
当たった。
偶然とはいえ、ようやく目標に矢が届く。
むくり。
矢が刺さった雪ウサギが、おもむろに体を起こす。
「……え?」
目の前の光景に、一瞬思考が停止する。
どこに隠していたのか、ムキムキな腕が生えていた。
毛深い人間のような腕。
ボコッ。
さらに、両足を使って立ち上がった。
ウサギの後ろ足じゃなくて、人間みたいなムキムキの足。
立ち上がった姿は、2mはあろうかという巨体。
厚い胸板。
きれいに割れた腹筋。
顔だけはかわいいままなので、違和感がすごい。
ズドドドドドド!
「!?」
ムキムキマッチョなウサギ人間が、全速力でこちらに向かってきた。
ツイッターに『生前の何かがこびりついてる弓とスケルトン』のイラストを載せました。
何か気になる方は、ぜひご覧になってください。
https://twitter.com/yosagenanamae/status/1127049601238818816
※1、レベルリセット:がんばって上げたレベルをまた1からやり直す穴を掘ってまた埋めるようなシステム。
いろんなスキルを取って強くなるゲームなので、スキルポイントを求めてひたすらリセットしてレベル上げを繰り返す。
たまにリセットせずに最高レベルを目指すクレイジーなプレイヤーもいる。
※2、ドロップテーブル:いろいろとアイテムを持ってる状態。
ドロップアイテムの抽選方法に関係がある。
テーブル1と2にそれぞれポーションが設定されていると、同じモンスターからポーションが2つ同時に落ちることもある。
同じテーブル内に武器1と武器2がある場合は、同時にドロップすることはない。
現実世界で説明すると、鼻をかんだら同時に尻からも出ちゃうこと。
※3、ユニークモンスター:通常のモンスターとは違うレアモンスター。
決まった時間に現れたり、1体倒したらマップのどこかに1体現れる仕様だったり、通常のモンスターが突然変異するパターンなどいろいろ。
ステータスやドロップ品も変わるので、一獲千金を夢見たプレイヤーによって日々狩られまくっている。
多くの場合は大量のポーションを獲得することになる。
現実世界で説明すると、春先になると現れる全裸コートで道行く人にガバッとするおじさん。




