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『シンさん! 視聴者数がさらに増えました!』

「そうか、全員の身元を調べて丁重に通報しといてくれ」


 おっさんと抱き合っていたら配信が盛り上がっていた。

 予想はしていたが僕の手には負えない。

 格子が付いた建物の中で保護しておくのがいい思う。

 そのままエサを与えずに放置しておけば世界が少し平和に近づくのではなかろうか。

 末期の患者だからどの道助からないだろうし。


 ズゴゴゴゴ……。


 また変な音が聞こえてきた。

 どうせアホみたいな攻撃してくるんだろうけど、一応ボスの動きに注意する。


「……」


 いやデカすぎて何にもわからんわ。

 ただの壁があるだけだわ。


「兄ちゃん、穴掘ったほうがいいぜ」


 パンティーをかぶった変態がようやく僕を解放してくれる。


「穴?」

「おう」


 何かの隠語かと思って尻を押さえる。

 その状態で周りを見ると、おっさんたちが地面を掘っていた。

 物理的に穴を掘ることで合っているらしい。

 尻から手を離す。

 抗争相手でも埋めるための穴だろうか。


「土魔法かスコップでもあれば早いんだが……まあ、素手でも間に合うさ」

「間に合うとは?」

「ほら、アレだよアレ」


 巨大クジラを示す。

 だからボスを見ても何の変化もわからない……というか、変態と普通に会話しているこの状況がすでにおかしいな?

 あまりにも衝撃的な事案があったせいで、パンティーかぶっているくらいじゃ動じなくなってきた。

 実害がなければ人の服装なんてどうでもいいことだ。

 吸い心地もよかったし。


 ズゴゴゴゴ……。


 さっきより壁が近づいてきている気がする。

 移動しているのかと思ったが、地面にぺったりとくっついたまま。

 飛んでいるわけではないようだ。

 この状態で近づいてくるとしたら転がるくらいしか……。


「!?」


 あのクジラ、転がってるのか!?

 よく見たら地面と接触している部分から土煙が上がっている。

 ブリーフマッチョの変態が戦っていたときみたいに左右に揺れ動くだけじゃない。

 完全に転がっている。

 逃げ回っている人もいるようだが、人の足で逃げられる速度ではなさそうだ。

 逃げ遅れたおっさんたちがプチプチ潰されている。

 だから穴を掘れと言ったわけか。

 横にも後ろにも逃げ道がないとしたら下方向に逃げるしかない。


「……」


 装備している木の棒を見る。

 これで人が1人分すっぽりと入る穴を掘れと?

 地面は乾いた土だから掘れないこともないだろうが、木の棒1本で掘るのは難儀すぎる。

 例の娘くらいのサイズだったらやれないこともなさそうだが、大の男1人分は不可能ではなかろうか。

 不利すぎるパイセンのボディ。

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