魅惑のおっぱい
「酔っちまったなら仕方ない。目をつぶってな、俺が運んでやるよ」
「え?」
ガシッ。
パンティーをかぶった変態が僕の体を持ち上げる。
お姫様抱っこの体勢となり、腹肉の中にむにゅっとめり込む。
ファンからお姫様抱っこをせがまれることはあったが、まさか自分がお姫様抱っこされる日が来るとは夢にも思わなかった。
どっしりと安定感があってぷにぷにとした感触。
妙に気持ちいいのが悔しい。
「すぐ終わるから心配はいらねぇぜ」
「だから僕はもう辞め……いやぁあああああ!?」
パンティーを被った変態が猛スピードで移動を開始した。
ただ走って移動するのではなく、小刻みにジャンプしながらの移動。
夢に見るあの動き。
当然のことながら上下に激しく揺れ動くわけで、抱きかかえられている僕も同じように動くことに。
酔いそう。
しかも、目の前ではおっさんの巨乳がリズミカルに跳ね回っている。
吐きそう。
顔にぺっちんぺっちんと当たって大変鬱陶しい。
でも、先っちょが口元に当たると、なんだか吸い付きたくなるような不思議な気持ちに……。
「うぉおおおおおおおお!」
頭を振って邪な気持ちを追い払う。
何を血迷っているんだ。
おっさんの乳ぞ?
パンティーかぶったおっさんの乳ぞ?
心乱されることなんてあってはならない。
色白で柔らかくて先っちょはキレイなピンク色をしていて誰もが羨むような巨乳であっても、コレおっさんの乳だから。
「移動中に暴れると危ないぜ?」
「暴れなくても危ないんだよ!」
「おおぅ?」
目を閉じて心穏やかにやり過ごせば問題ない。
何かが当たっても気にしなければいいだけのこと。
しょせんは脂肪の塊。
恐れることは何もない。
たぷん。
たぷん。
たぷん。
ちゅぱ。
「着いたぜ」
またボスのところに戻ってきてしまった。
あいかわらず巨大すぎてどの部位なのかわからないが、視界がほぼ埋まっているということはボスで間違いない。
「ん?」
「どうした? 兄ちゃん」
「なんだか色が……」
全体的にもっと青っぽい色をしていたが、上部のほうが赤みがかっていた。
かすんでいてはっきりとは見えないが。
「ああ、段階が進んだからな」
パンティーをかぶった変態が教えてくれた。
プレイヤー側が一方的にボコられているように見えるのに、ボス討伐は順調に進んでいるようだ。
これだけ人数がいるから誰かしらはダメージを与えているんだろう。
……というか、いつまでお姫様抱っこされているんだろう?
男と男が抱き合うって相当きつい絵面だよ?
イケメン×イケメンならともかく、イケメン×変質者だよ?
男同士が好きな歴戦の女子たちでも敬遠するくらいニッチなジャンルだよ?
いくら僕がイケメンでもカバーしきれない画面圧。
でも、抱かれているほうとしては案外嫌じゃないかも……。
おっぱいは本能。




