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もっちりダム

「またクジラのくしゃみか」

「流されないために密集するぞ!」

「おうよ!」

「もっと近くへ!」

「肌と肌をくっつけないと!」

「そこの兄ちゃんもこっちへ!」


 おっさんたちが手を伸ばしてくる。


「いや僕は1人でも大丈夫なんで……」

「遠慮すんなって」

「ホント大丈夫っす」

「助け合いの精神だよ」

「どうぞお構いなく」

「ほら、俺の前が空いてるぜ?」

「大丈夫だって言ってるだろ!」

「俺の後ろもオッケーだ」

「1人にさせてくれって言ってんだよぉおおおお!」


 おっさんの群れから逃げ回る。

 邪魔をするな。

 できる限り遠くまで流されてさっさとログアウトしたいんだよ。

 そもそもあの中に入りたいと思うわけがないだろう。

 見知らぬおっさんと密着とか無理。

 ありえない。

 ブリーフマッチョの変態と抱き合った事実はあとで記憶から消しておこう。

 先輩アイドルからもらった幸せな気分になれる薬でも飲んで寝れば忘れられるはず。


 びっちゃぁああああああ!


 水が降ってきた。

 先ほどと同じく洪水になって襲ってくる。

 あとはこれに乗って見知らぬ場所まで流されたらゲームクリアだ。

 地形と川の流れを読み、おっさんたちとは違う方向を目指す。


「ここだ!」


 自ら川の中に飛び込んでいく。


 ざぶーんっ!


 すぐさま顔を出して流れる方向を確認する。


「……よし」


 いい流れに乗れた。

 ブリーフマッチョの変態とは完全に逆方向。

 他のおっさんたちもまとめて流されていたし、もう誰も止める者はいない。

 これでようやくゴールできる。

 

 長く苦しい配信だった……。


 むにゅんっ。


「?」


 何か柔らかいモノに当たって止まる。

 体を起こして確認しようとするが、流れが激しくて水面まで上がれない。

 この感触は岩や木などではなさそう。

 同じ方向に流されていたおっさんの体に当たったことも考えられるが、変態マッチョはそれこそ岩のように硬かった。

 腹がたるんだおっさんだったとしても、ここまで柔らかいことはありえない。

 まるで赤ちゃんの肌のようにもちもちしている。


「ウブブブブ……」


 その柔らかいモノに体全体がめり込んでいく。

 腕や肩が当たっている部分はもちもちしているが、顔面がめり込んでいる部分の質感は布っぽい。

 部分によって質感が違うようだ。


 もみもみ。


 手を伸ばして周りを探ってみると、これまた柔らかくてもちもちしたモノが地面に向かって伸びていた。

 上部のもちもちと比べると少し張りがある。

 ほどよい硬さのパン生地といった感じ。

 ちょうど顔面がめり込んでいる辺りから2つに分かれており、しっかりと上の部分を支えていた。

 濁流にもビクともしていないようなので、相当の重量がありそうだ。

 川の勢いが治まるまでしがみつく。

 大きな赤ちゃんがゲームをしている可能性。

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