全町会議
「お、いたいた」
「?」
お城に向かって歩いていたら誰かに声をかけられた。
振り返ってみると、是義さんが手を振りながら歩いてきた。
「こんにちは」
「おう、嬢ちゃん。会議に参加できるかい?」
「会議ですか?」
「ボス討伐の全町会議」
「?」
なんのことだろう?
詳しい話を聞いてみる。
「4町のとある渓谷に新種のボスが出現してな。その討伐のために各町トップギルドのメンバーを集める予定なんだわ」
「そんなに強いボスなのでしょうか?」
「最初に発見したギルド数十名はその場で全滅。そのあと500人近く集めて挑んだが3分と持たずに全滅したそうだ」
「500人!」
通常のフィールドボスでそこまで強いモンスターはいないはず。
このゲーム最強のレイドボスを含めたとしても、それができるのはHPが減って強化されたデザートエビくらい。
新しいレイドボスが実装されたのかな?
「当然嬢ちゃんはVIP待遇だ」
「ギルドには所属していないのですが大丈夫でしょうか?」
「戦力になれば誰でも問題ない。単純にトップギルドに戦力が多いってだけの話さ」
支援だけでいいならボクでも力になれるかも。
後方支援に徹していれば凶悪な強さを持ったボスでも問題ないはず。
その後衛ラインまで襲ってくるようなタイプだとしたら、復活地点で支援スキルをばらまいていればいい。
攻城戦ではだいたいそんな感じの役割をしている。
レイドボス戦でもそう変わらない。
「その会議はいつ開催されるのでしょうか?」
「今週の土曜に一度集まって会議して、日曜に討伐かな? 時間は人が多いゴールデンタイムになるはず」
「わかりました。できるだけ参加したいと思います」
「あいよ、伝えとくわ」
「よろしくお願いします」
今週の土日は特に予定は入っていない。
夕食の時間や睡眠時間にかぶらなければ参加できると思う。
「そんじゃまた連絡するわ……って、フレンドじゃないとメールできないんだっけ?」
「はい、相変わらずのようです」
メールや取引の制限はずっとかかったまま。
一度メール上限まで行ってしまうと解除されない仕様なのかもしれない。
連絡を取るために是義さんとフレンド登録をする。
「よし、これでオッケーと。そんじゃまた後日」
「はい、さようなら」
是義さんと別れる。
新しいボスはどんな感じなんだろう?
まだ見ぬ強敵に胸が躍る。
なるべく人を集めたほうがいいだろうし、フレンドのみんなにも声をかけておいたほうがいいかな?
会議のときに説明はあると思うけど今のうちに予定くらいは聞いておこう。
裸のおっさんがイスとか足置きになってくれるVIP待遇。




