たまには活躍する田中
「赤いの出てきたんだが?」
部屋の中央にいる『レッドスケルトン』。
色が違うので、暗いダンジョン内でも目立つ。
「とりあえず殴ってみるか!」
「あ、死んだな」
「さっきも見たこのパターン」
迷わず突撃する田中くん。
その動きに反応して、スキルを使うレッドスケルトン。
「しゃらくせぇ!」
お構いなしに攻撃。
スキルをキャンセルさせ、クリティカル判定の攻撃が通る。
のけぞりに追撃。
「これで決まりだ! スットラァアアアィェアッシャアアアーー↑↑」
ノックバックしたところを追いかけ、スキルを使用。
レッドスケルトンの対応は、防御。
流れるように攻撃が決まり、勝利する。
「どうよ! この俺の素晴らしき戦略!」
「ただのゴリ押しにしか見えなかったが」
「やりたいことだけやってる感」
「素直にほめてくれてもよくね!?」
田中くんすごい!
自分の場合だと、どうしても様子見してしまうクセがある。
真っ向から立ち向かっていくなんて、とても真似できそうにない。
「SENRIさんは、ほめてくれますよね?」
「うん、かっこよかったよ!」
「あ……どうも……」
「自分で言っといて照れるなよ」
「キモい」
「女子にほめられる機会がないんだよ! かーちゃんから『あんたは悩みなさそうでいいわね』ってほめられるくらいだよ!」
「まあ、悩みがないってある意味才能だな」
「人生楽しそうでうらやましいわ」
「なんだよ。お前らにほめられたってうれしくねーぜ」
「この反応である」
「わりと本気でうらやましい」
みんな慣れてきたし、本格的に攻略を開始する。
まずは、全員に支援をかけよう。
……と思ったけど、5人分だとMPが全然足りない。
自分以外のブレスを優先して、あとはMP回復しながら順番にかけていこう。
「うおお! 支援魔法きた!」
「これで勝てる!」
「負ける気がしねぇぜ!」
「まだスキルレベルが低いから、そこまで効果は高くないけど」
「いやいや、SENRIさんが支援してくれるだけで力がみなぎってきますよ」
「田中、アウトー」
「なんで!?」
「主に顔がキモい」
「生まれつきなんだが!?」
みんなが戦っている間も、ひたすらお座りと支援を繰り返す。
一通り支援をかけ終えちゃえば、しばらくは余裕が出るはず。
「うおっ!?」
鈴木くんがスケルトンの攻撃を避け損なう。
残っていたMPを使ってヒール。
「ぐぇー」
その間に、田中くんが倒される。
リザレクションを使うほどの余裕はないので、復活薬を使う。
MPが回復次第、また支援をして……。
「おぎゃぁ!」
そうこうしているうちに、佐藤くんのほうもピンチに……。
「た、助け……」
「今行くぞー!」
「俺もいるぜ!」
佐藤くんの救援に、2人が向かう。
「ぐぇー」
「そいっ!」
田中くんが攻撃を受け止め、鈴木くんが仕留める。
「なんだかんだ言いながら、しっかり肉壁してるじゃん」
「性根がドMだからな」
「違うわ! SENRIさんに誤解されるだろ!」
「え? サッカーすると必ず顔面ブロックするのに?」
「え? ドッジボールをすると必ず顔面セーフするのに?」
「狙ってやってるわけじゃない!」
「ああ、自然と体が……」
「やはりドMの血が……」
「やめろぉー!」
MP回復が間に合ってないので、座って待機。
複数人同時に支援するのは、思っていたより難しいかも。
「あ、後ろから来てる!」
「うお!? だが、これくらいの攻撃なんぞ!」
スケルトンからの攻撃を、2刀で受け止める。
ザクッ。
「おう?」
そのまま攻撃が通り、斬り倒される。
「鈴木ぃー! くそっ! ここは俺がなんとかするしか……って、こっちにもスケルトンギャー!」
ヒールが間に合わず、3人とも倒れてしまう。
「ガードしたはずなのに攻撃食らったんだが?」
「盾判定の装備がないと普通に食らう(※1)」
スケルトンを片付けてきたりょーちゃんが、鈴木くんの質問に答える。
「え? ガードしても無意味ってこと?」
「クリティカル判定は防げる」
「ダメージ通ったらダメじゃね?」
「だいたい死ぬ」
「ダメじゃん!」
「回避すればいい」
「出たよ! リョウの無茶振りが!」
「小足見てから無敵技合わせればいい、とか言っちゃう人だよ!」
「そもそも、回避しようにも急に体が動かなくなるんだが?」
「あ、俺だけじゃなかったのか」
「だよな? バグか?」
このゲーム特有の硬直にとまどっていた。
「だいたいどんな行動をしても、硬直時間が発生する設定になっているよ」
「マジっすか」
「やけに体が重いと思ったら」
「超速乱れ斬りみたいなのはできないってこと?」
「もしかしたら、そういったスキルがあるかもしれないけど……」
「ない」
りょーちゃんが断言する。
「空中を駆け抜けるようなスタイリッシュアクションは!?」
「できない」
「2丁拳銃で雑魚をなぎ払うようなエキサイティンプレイは!?」
「銃がない」
「背後に数十本の武器を浮かべて相手を攻撃するファンタスティックスキルは!?」
「矢なら3本くらい展開できる」
「なんてこった……」
「ダメなのか……」
「俺の野望が……」
ガックリとうなだれる田中くんたち。
いろいろと制限が多いせいで、現実よりも自由度は少ない。
「まあ、今のところおもしろいからいいか」
「小遣い消えちまったしな」
「慣れちまえばどうにでもなるだろ」
よかった。
友達と一緒にゲームできたほうが、やっぱり楽しい。
「次行こうぜ! 次!」
「だな」
「じゃんじゃん狩るぜー!」
みんなに支援スキルをかけつつ、次の部屋へ。
花粉症が落ち着いてきて画面が見えるようになったので『Dカップでヒーラーのお姉さん』を描きました。
いつもの感じで描けたと思います。
https://twitter.com/yosagenanamae/status/1168162321576759296
※1、盾なしでのガード:人は斬られると死ぬ。
スキルのガードが発動しないとダメージが減少しないので、防御しようが、棒立ちだろうが、ケツを向けていようが、すべて同じダメージが入る。
急所を押さえているとクリティカルダメージが入りにくくなるので、まったく無意味なわけでもない。
裸でロウソクを浴びると、どこに当たっても『あぁん』となるのと一緒。
急所に当たると『おほぅ!』。




