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この場所にいないのに話題として出てくる小林

「うちの田中が迷惑ばっかりかけてすみません」

「支援とか大変でしょうから、ほっといていいですよ」

「おいぃ?」


 鈴木くんと佐藤くんが謝ってくる。


「いつもりょーちゃんと2人だから、みんなと遊べて楽しいよ」

「ぐふぅ……」

「あ、ホレたわ」

「この笑顔の破壊力よ」

「?」

「そしてこの表情である」

「しぐさ一つを取ってもカワイイんだよなぁ」

「顔はナツと一緒だけどな」

「いくら顔が同じでも、リアル女子とは違うだろ?」

「まあ、そうだけど……ナツに女装させたら同じになるのでは?」

「バカヤロウ! ナツは男だろ! 変な目で見てどうする!」

「そ、そうだよな。ナツを好きになるとか……小林じゃあるまいし」

「あ、当たり前だよな! ナツで興奮するなんて小林くらいなもんだろ」


 『現実のほうのボク』について話していた。

 ちゃんと男として見てくれていて、うれしい。


「……彼氏とかいるんかな?」

「リョウといるのがその答えだろ」

「マジか。マジかー」

「正直、リョウはナツと付き合ってると思ってた」

「だよな。女に興味なさそうだし、あいつらいっつも一緒にいるし」

「そうなると、ナツの片思いか……?」

「どうだろう?」

「単純に友達として付き合ってるのでは?」

「じゃあ、ナツは今フリー……?」

「……」

「……」

「だ、だからどうってこともないけどな!」

「も、もちろんだぜ! そんなの聞いて喜ぶのは小林くらいだぜ!」

「あ、当たり前だよな! 男にホレるとかないわ! 小林と違うんだから!」


 小林くんのことも話していた。

 部活をやっているから、なかなか一緒に遊ぶ時間を作れない。


「あーあ、ナツも一緒にできたらよかったのに」

「SENRIさんと一緒にいるところ見たい」

「両手に花だな」

「花か……? まあ、そこらの『男同士でいろいろするアレ』でフンフンしている女子より花あるか」

「でも、服装は男物限定なんだろ?」

「スカートとか絶対似合うのにな」

「あんな感じか」

「……うむ」

「あれがナツだったら確実に小林化してたわ」


 みんなでこっちを見てくる。

 バレてない……よね?


「ところで、見分け付くのか?」

「さすがにそりゃわかるだろ……わかるよな?」

「どうだろう?」

「こうして見てると、マジでナツそっくりだし」

「ホント似てるよなー」

「2人で会ったりしてるのかな?」

「親戚なら会うんじゃね?」

「SENRIさん、普段はナツと会ったりしてるんですか?」

「!」


 ボクの話題になる。

 会ってるもなにも、どっちもボク。


「普段は遠くにいる」

「えっ? あ、う、うん。なかなか会えなくて」


 りょーちゃんに合わせる。


「あ、そっか。ネットがあれば地球の裏側からでもゲームできるもんな」

「すげーリアルだから実際にすぐ目の前で会ってる気になってたわ」

「普段はどこに住んでるんすか?」

「えっ?」


 さらに踏み込んだ質問をされる。

 場所の設定なんかも、当然考えてない。

 助けを求めるように、りょーちゃんを見る。


「SENRIさん困ってるじゃん! プライベートなこと聞くのはやめとけよ!」

「女子にそういったこと聞くのは失礼だぞ!」

「あ、違うんです! そういうつもりじゃないんです!」

「大丈夫だから気にしないで」


 田中くんが平謝りしてくるので、あわてて止める。

 田中くんは全然悪くない。

 元々ウソをついてるのは、こっちのほうだし……。


「そ、それより、次に行こうよ!」

「そうっすね!」

「そうしましょう!」

「もう慣れたからサクサク行けるぜ!」


 たくさん質問されるとボロが出ちゃうので、先へ進むよう誘導する。

 疑われないように注意しないと。

 小林くんは今、何かを振り払おうとするかのごとく、一心不乱に部活に打ち込んでいます。

 その気迫はすさまじく、スパルタで有名な顧問の先生ですら声をかけられないほど。

 四六時中発散していないと抑えきれない『何か』が、彼を突き動かしているようです。

 元々の才能と、異常なほどの練習量。

 彼の才能が開花し、世界で戦うようになるのは、また別の物語。

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