千里の従姉のSENRI(仮)
「従姉だ」
「えっ?」
りょーちゃんの一言に、ボクを含めた全員にはてなマークが浮かぶ。
「いとこ……?」
「千里の従姉」
3人が顔を見合わせる。
「……そうだったのか!」
「完全にナツだと思ってた!」
「やっぱり女の子だったんだと納得しちゃってたわ!」
「千里の1つ年上」
「あ、そーなんすか! 初めまして! ナツのクラスメイトの田中っす! いつも体が湿っているのでぴったり張り付いたレジ袋が簡単に開けられます!」
「すみません! あまりにもナツと似ていたんで間違えてしまいました! あ、鈴木です! 犬かきがクラスで最速です!」
「佐藤です! よろしくお願いします! 尻の形には自信があります!」
3人そろって頭を下げてくる。
「ちょ、ちょっと、りょーちゃん……」
3人に聞こえないよう、フレンドチャットで会話する。
「どうした?」
「いとこって……?」
「本人だとバレたくないんだろ?」
「う、うん」
「なら、適当に誤魔化せばいい」
「そうかもしれないけど……」
いくらなんでも、すぐにバレてしまうような気が。
「それと、年上というのは……?」
「そのほうが馴れ馴れしくない」
「信じてくれるかな……?」
「大丈夫だろ」
「……」
ここで『ウソです。本人です。女装してやっています』と言う勇気はない。
こうなってしまった以上、いとこキャラで通すしかない。
「えっと……初めまして」
「うっわ、声もめっちゃ似てる!」
「言われなきゃ気づかないレベルっすわ!」
「夏海家の血ぱねぇ!」
すでにバレそう!
変装もしないで違う人を演じるなんて、やっぱり無理がある気がする!
「あ、でも、SENRIさんのほうがカワイイっすよ!」
「だよな! いくらナツが女の子にしか見えないとしても、本物の女の子には勝てませんわ」
「うんうん! やっぱ違うよな!」
あれ?
意外とバレてない……?
りょーちゃんからの説明があったせいか、信じてくれたっぽい?
「SENRIさんは、いつも同じニックネーム使ってるんですか?」
「えっ?」
「いやー、ナツの名前もセンリって読めるので」
「ああ、そういえばそうだな」
「何か別のゲームで使ってた気がする」
もっと考えた名前にすればよかった!
早くゲームがやりたくて、深く考えないで決めてしまった。
「た、たまたまかな?」
「そうなんすか!」
「なんという偶然!」
「よく似合っていると思います!」
すぐにボロを出してしまいそうで怖い。
変なことをしゃべらないように注意しないと。
「ところで、ナツはこのゲームやってないのか?」
「リョウがいるならやってるんじゃない?」
「リョウ知ってる?」
ボクについての質問が。
うまく説明しないと、変に思われちゃう。
「3D酔い(※1)が酷くてやってない」
「マジかー」
「一緒ににやりたかったんだけどな」
「体に合わないならしゃーない」
話を合わせてくれる。
ボクとしても、みんなと一緒にやりたい。
せっかくのオンラインゲームなんだし、パーティー狩りもしてみたい。
……でも、友達が女装なんてしてたら、普通は引くよね?
3人とも大切な友達だし、気まずい関係になりたくない。
「そんじゃ敵倒しに行こうぜ!」
「おっけー」
「武器がないんだが?」
「お? どっかに初期装備とかあるんじゃね?」
「どこに?」
「そりゃアイテムボックスとか……アイテムボックスどこよ?」
チュートリアルをやっていないのか、基本動作に戸惑っている。
「初期配置だと、右下の辺りにあるよ」
「……おー、これか!」
「なんか出てきた!」
「装備あった!」
「ただの棒じゃん!」
「しょぼ!」
「こんなんで世界を救えと言うのか!?」
「職業を選んでくれば、その職業の見習い装備がもらえるよ」
「職業?」
「あれ? スキルって職業関係なく全部覚えられるんじゃなかったっけ?」
「2刀したけりゃ剣士系ってこと?」
「どの職業でもスキルは覚えられるけど、装備やクエストがあるから、ちょっとお得」
「なるほど!」
「さっそく行ってくる!」
「場所ってどこだ?」
「お任せあれ!」
ナビ子さんが出てくる。
「戦士への転職は、マップ左上の『肉ダルマの銅像』がある場所です。画面右上に表示されているマップに○印を付けましたので、参考にしてください」
3人に場所を説明する。
「さんきゅー妖精!」
「これで2刀になれるぜ!」
「あ! 2刀するのは俺だって言ってるだろ!」
ワイワイ言い合いながら、そっちの方向へ歩いていく。
「SENRI様」
「なんでしょうか?」
「あの方々は、SENRI様のお友達ですか?」
「はい、そうです」
「……予想していたのとチガウ」
「えっ?」
「SENRI様のお友達ともなれば、さぞかし濃厚で清浄なロリっ娘がいると思ってたのにぃ!」
空の向かって叫ぶ。
女の子が来ると思ったのかな?
中身は男なので、当然男友達のほうが多い。
「いや、待てよ……? 普段から野郎どもを連れ回しているということに……? つまり、こんな清純派ですぅーみたいな見た目しときながら遊びまくってるわけか! この歳で男をはべらすとは……おいおい、とんでもないロリですなぁ!? そんなん興奮するに決まってますわ!」
「?」
ぐねぐね動きながら飛んでいる。
丸さもだいぶ治まってきて、機敏な動きを見せていた。
ツイッター更新しました。
リボンを装備した感じを描きたかったのですが、鼻水ドパドパ目がかゆかゆで画面がまったく見えません。
体毛がうまく表現できなくて、いつもと違う感じになってしまいました。
https://twitter.com/yosagenanamae/status/1165628520388673536
※1、3D酔い:リアルな感じのゲームをしていると酔ってしまうこと。
VRゲームの時は『VR酔い』と呼ばれている。
車酔いと同じような症状が出るので、無理に続けようとするとリアルの世界が大変なことになる。
対策としては、なるべく爽やかな香りになるようフルーツを多めに食べておいたり、くじけない心を持って平静を保つ方法がある。




