露店でお買い物
露店エリアに到着。
今日も、大量の露店が並んでいた。
「お、ついにエロイ服を買う気になりましたか?」
「服は……資金的に難しいです」
装備の中で、一番見た目に影響の出る部分。
同じ性能でも、値段が全然違う物もあったりする。
こっそり狙っているプレート系装備は、まだまだ手が届きそうにない。
「ヴィーナス装備とかオススメっすよ!」
攻略サイトを見てきたところ、頭装備がお値打ちとのこと。
種類が多いので、投げ売り品なども多いそうだ。
中でもオススメされていたのは『レース付きリボン』。
防御力は0だけど『INT1』『DEX1』『MP5』と、複数効果が付いた破格の性能。
レベリングマップのモンスターがドロップするので、供給の多さから安くなっている。
「水にぬれると溶ける水着なんかもアリですねぇ……」
相場は、2万G~。
色によって値段が変わる。
基本的に、白や黒、原色系の赤や青などは、人気が高め。
地味な茶色や灰色、目に痛い蛍光色などは、安くなることが多い。
今の手持ちが、1万6千Gほど。
ちょっと足りない気もするけど、運がよければ買えるかも?
安くて、できるだけ地味な物を探したい。
「単純にスケスケになる服もいいっすよねぇ」
ちなみに、他部位で補正付き装備を買おうとすると『INT1』だけでも3万G~。
『INT1、STR-5』みたいなデメリット付きの装備でも1万5千G~。
コストパフォーマンスを考えると、序盤はこれ一択といった感じ。
魔法メインの人なら、男性でも装備している人が多い。
「いろいろと興奮する候補はありますけど……結局のところ、何を買う予定で?」
「リボンです」
「まさかのヒモ!? 上級者ですな!」
「?」
安売りしている物がないか、さっそく露店をチェックしていく。
時々ナビ子さんからオススメがあったけど、予算の問題から先送りに。
かっこよくて性能がいい装備は、どうしても高くなっちゃう。
「……」
お店の前に立ち、どうしようか考える。
一通り露店を回った結果、安く売っているお店を発見。
相場が2万Gのところ、1万5千Gという特価品。
すぐにでも買うべきなんだろうけど……問題は色。
オレンジ、黄色、ピンクっぽい紫。
どれも目立つ色。
この色で妥協すべきか。
それとも、他の色が出るまで待つか。
同じような色でも、他の露店だと3万G~で売っていた。
早く決めないと、売り切れてしまう可能性もある。
性能に差があるわけじゃないんだし、買ってしまったほうがいい気がする。
でも、やっぱり、目立ちすぎるのは恥ずかしいし……。
「嬢ちゃん、どうした?」
お店の人が声をかけてきた。
露店用妖精さんではなく、自分でお店を出しているようだ。
「レース付きリボン狙いかい?」
「はい、そうです」
「急な入用ができたんで格安だぜ! うちより安いところは多分ないよ!」
だからこそ、迷っているわけで。
「金が足りないのかい? さすがにこれ以上まけるのは厳しいぜ」
「お金は大丈夫ですけど……」
「何か問題が?」
「その……色が……」
「あー」
これがバンダナとか帽子だったりしたら、多少派手でも構わない。
でも、結構目立ちそうな大きいリボン。
いくら他の男性が装備しているといっても、派手な色のリボンは恥ずかしい。
「しゃーない。とっておきを出してやるか」
ごそごそとカバンを漁り、露店から出てくる。
『MOZU様が取引を申請してきました』
「『はい』押してくれ」
言われた通り『はい』を選び、取引画面を出す。
ぽんっ。
取引アイテムが設定される。
レース付きリボン……なのはいいんだけど。
「レアカラーの真紅! 50k以下では売りたくなかったんだが、15kで売っちゃうぜ!」
赤くて目立ちそうなリボン。
レアカラーだけあって、とても発色がいい。
「これは、ちょっと……」
「なーに、遠慮することはねぇ。おっちゃんからのプレゼントだ!」
「そうじゃなくて……」
「くーっ! そこまで言うなら13kでどうだ!」
「もっと地味なのを……」
「これでもまだ粘るか! なんて商売上手な嬢ちゃんなんだ! でも、そんな目でお願いされたら断れねぇな……10kぽっきり! もってけドロボー!」
パーンッと露店の看板を叩き、取引を迫ってくる。
お気持ちは、すごくありがたい。
ありがたいんだけど、色が……。
「さぁ! 気が変わらないうちに取引しちゃいな! あ、取引の仕方わかる?」
「はい、それは大丈夫です」
「そこの金額入力で10000って入れて……そうそう、それでOKすれば……」
『MOZU様との取引が完了しました』
流される形で取引が成立する。
「あ、ありがとうございます」
「いいってことよ。大事にしてりゃ満足さ」
露店に戻っていくMOZUさん。
手元に残った真っ赤なリボン。
「……」
どうしよう。
ひざにあっつあつのカップラーメンを受けてしまって…