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千里くんのステータスは、どこかヘン?  作者: よさげ
リザレクション取得クエスト
107/1588

墓地

 町から外れた寂れた場所。

 プレイヤーの姿も、それほど多くない。


「あれ?」


 ふと違和感に気づく。

 こんなに日が傾いていたっけ……?

 さっきまで昼間だったはずなのに、もう夕方くらいになっている。

 このゲームって、昼夜の切り替えがあったんだ。

 普段はずっと明るいので知らなかった。

 歩くごとに、どんどん暗くなっていく。


「……?」


 来た道を戻ってみる。

 すると、少しずつ空が明るくなり始めた。

 どうやら、このマップだけで起こる特殊効果らしい。

 なんだか不思議な感じ。

 そんな風景を楽しみながら、先へと歩いていく。




「……」


 夜の世界に包まれると同時に、目的地である墓地に到着した。

 壊れたお墓や、傾いた十字架などが、辺りに散らばっている。


「あぁ~。あのク○みたいな教会と違って、落ち着く場所ですねぇ」

「そうですか……?」


 ナビ子さんはそう言うけど、自分1人だったらちょっと怖い。

 お墓の下から何かが出てきそうだし。

 ナビ子さんや、他のプレイヤーの姿が見えるから、まだ大丈夫だけど……。


 ガシッ!


「ひゃぅ!?」


 突然、足首をつかまれる。

 反射的に足を引き抜こうとするけど、うまく動けない。

 地面から伸びた何かが、ゆっくりとからみついている。


 ボコッ。


 地面が割れ、その何かの正体が明らかになる。


『アー……』


 抜け落ちた髪。

 土気色の肌。

 暗くにごった目。

 ゲームの世界ではおなじみ『ゾンビ(※1)』。


『ガァ……』


 大きく口を開き、かみつこうとしてくる。


「ヒール!」


 とっさに回復魔法を相手に使う。

 効果はあったようで、足首をつかんでいた力が緩む。

 すぐに距離を取り、ロッドを構える。


『ウー……』


 つかみかかるように手を上げ、こちらに向かって移動してくる。

 ……。

 ……。

 ……。


「……」


 遅い。

 数メートルの距離なのに、全然近づいてこない。

 思っていた以上にゆっくりだった。

 カサカサ動くゾンビがいたら、それはそれで怖いけど。


「ブレス!」


 距離があれば安全そうなので、支援スキルを使い弓に持ち替える。

 これだけ動きの遅い相手なら、しっかり狙っていける。


 カンッ!


 予定通り、体の真ん中に命中するけど……。


「遠距離耐性?」


 3しかダメージが通らなかった。

 かなり高めの耐性があるっぽい。

 さすがに、一方的に攻撃できるほど甘くなかった。

 無理やり倒せないこともなさそうだけど、矢の消費がすごそう。

 そうなると……。


「……」


 ロッドで殴る?

 自分の手元と、相手を見比べる。

 向こうは素手なので、リーチは勝っている。

 でも、自分から近づいていくのは、かなり勇気が必要。

 見た目が見た目だし……。


「?」


 頭をそらし、のけぞるゾンビ。


『オエッ!』


 びちゃ。


「!?」


 体を起こすと同時に、何か飛ばしてきた。

 赤黒くて水気のある物体。

 ジュっと、地面から煙が上がる。

 触っちゃいけないモノだということはわかる。


「……」


 いつまでも逃げ回っているわけにはいかない。

 回り込むようにして近づき、ロッドを振り下ろす。


 グチャ。


 何かがつぶれたような感触。

 ダメージは……10。

 近距離耐性はなさそう。


 ブンッ!


「!?」


 攻撃を受けながら、反撃してきた。

 のけぞり無効!

 ギリギリ射程外だったので助かったけど、もう1歩踏み込んでいたら危なかった。


「……」


 遠距離耐性に、のけぞり無効。

 こうなってくると、うかつに手を出せない。

 あとは……。


「ヒール!」


 魔法で攻撃。

 ダメージは14。

 のけぞりも発生している。

 この方法が一番効果的かな?

 ヒーラー用のクエストなので、そこは優遇されているのかも。


『オゲェッ』


 吐き出し攻撃を避けて、ヒール。

 MPが足りなってきたら、距離を取ってお座り。

 そして、ヒール。

 ヒール。

 ヒール。

 ……。




「HPが多い!」


 20回近くヒールを当てたはずなのに、まだ倒れない。

 いつもりょーちゃん任せだったので、火力不足を感じる。

 いくら支援がメインだとしても、武器くらいは強化するべきかもしれない。


『オロロロロ』


 パターンは単純なので、安定して攻略できるのが救い。

 時間はかかるけど、1人でもやれそうだ。


 ガシッ。


「わっ!」


 移動中に足をつかまれ、ひざから倒れる。


「み、見え……見えぇ!」


 目を見開いて、すっ飛んでくるナビ子さん。


「大丈夫です」


『アァ……』


「じゃないかも!」


 すぐにヒールを詠唱し、足をつかんでいるゾンビを追い払う。


『ウゥ……ビチャビチャビチャ』


 元からいたゾンビの、吐き出し攻撃。

 転がるように避けて、なんとか危機を逃れる。


「危なかった……」


 いきなり足をつかんでくるのは、なかなかやっかい。

 捕まっている間に他のゾンビがきたら、対処できなくなっちゃう。


「見えなかった……」


 しょんぼりとした感じで、ナビ子さんがつぶやく。

 もしかしたら、ゾンビの出現を教えようとしてくれたのかな?

 戦闘に夢中で気づかなかったけど、地面が割れるといった前兆があるのかも。


 ガシッ。


「ないかも!」


 ちょうど足元を見ていたけど、いきなり手が伸びてきた。

 ヒールを使って抜け出し、他のゾンビとも距離を取る。


「……」


 どうしよう。

 どんどん増えてきた。

 さっさと倒さないと、他の人の迷惑になっちゃう。


『どこだ?』


 りょーちゃんから、メッセージが届く。


「リザレクションのクエストを受けて、墓地にいるとこ」

『わかった』


 場所を確認したってことは、来てくれるのかな?

 そうだとしても、少しは減らしておかないと……。


 ボコッ。


 近くの地面が割れ、ゾンビがはい出てくる。


 ボコッ。


 ボコッ。


「無理かも!」

 製氷皿の後ろ側を濡らすと取れやすいと聞きました。

 これでもうぐねぐねやっても取れなくてウギーってなることもありません。

 早速チャレンジ。

 水ジャバー!

 ゴトゴトゴト(シンクに直接落ちる音


※1、ゾンビ:RPGの定番モンスター。

 VRでリアルに再現して欲しくないモンスター1、2を争う。

 基本的に動きが遅い種族だが、たまに爆速で近づいてくるユニークな個体もいる。

 現実世界で説明すると、普段は薄暗い部屋の中で運動もせずだらだら生活しているが、イベント会場に着くと普段からは信じられないパワーで物販を買い漁っていく腐った人。

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