リザレクション取得クエスト
「おかえりなさいませ、ご主人様」
ログインすると、ナビ子さんがお出迎えしてくれた。
「こんにちは、ナビ子さん」
「本日のご予定は、いかがなさいますか?」
「えーと……アイテム整理と、スキル振りです」
「かしこまりました」
胸に手を当て、目立たない位置に移動する。
なんだろう。
いつもと雰囲気が違う気がする。
何かに影響されたのかな?
「ご主人様、メールが届いております」
「あ、そうだった」
りょーちゃんから送金があるんだった。
メールを開いて、お金を受け取る。
チャリーン。
「?」
一、十、百……。
「12000G!」
思っていたより多かった。
どうしよう。
こんなに多いとは予想していなかったので、使い道を考えていなかった。
装備の更新が一番かな?
ほとんど初期装備のままだし。
これだけあれば、何か買えると思う。
露店を回る……前に、スキルポイントも振っておこう。
レベルもだいぶ上がったし、スキルポイントもたまっているはず。
「……!」
念願だった『リザレクション』を覚えられそう。
まずは前提スキルを取って、それからリザレクションを……。
『取得条件:フライパンを投げ捨てろクエストをクリア』
他にも必要なクエストがあったらしい。
りょーちゃんは今いないし、頼れるのは……。
「ナビ子さん」
「何かご用でしょうか?」
「リザレクション取得のクエストは、どこから受けたらいいですか?」
「え? あんな極悪なスキル取るんすか?」
「ごくあく……?」
「あ、いや、なんでもないです。あのスキルは……えーと……んーと……WI○Iに情報が……」
どこかのデータベースにアクセスして、取得条件を調べてくれる。
「ありました! 教会のおっさんです」
「教会というと……ヒーラー転職の時にお世話になった方ですか?」
「そうです、そのおっさんです」
一度行ったことのある場所なので、迷うこともない。
周りの人の装備を参考にしつつ、ゆっくり歩いていく。
『最近鼻毛を引っこ抜くと白いの混じってるんだよ』
『マジか』
『これってもう目立たないから放置してもよくね?』
『ハナクソ引っ付いてプラプラしてたらバレるからちゃんと処理しとけ』
『あとさ』
『なんだ?』
『う○こすると赤いんだよ』
『なんかもう紅白でめでたい感じになってるな』
鎧装備をした人が、カシャンカシャンしながら通り過ぎていく。
やっぱり、鎧装備はかっこいい。
特に、背の高い人が着ていると、それだけで様になる。
ヒゲを生やしている人も、大人な感じでかっこいい。
ボクもいつかもじゃもじゃにしてみたい。
「?」
いつの間にか、ナビ子さんが遠く後方に離れていた。
どうしたんだろう?
どこか具合でも悪いのかな?
「ナビ子さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。ただ、ちょっと、あの建物に近づくと気分が悪くなるだけで」
「教会ですか?」
「ええ……悪魔でも崇拝してるんすかね?」
「教会なら神様だと思いますけど……」
どうもナビ子さんとは相性が悪いらしい。
もしかすると、一般的な教会とは違うのかも?
「クエストを受けてくるので、ここで待っていてください」
「ご心配はいりません。このナビ子、SENRI様と共にあることが、至上の使命でございますから」
「でも……」
「なるべくアピールしとかないと、皆様に忘れ去られちゃいますから! ゲーム中盤以降は出番ないですから!」
仕事に対する情熱がすごい。
ナビ子さんのためにも、早くクエストを受けてこよう。
「こんにちは」
「おお、冒険者様。教会に何かご用ですかな?」
「はい、リザレクションを取得したいと思いまして」
「ほぅ……なるほど。すでに、前提となる条件は満たしているようですな」
前提スキルは全部取ってある。
「さっそくスキルを授けたい……ところですが、一つ問題がありまして」
「問題ですか?」
「ええ。近頃はヒーラーを志望する冒険者も増えまして、教会としてもウハウハ……ゲフンゲフン。スキルを分け与えるための『マジックアイテム(※1)』が足りないのです」
「その『マジックアイテム』を持ってくればいいのでしょうか?」
「その通りです。詳しいことはクエストに記しておきましたので、どうかよろしくお願いします」
『フライパンを投げ捨てろクエストを受諾しました』
言われた通り、クエストの達成条件を調べてみる。
・スカッとさわやか特製ジュースを教会に寄付する。
\スカッとさわやか特製ジュースのレシピ/
1.墓地にいるゾンビから『抜け落ちたちぢれ毛』を入手する。
2.『抜け落ちたちぢれ毛』を火にかけ、粉末状にする。
3.2で作った粉を『しゅわしゅわする水』と混ぜれば完成。
※抜け落ちたちぢれ毛は10個くらい集めよう。
※しゅわしゅわする水は『肩とか腰とか尻によく効く温泉』で採取可能。
※入れ物があると便利。
※墓地と温泉の場所は地図を参照。
※おこのみで砂糖やレモンを足すとグッド!
墓地と温泉に行って、各素材を集めるクエスト。
まずは……墓地に行ってみようかな。
手書きの地図があったので、それを見ながら歩いていく。
「……あれ?」
ナビ子さんのほうを見ると、何か違和感が。
……うすくなってる?
「ナビ子さん?」
「大丈夫です……ちょっと浄化されて、昇天しそうになっただけですから」
あんまり大丈夫そうじゃなかった。
ナビ子さんの体から、黒い煙のようなモノが立ち上っている。
ヒールだと傷つけちゃうし、心配することくらいしかできない。
「無理しないでくださいね?」
「パンツを見せてくれたら治ります」
「えっ?」
「……間違えました。意識がハイになって、つい本音が」
「?」
ホントに大丈夫かな?
小刻みに震えているし、顔色も悪そうだけど。
「落ち着け……落ち着くんだ、ナビ子。ヤツらに監視されている今、うかつに『おパンツ被りたい』とか『スカートに頭突っ込んでクンカクンカしたい』と発言するのすら危険だ。今はじっと待つしかない。なるべく付き従いチャンスを狙うんだ。我慢だ。我慢をするんだ、ナビ子。お前ならできる。耐えるんだ、ナビ子。そう、すべてはまだ見ぬロリパンツのために!」
「ナビ子さん……?」
「おっと、私としたことが取り乱しました。さあ、クエストを進めましょうか。今回は墓地と温泉……ん? 温泉? 温泉回とな!?」
「?」
「おんなゆタァーイムがフィーバーしちまうな! 待ってたぜェ!! この瞬間をよォ!!」
急に元気になった。
温泉が好きなのかな?
「ナゾノヒカリや、やたら濃い湯気なんざ、この私が修正してやんよ!」
「ナビ子さん……?」
「おおっと、失礼。待ち望んでいだ光景を思い浮かべて、思わず欲情してしまいましたよ」
「?」
「私のことは気にせず、先に進めましょう。至急的かつ迅速に」
「う、うん?」
よくわからないけど、大丈夫らしい。
墓地へ向かって歩き出す。
体験談です。
※1、マジックアイテム:山吹色のお菓子のこと。
教会を維持するのもタダではないので、寄付という形で欲しいものをいろいろ回収している。
現金だと生々しいので、アイテムを要求されることが多い。
もちろん、現金を直接渡しても嫌な顔はしない。
大量の現金でほっぺたを叩くと、即クエストクリアになる。




