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若さ故の過ち

「いったいコレをいったいどこで拾った!?」


 スキル書の欠片を握りしめながらデイトウさんが聞いてくる。


「レッドドラゴンの討伐報酬です」

「あの焼きトカゲか! ドラゴン族は変なモノを集める趣味があるからたまたま風に乗ってどこかに飛んでいったコレを拾っていたわけか。余計なことをしおって……」


 ぶつぶつとつぶやいていた。

 デイトウさんにとっては予想外の発掘だったらしい。


「他にはないだろうな?」

「取引サイトに相場が出ていますから、他にも出回っていると思います」

「しまった! 増殖の術式も仕込んであった気がするぅううう! やぁーっちまったぁああああ!!」


 頭を振り乱しながらソファーに倒れ込む。


「あの……大丈夫ですか?」

「これが大丈夫なように見えるか!? まだ若くて無敵感があったころの『闇の力とかカッコイイ! 技名は漆黒の羽【ウィングオブダークネス】にしよう!』なんて妄想を教室の片隅でノートに書きつづったモノが全国にばらまかれてると知った心境だぞ!? 今すぐ舌かんで死んでもおかしくない恥辱だ!」

「ご、ごめんなさい」


 なんだか苦い思い出があるらしい。

 デイトウさんがこの調子なら、スキル書の復元は諦めたほうがいいかも。


「つまり、Xx混沌の大魔法使い†デイトウウxXでも復元はできないということか?」


 それまで黙っていたりょーちゃんか声をかける。


「その名は忘れてくれぇ! 当時は若かったんだよぉ!」


 ソファーの上に置いてあったクッションを頭にかぶり、小さくなるデイトウさん。

 ぷるぷると震えている。

 やっぱり何かあったらしい。


「大魔法使いとか言われているけど、人よりちょっと魔力が高いだけのただのオタクなんだよ……メンタルクソ雑魚なんだからいじめないでくれよ……」


 りょーちゃんと顔を見合わせる。

 オリジナルの魔法を作るすごい人かと思ったけど、こうして見ると普通の人と変わらない。

 デイトウさんにとっては触れられたくない過去のようだし、悪いことをしてしまった。


「それでは、こちらのスキル書の欠片はどうしたらよろしいでしょうか?」

「処分するんでください! 金なら払うから! なんなら秘蔵のアイリたんコレクションを出してもいい!」

「わかりました」

「おお、ありがたい! いくらだ? いくらなら譲ってくれるんだ?」

「無料で大丈夫です。元々はデイトウさんのモノですから」

「いや、そういうわけにもいかんだろう。取引サイトやらの相場で買い取ろうじゃないか」

「相場だと50万Gくらいだそうです」

「たっか! え? こんな一部だけでそんなするの!? 見た目がカッコいいだけのお遊び魔法だぞ!? 誰でも習得できるファイアのほうが強いぞ!?」


 予想外の値段に驚いていた。

 ユニークスキル自体が貴重だから、それだけで欲しがる人も世の中にいる。

 見た目がカッコいいならボクもちょっと使ってみたい。


「なんということだ、ずっと引きこもり生活をしていたから今は金が無い……やはり、アイリたんの秘蔵コレクションを出すしかないか。苦労して手に入れたのに……」

「あの……やっぱり無料でお譲りしますよ?」

「そうはいかん! 世の中ギブアンドテイクだ」


 デイトウさんなりの信念があるようだ。 

 何を差し出すかで悩んでいた。

 アイリたんのパンティーおくれ―――っ!!!!!

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[一言] ≫アイリたんのパンティーおくれ―――っ!!!!! こいつが持ってるわけ無いだろう
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