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ファーストダンジョン4

 他のスケルトンが寄ってこないよう、壁側に移動する。

 最初くらいは1対1を確保したい。

 矢を持って構えるまで時間があるから、そこまでは焦らなくても大丈夫そう。

 問題は、そのあと。

 構えてから発射までの時間は短いから、ちゃんと反応できるかどうか。

 弦を引く動作に注目して……。


 ビュン!


 耳の横ギリギリのところを、矢が通り抜けていく。

 やっぱり、速い!

 あらかじめ予習してなかったら、頭を撃ち抜かれていた。


「!」


 弓スケルトンが、次の矢に手を伸ばす。

 そうはさせないと、すぐさま距離を詰める。


 カタカタカタ……。


 白スケルトンが反応しちゃった!

 動きはゆっくりだから、先に弓のほうを叩けばなんとかなるはず。


 ブンッ!


 白スケルトンからの攻撃を、走りながらかわす。

 そのまま、弓スケルトンに向かってダッシュアタック!


 ぺちん。


 よし。

 放たれる前に、構えを崩せた。

 この距離なら、弓より先に動ける。

 あとは、落ち着いて白スケルトンをやっつけて……。


 カシャン。


「えっ?」


 弓スケルトンに背を向けた瞬間、背後から変な音が聞こえた。

 なんだろうと思って、振り返る。


「!?」


 剣持ってる!?

 近距離だとAIが切り替わるのか、近接用装備になっていた。

 そうだよね。

 目の前にいるのに、準備時間のかかる弓を使い続ける理由はないよね。


 ブンッ!


 近づいてきた白スケルトンの攻撃を回避。

 そこに弓……剣を持った剣弓スケルトンが迫る。

 間に合わない!


「くっ!」


 ロッドで受け止める。


『アーチャースケルトンから16のダメージ!』


 ガードしたけど、普通にダメージが入る。

 のけぞったところに追撃を入れられ、見る見るHPが減っていく。


 ズザァ……。


 ノックバックのおかげで、ギリギリ生き残れた。

 残りHP3。

 かすっただけでもアウト。

 弓なら接近戦苦手だと思ったけど、まったくそんなことはなかった。


 ブンッ!


 白スケルトンが攻撃してきた。

 空いたスペースに転がり込んで避ける。

 回復したいところだけど、そんな時間はなさそう。

 チャンスが来るまで、逃げ回るしかない。


「……」


 慎重に距離をはかる。

 とにかく、背後を取られないように注意しよう。

 見習いロッドを握り直し、スケルトンたちの動きに注目する。


 ブンッ!

 ブンッ!


 2人とも正面に来るよう、回り込みながら避ける。

 落ち着いてさえいれば、2ターゲット状態でもいけそうだ。


「!」


 白スケルトンが防御の態勢を取る。

 チャンス!

 今なら剣弓スケルトンと1:1で戦える。


 ブンッ!


 攻撃を誘ってから反撃。


 ぺち。

 ぺち。


 カラカラカラ……。


「やった!」


 剣弓スケルトンを撃破!

 ダッシュ攻撃と合わせて3発で倒せたので、耐久力は白スケルトンと同じくらいかな。

 やっかいな弓のほうを倒せたので、あとはそう難しくない。

 HPは減ったままなので、攻撃を受けないようにさえ気をつければ……。


「あっ」


 奥にいる弓スケルトンと目が合う。


 ギギギ……。


 遠距離にいるので、そのまま弓を構える。

 防御していた白スケルトンも動き出す。


「がんばったのに!」


 横に走って矢を避ける。


「ヒール!」


 まずはHPを回復する。

 中途半端なHPだと不安だけど、ないよりはあったほうがマシなはず。

 こうなってくると、こちらにも遠距離攻撃が欲しい。

 近づくだけでも大変だ。

 退魔スキルなんかもあったはずだし、そっちを取りに……あ。


「ヒール!」


『アーチャースケルトンに5のダメージ!』


 遠距離攻撃あるんだった。

 威力は弱いけど。

 のけぞりはちゃんと入るので、うまく使えば行動をキャンセルできるっぽい。


 ブンッ!


 白スケルトンの攻撃を回避。

 弓じゃないほうは慣れてきたので、もう少し攻めてみてもいいかもしれない。


 ビュン!


 ステップで回避しながら、距離を詰める。


 ブンッ!


 白スケルトンの攻撃を歩いてかわし、横から攻撃。


 ぺち。

 ぺち。


 ビュン!


「!」


 途中で攻撃を止めて、ステップ。

 ちょっと危なかった。

 夢中になって攻撃していたら、あっけなくやられてしまいそうだ。


 カタカタ……。


 白スケルトンが停止する。

 ガードモーション。

 手を出したくなるけど、硬直を狙ってくるはず。

 ここは、弓スケルトンのほうへ近づいていく。


「……」


 一気に近づきたいところだけど、近づくほど攻撃を避けるのが難しい。

 微妙な距離を保ったまま、お見合い状態になる。


 カタカタカタ……。


 白スケルトンが動き出しちゃった。

 前後から攻撃されたら厳しいので、少しずつ距離を取り……。


 ビュン!


 狙ってくるよね!

 とっさのステップで回避できたけど、そのステップ硬直中に白スケルトンが迫る。

 体が動かない!

 早く動いて……!


 ブンッ!


 間に合った!

 ギリギリでやり過ごし、一安心。 

 ……とはいかず、再び弓スケルトンが構える。

 慣れてきたなんて、油断している場合じゃなかった。

 行動後の展開まで読んでおかないと、追い詰められて終わってしまう。


 カタカタカタ……。


 白スケルトンのHPが残りちょっとなので、まずはそっちを先に倒そう。

 距離に注意しながら、相手の攻撃を待つ。


 ブンッ!


 弓スケルトンが待ち構えているので、ここは回避続行。


 ビュン!


 白スケルトンが狙っているので、ここも回避。

 うまく攻撃のタイミングが重なるように、白スケルトンを誘導していく。


 ビュン!

 ブンッ!


 いい感じに回避できたので、白スケルトンに攻撃。


 ぺち。


 白スケルトンを倒す。

 よし。

 これでだいぶ楽になったはず。

 あとは、攻撃を避けてから近づけばいい。

 タイミングを計る。

 ……。

 ……。

 ……。


「?」


 撃ってこない。

 弓を構えたまま硬直している。

 先に動くのを待っているのかな?


「たまにAIが止まる時もあるぞ」


 りょーちゃんからの助言。

 そんなこともあるんだ。

 それなら、このまま走って攻撃すれば……。


 ビュン!


「!?」


 走り出そうとしたすぐ目の前を、矢が通り過ぎていく。


「ほっとくと復帰する」

「先にその情報が欲しかったかも!」


 当たらなかったのは運がよかった。

 次の矢を放たれる前に、ダッシュで接近。

 のけぞりを利用した連続攻撃で、一気に倒す。


 ちろりろりーん♪


「?」


 なんだろう?

 弓スケルトンを倒すと、レベルアップの時とは違う効果音が鳴り響いた。


レアドロ(レアドロップ)きたな」

「そうなんだ」


 倒したところに、弓が落ちていた。

 いかにも『レアですよー』とアピールしながら光っている。

 ドロップを拾う権利はこっちにあるようなので、手に取ってみる。


「……あれ?」


 手にすると、光は消えてしまった。

 装備が光っていたわけじゃなく、レアドロップのエフェクトだったようだ。



 未鑑定の弓:鑑定するとその性能があきらかに!



「鑑定あるんだ」

「ドロップ装備はOP(オプション)(※1)付いてたりするからな。町に鑑定士NPCがいる」

「お金足りるかな?」

「1個100ゴールド」

「それならいけるかな?」


 お金を直接ドロップする敵もいるし、少しずつたまってきている。

 隠し部屋にあった宝箱分も合わせれば、クリアする頃にはたまっているかも。


「鑑定してもクソOPだったりするから、どうするかは自己判断で」

「良いオプションって、何かある?」

「弓なら『攻撃力』『射程』『DEX』が付いてれば当たり。露店で売れる」

「ふむふむ」


 せっかく拾った初めてのレアなんだし、鑑定してみようかな。

 いいオプションが出たら、露店で売って山分けしよう。

 微妙なのだったら……自分で使うのもありかもしれない。

 ヒールアタックだと消費が気になるし、そもそもアンデッドにしか効かないよね?

 ターゲット取りやスキルつぶし用に、弓は1本あると便利かも。




「あれ?」


 次の部屋に向かおうとすると、扉の色が赤くなっていた。

 大きさも一回り大きくなっていて、装飾も豪華になっている。


「ボス部屋だ」

「ついに……!」


 といっても、1階層だからそこまで長くない。

 初見で手間取っていた部分もあるし、周回するだけならそんなに時間はかからないと思う。


「行くか」

「あ、ちょっと待って」


 いきなり戦闘になることも考え、ブレスをかけ直す。

 初めてのボス戦なので、ちょっと緊張する。

 どんなモンスターが待ち受けているんだろう。


 ギィー……。


 扉がゆっくりと開く。

 りょーちゃんに続いて、中に入っていく。

帰りのバスの中からオロロロロ……ごっくん


※1、OP:オプションのこと。

 装備に付くおまけ効果。

 ステータスが増えたり、変な音が出るようになったり、ちょっぴり右曲がりになったりする。

 元の装備がたいしたことなくても、良いオプションが付けば一気に使える装備に化けることも。

 現実で説明すると

 「私はニートです」←「死ね」

 「でも貯金が百億万円あります」←「好き」

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