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公爵の落ちこぼれ(仮)  作者: ツカサ
学園入学編
2/3

公爵家

「グレン様、この後はいかがお過ごしでしょうか?」

「んー、そうだな試験はいつだ?」

「1ヶ月後であると記憶しております。試験勉強をいたしますか?」

「ああ、一応な。俺自身の評価なぞどうでもいいが、公爵家が貶められるのはな」

「かしこまりました。でしたら、王立図書館に向かわれますか?」

「いや、兄上に見て貰えばいいだろう。兄上が入学させたがってるだからな」

「かしこまりました。でしたら、お家に?」

「ああ、兄上に報告しないといけないからな」


と言いながらも、動く気配のない2人だがいきなりその場にいたはずの2人が消えたのである。この2人は転移魔法を使えるのだが、それは失われた古代魔法と言われているものである。大陸で使えるものは極少数であるとさえ言われている。


「ただいま、兄上はいるか?」

「はい、アレックス様はご自分の部屋でお休みです」


いきなり現れた2人に驚くことなく対応したのはこの家の執事であるセドリックである。代々執事をやっている家系で王家の執事を務めたこともあるほどである。


ここで、グレンはアレックスの元へレオナルドは使用人として公爵家の雑事をやるために別行動をとるようになる。


アレックスの部屋に着いたグレンはノックをすることもなく部屋に入った。


「兄上、失礼しますよ」

「おいおい、グレンノックくらいしたらどうだ?」

「そんなことより、兄上の思惑通り学園に通うことになりましたよ」

「ん、そうか。それは良かった。裏で手を回した甲斐があったよ」

「はぁ、、、少しは悪びれたらどうですか?」

「なぜだ?」


この豪胆さこそがアレックスの持ち味であり、時期宰相と呼び声名高いドラグニル公爵家の神童である。


「いえ、もういいです。代わりにレオの試験勉強をみてください」

「ああ、それくらいならいいだろう。お前のはみなくていいのか?」


ニヤニヤとしながらそんなことを言う兄にまたため息をつきそうになるのを我慢しながら


「ええ、神童と言われた兄上の弟ですから」

「ああ、そうか。そう言えば、実際はお前の方が能力は上だもんな。父上には報告したのか?」

「いえ、まだです。忙しいと思ったので」

「そうか、なら父上には俺から伝えておこう」

「そうですか、ではこれで」


これ以上いると、すでに政治にまで関わっている兄に更に状況を悪化させられないように自室にいこうとしてドアに向かおうとしたところでそのドアが開く


「まあ、待て。たまには私とも話さないか?」

「ち、父上。おかえりになられてたのですね」


グレンは心の中で舌打ちをした。アレックス1人でさえ面倒であるのに現宰相である父ランドルフには腹芸で勝てるはずもない。


「父上も今回の件には関わっているということですか?」

「まあ、お前に隠すことではないか。そうだ、我々がアラックスに依頼した」

「言ってしまったよろしかったので?」

「ああ、むしろ正直に話したほうがいいだろう」

「では、お話していただけるので?」

「お前は王国に残るべきだ。自らの力を正しく理解しろ」

「はぁ、やっぱりそういうことですか。俺は俺の力を正しく理解してるつもりですよ。それに学園に行かなくても、俺はまだ残るつもりでした」

「それは、いずれは旅立つということだろう」

「そう、それに学園に行かせるのはお前のためでもあるぞグレン」

「それは?」

「卒業する頃にはわかるさ」


この2人には勝てないと感じたグレンはここで言い争うのをやめ、とりあえずは2人に従う形にしようと考えた。


「わかりました。取り敢えずは学園に通うことにはなったことですし、残ることを考えますよ」

「よし、じゃあこの話はここでおわりだ。飯だ、行くぞ」


と言いながら、ドアを開け出て行く。それに兄も続き渋々グレンも続くのであった。


食堂に着くと2人の女性が待っていた。


「あら、みんなお揃いで何かあったの?」

「全員が揃う食卓は久しぶですね」


と呑気に聞くのは母であるシルビアと妹のセリアである。


「ああ、グレンが学園に行くことが決まったからその辺の話をな」

「ようやく決めたのね、まったく初等部に通わないと言った時はびっくりしたのよ?」

「すいません、母上」

「お兄様のわがままは今に始まったことではありませんわ」

「セリア、それは言い過ぎだろ」

「そんなことはありません」


と先程とはうって変わった和やかな会話となる。公爵家としては人数が少ないがこれが公爵一家全員である。それは、父上が宰相という立場をフルに使い、母上以外の妻を持たなかったからであるのだ。宰相など王国の重鎮とも呼ばれる役職に就くものには妻が多く進められるのだが、父上は頑として第二夫人を持つことをしなかった。そのおかげで公爵家での後継者問題もなく平和に過ごせるわけだ。そんなことを考えているうちに夕食も終わり自室に戻ることになった。


「レオ、いるか?」

「はい、グレン様どういたしましたか?」

「入学は避けられないらしい、兄上にお前の試験勉強は頼んだ。俺は自分でやる。久しぶりに勝負としようか」

「かしこまりました。グレン様がお望みでしたら」


この夜からグレンは久しぶりに勉強を始めるのであった。

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