#03_同乗者
『滝田 千春、 札幌の大学に入学したばっかり、でさぁ、私にもお茶頂戴!』
え?ここで要求するのがお茶ですか?
まぁ良いでしょう、旅館のお茶セットですから
でも、湯飲み6つもいらないでしょ
私は一人ですよ
まぁ役には立ちましたけど
「このままでいいですか?」
用意し直すのは面倒くさいので
『うん、そのままで十分』
『ぅん、おっちゃん東京から来たの?』
微妙っちゃ微妙なんだけど
「そうですよ、帯広まで出張です」
『明日からGWだよね』
私だって休みたいですよ、でもね
「大人の事情って奴ですよ
色々あるんですよ
『やっぱそういうの有るんだ』
「そうそうは無いですよ』
流石にね
「はい、お茶、つでに煎餅もオマケです」
『おぉやった、ありがとう』
「なんも、なんも、どうせもらいもんです」
『ははは、あれ?おっちゃん道民なの?』
ん?なんで?ああ方言か久しぶりに出たな
「まぁ、元道民?実家は道南、
札幌の学校出て後はずっと関東ですね」
『札幌?OB?』
「いえいえ、ソフトの専門学校ですよ」
『そうなんだ~』
「ええ」あぁ、お茶が旨い
『で、おっちゃんもあの帯広行に乗ってたんだよね』
本題ですか
「そうなりますね」
『とすると、やっぱ、全員なのかな?』
飛行機に乗ってた人全員ってことですか?
「全員って?、あぁ、団体さんだったのか?」
『そそ、2サークル合同の12人、
あとは機内でみた人とかCAさんとかで20人位は確実』
「何人位乗ってたんです?」
『客は38人、スタッフ5人』
「43人ですか、で、原因は?」
『スタッフ筋によると、原因不明!
突然の衝撃の後記憶が無いって』
「でも、事故ですよね?、これって」
『まず間違いなく』
「いや、航空機事故で全員生存ってあり得ないっしょ!」
『それについては、スタッフ含め他の人たちも同意見』
現実的に考えてありえないでしょ
漫画やラノベでも・・
『それで、我らが2サークルの』
ヲイ、ヲイ、ちょっと待てよお前さん
『類稀なる』
いったい何を言い出すか、
想像したくないったら、したくないです
大事なことなので2回唱えました!ョ
『叡智を持って』
「いや確かに、状況はパターンに
当てはまらないとも限りませんが
ワタクシ的にはフラグは、
本当にフラグは是非とも折って頂きたいのです。」
『…ある結論に至ったのです!』
「昭和のお宅といえども、私には、
まだ設計中ではあるが革新的であると
自負して止まない
回路や制御ソフトがあるのです。
それにまだ組み立てていないキット、
積みゲー、平済みのラノベも
それは山積み処か4畳半の部屋に
正に山となっているのです。
部屋の戸が壊れるのは避けたいのです。
どうか、その先の言葉を言うのだけは」
『・・・同志よ!!』
「やm・・・・、あるぇ?」
『『『『『『『『『『『同志よ!!』』』』』』』』』』』
「あ~、え~」
『はい、シッカリと拝聴させていただきました』
はぁ、声に出ていましたか、しかもパターンで先読みですか
「フラグは折れませなんだか」
『ええ、もちろん、これにて
フラグは確立したものと確信しました!』
これは、もう諦めるしかなさそうです
そんな訳で
皆様には「いや、熱く語られてたので」とか言われた上に
「やることがあるので」とか、のたまい、
散っていかれました
「で、此処にいる人数は?」
『予想の通り、43人です』
「おじいさん?がいましたけど?」
『気が付くと居なくなってる』
そうですか、アレですか
「それもありしたか」
「は~、お茶が旨い!」
『おっちゃんそればっかやね』
「なに、ちょっとした逃避です、
なにせ年ですからね
なかなかに付いて行けません」
『いや、なかなか行けてると思うで~』
「なぜ似非関西人風?、日本人あるあるですが」
『せやな、お約束ってやつや』
「ところで、此処は避難所と聞きましたが
何処に在るのでしょうか?」
『いわゆる白い空間?、外にも出られないし』
「出入口らしきものは見えますが、ダメですか?」
『ぅん、溶接されてるかのように動かない』
となると、携帯とか
『しかも、スマホとかも皆無くなってて』
スマホ一択ですか、
世代のギャップを感じますね、萌えませんけど
「となると、今現在認識しているのは
スピリチュアルな私って事なのでしょうか」
『どーなんだろ、その辺は分かんない、
コレといった違和感ないし』
「ですよね~」
『後で説明するとか神様言ってたし』
まぁ、そうなんでしょうね
「そうでしょうか?」
『あの雰囲気といい、それこそお約束ってやつっしょ』
いやいや、自己紹介すらされていませんよ
おっさんからジジイへのクラスチェンジも見えてきましたし
「安易に信じてはいけませんよ」
『おっちゃんも受け入れた方がいいんじゃない?』
「まぁどちらにせよ、説明待ちですかね」
『そうだね』
騒いでも得る物は無さそうですし