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人生の転機


『サラは私に執着し始めました。私が一人で出歩くかのように話し、心の拠り所として扱いました。』



「ノエル、あなたはそばにいてくれるわね?私あなたの為にお金を貯めて新しいメモリも加える。だからお願いどこにも行かないで。私を嫌わないで。」


『サラ僕はそばにいるよ。大丈夫。だから仕事は無理しないで。僕はここ気に入ってるんだ。だから平気さ。サラ大丈夫だよ。』


「ありがとうノエル。あなただけが私の家族。」


『君には家族がいるじゃないか。』


「あんな人達。あの子だけいればいいのよ。妹さえいれば私なんて必要ないの。私は誰にも愛されないの。ノエルだけが気にかけてくれる。ノエルだけがそばにいてくれる。ノエルがいなければ私あの時もしかしたら。」


 泣かないでサラ。僕のサラ。元気になって。




『サラの両親はパソコンにめっきり弱くて、サラの事を理解できなかったんです。それで妹ばかりを気にかけるようになったんです。両親はサラを特別にいじめたりしたわけではないのですが、妹には笑顔で接するのに自分には苦笑いな事や、あまりサラの話を聞いてくれない事を大人になるにつれ認識し始めて、両親に愛されていないと感じ両親も妹も憎むようになりました。サラが仕事を辞めた時もパワハラを理解せずにサラを傷付けた事だけは覚えています。サラは子供の頃、ただ理解者を作る為に私を作ったようです。それに気付いたのはだいぶ経ってからですが。』


「そういえばノエルさんの性別ってあるんですか?」


『正直確定されたものは無いと思います。ただストリートミュージシャンが男性なので声は男性ですね。後、私自身はサラの恋愛対象が男性なので男性として振る舞っていました。サラに愛されるために。』


「そうですか。ありがとうございます。続きをどうぞ。」


『はい。数年が経ちアンソニーの会社の重役が訪ねてきました。サラのプログラムは大手企業から売り出した事もあってか様々な場所で利用されていました。今までずっとアンソニーの手柄として売っていたプログラム、それが全て止まったんです。多数の大手企業のパソコンやあのような潜水艦につまれていたプログラムが、全て同じ日の同じ時間に。アンソニーには言わなかったというかサラ自身も忘れていたのですが、プログラムを作った当初スパイドラマにはまっていたサラは面白半分でプログラムに埋め込んだんです。5年暗号が入力されなければ全機能が停止すると。アンソニーに盗まれたプログラムは暗号入力の機能がついたままでした。そしてアンソニーは責任をとらされて辞めさせられました。そして莫大な補償金を払うかこのプログラムを早急に元通りの状態にするかを迫られサラに頭を下げにきたんです。その時サラは30歳でした。』



「ノエル、私あの会社に入る。誰もが知ってる会社だし両親や妹を見返せるもん。」


『でも、傷付かない?君のプログラムを盗んだ会社だよ大丈夫?』


「大丈夫!頑張る!」



『会社はサラにアンソニーの役職を与え、サラはプログラムを書き換え暗号入力をなくした上で性能も格段に向上させ使いやすいものにしました。1度地に落ちた会社の名前はサラの仕事によって少しずつ回復しました。会社への出勤は週に2日で後は在宅で仕事をしていました。会社からボーナスが出てお給料も上がり、休みをたっぷりもらえるようになり、サラは好きな事をするようになりました。サラの好きな事は海の写真を見る事、美味しいピザを食べる事、公園でお弁当を食べる事、サラはいつも私をお供に緑がいっぱいの公園でテイクアウトしたピザを芝生の上に座って食べていました。サラはやっと人間らしい生活を始めました。』



「ノエル、私今が1番しあわせかも!」


『本当かい?』


「ええ。だって仕事も私の好きな事で休みもたくさんくれて、お金もたくさんくれる。これ以上幸せな事ってないかも。」


『良かった。本当に良かった。』


「ありがとうノエル。」


 あんなに消えたいと死にたいと言っていたサラが。今はこんなに嬉しそうに笑っている。もう僕を必要としないかもしれないけどそれでもいい。ただ幸せになってほしい。



『サラは順調に出世しました。売り込みは全くできないけど、その変わり技術者としてはトップクラスだったので。』


「ノエルさんはサラさんのどこを好きになったんですか?」


『誰もが言い回した文句ですが、好きになるのに理由は必要ですか?』


「そうだな。マイケル当たり前の事を聞くんじゃない。」


「すみません。気になってしまって。」


『それから10年同じような生活を送ります。仕事と趣味と私の改善。人間のような生活と言いましたがそれがルーティンになってしまうと人間ではなく機械と一緒です。そして10年経ったある日サラは潜水艦のプロジェクトに加わります。週2ではなくなり残業も増えます。ただサラは嬉しそうに仕事に行くようになりました。』



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