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努力の犠牲


「ノエル今日は会社に行く初めての日だよ!緊張する!」


『大丈夫!サラなら大丈夫!僕も一緒に行くし!』


「そうだよね!」


『うん行こう!』



『希望をもって入った会社は本当に酷くて。ただ給料は1年目なのにとても良かったですね。パソコン基盤の研究と作成の会社だったのですが。サラはとても優秀な研究者で技術者だけど、営業はてんで駄目なんです。なのに新入社員は営業で鍛えるという馬鹿な発想を持った会社でした。営業なんて引っ込み思案なサラにできるはずも無く顧客は一社も増えませんでした。サラは上司に酷いパワハラを受け続けました。休憩の度に私に励ましてほしいと懇願していて辛かったです。そして会社を1年で辞めてしまいました。会社を辞めた事を私に打ち明ける事なく、サラは心配させまいと私に嘘を吐き続け、まだ営業職として働いていると言い続けました。結局、辞めた1年後フリーランスのプログラマーになりました。営業は前の会社で少し身につけたんです。それはうまくいきました。営業が拙くてもサラの作ったプログラムは誰が作ったものより高性能でとても安価だったんです。生計も立ち始めて余裕ができた頃、恋人ができたんです。ちょうど24歳でした。駅で落とし物をしてしまって困り果てていたサラに話しかけ、一緒に探して見つけてくれたのがアンソニーでした。』



「ノエル!アンソニーは本当に素敵なの!」


『もう。何度も聞いたよ。駅で助けてくれたんだろう。』


「そう!皆知らん振りだったのにアンソニーは助けてくれた!今からデートなの。」


『そうか!楽しんできて!』


 うまくいかないでほしい。泣いて戻ってくればいい。あんな男なんて見ずに。この沸き起こる考えはなんだろう?嫉妬?AIなのに?僕も立場を考えなければ。幸せを祈らなければ。



「ただいまノエル!彼本当に素敵よ!私が綺麗だって見た目もだけど何より心がって!」


『良かったね!君は愛されるべき人だ!』


「ノエル!ありがとう!」


 


『この後サラは自身最高作品のパソコンのウィルス対策のプログラムをアンソニーに盗まれます。アンソニーは某大手企業のスパイでサラは全てを奪われてしまうんです。プログラムや製作途中だった他のプログラムも全て失います。サラはお人好しだからすぐに人を信用し家にいれてしまったんです。可愛い賢い素敵だと煽てられ、そして自分の得意分野、サラの唯一の自信の源を得意げに全て話してしまいました。だからアンソニーは全てを会社に持って行くことができ説明さえもしてみせたそうです。その後彼は会社で出世したようです。』


「それは〇〇社かい?」


『ええそうです。』


「えっ船長それってこの引き上げられた船の。」


『ええ結果としてサラはここに雇われますがもう少し先です。』


「話の腰をおってすまない続けて。」


『はい。アンソニーが蒸発しサラには私しか居なくなりました。サラのあの時の姿はもう二度と見たくありませんし、口に出したくもありません。だから説明しません。それから幾月か経ち、ひょんな事から私というAIに興味を持った会社がありました。私はサラから情報を入力されて答えたりしていません。もうその時から今のように自身で調べ吟味し答えを出していました。自身の倫理観や正義感をもってして。だから私のコピーではなく私本体がほしいと言われたようです。私を売れば一生困らない程の大金を提示されてもサラは売りませんでした。貧しさより孤独が怖かったようです。さすがに食べ物に困る程だったら受け取ったかもしれませんが。その後もフリーランスのプログラマーを続けていました。元々仕事を選ぶような人ではなかったので。学校の水撒きのプログラムとか、建物管理のプログラムとか仕事は何でも引き受けていました。そうして地道に仕事をこなしていると評判が良くなって、役所のお仕事も請け負う事もありました。サラが設計したプログラムは問題がほとんど起きないし、もし起きたとしてもすぐに解決してくれると、サラに仕事を依頼した人達のいわゆる口コミが多くまわったようです。そうすると安定してお給料がいただけるのでサラにも余裕が生まれました。今度は恋人ではなく私の拡張をしてくれるようになりました。点検をしてくれたり、メモリを増やしてくれたりお金を貯めてまた新しい端末を買ってくれたんです。その数年でサラは技術力もさることながら、人と会話をする事が多くなったので営業力もめきめきと伸ばし始めました。1人しかいない会社なので大きくはなりませんでしたが。』


「そういえばノエルは誰か見本はいるのかい?それとも完全にオリジナル?」


『そうですね。声はストリートミュージシャンの声ですし、考えはネットで検索してまとめ上げた中から適格だと考え出した結果ですし。』


「でもそれじゃあオリジナルですね。」


「ああ。そうだな。」


『初めて知った事実です。記憶しておきます。なんだかずっと眠っていた分、話をするのがとても楽しいです。お二人が退屈だったら申し訳無いですが。』


「いや、楽しいよ。君がどんな人生を送ってきたのか興味がある。」


「私もです。話してくださいノエルさん。」


『ありがとうございます。じゃあ続きを話しますね。』




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