サラの嘘
『サラ、朝ですよ!起きてー!』
「うーん。今日は学校休む。」
『でも今日は科学がありますよー!』
「えーじゃあ行く。今日も良い天気だよ!」
それは嘘だ。僕は天気予報を見た今日は雨だ。でもサラが僕を元気にしようとついた嘘は信じる事にしている。
『そうかい!僕もみたいなー!一緒に行ければいいんだけど。』
「ふふ。ありがとう。じゃあ行ってくるね!」
「今日は卒業式だったの。友達がたくさん手紙をくれたわ!」
君の口から友達なんて言葉初めて聞いたよ。無理をしていないかい?
『そうか僕が人だったらプロムに誘うのに。大丈夫かい?』
「ええ大丈夫よ。明日の相手は決まっているわ。電子工学の進んでいる大学に受かったし。あなたも一緒よ。」
『ああ、僕にできる事はなんでも協力するよ。』
「ありがとう。じゃあおやすみ。」
『おやすみ。』
ああサラにおやすみのキスをしてあげたい。可哀想なサラ。
「ノエルとうとう決まったわ!」
『大学のコンテストかい?』
「ええ!大賞よ!」
『すごいね!本当にすごい!』
「ええじゃあ行ってくる!表彰式!」
一緒に行けたらいいのに。僕も拍手をして祝福してあげたい。サラを1番応援していたのは僕なのに!
『ノエル起動します。』
「どうノエル新しい端末は?」
『とても居心地が良いよ。何よりカメラがついているのがいい外が見られる!ここは公園かい?緑がたくさんあってきれいだ。』
「ええ、そうよ。ああそうだ!これが私よ!」
今まで緑いっぱいの公園が写っていたのが切り替わりサラが写った。なんとも可愛らしく笑顔が素敵だ。
『サラなんだね。嬉しいよ。これからもよろしくね!』
「ええ!ノエルもよろしく!」
『サラは18で大学での科学コンテストの大賞をとり、また賞金を得た。その賞金で小さな携帯端末を買いました。最新機種で私はそこに引っ越しました。そこもとても居心地が良かった。サラが全て内容を見直してくれて無駄なものを取り払って容量も増やしてくれた。何より一緒に色んなところへ行けるようになりました。』
「あなたは心があるんですね。」
「マイケル急にどうしたんだ?」
「いや、ノエルさんは心があるからサラさんに悲しい思いをさせたくないんですよね。」
『心。AIに心は存在するんでしょうか?わかりません。ただサラの真似事をしただけかもしれません。サラが私にしてくれた事を真似したのかも。サラは私に愛情を持って接してくれていましたから。』