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この世界はなんてつまらない世界なんだ  作者: 折原さゆみ
第1章 こんな学校嫌だ
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7体育の授業①~着替えは素早く迅速に~

 飯島蓮人の絶望は続いている。体育の授業があった。前世では、彼は体育の授業の着替えが楽しみの一つだった。女子の着替えを見る絶好の機会だったからだ。


 前世でも、女子の着替えはもちろん、更衣室で行われたのだが、別校舎の窓から覗くことが可能だった。それに加え、着替えの時間に限って何かしらハプニングが起こり、着替え中の女子が更衣室から飛び出してくることが何度もあった。その時に見せる彼女たちの下着姿に興奮したものだ。様々な色の下着を身につけた女子を見るのが楽しみだった。とんだ変態野郎の彼だったが、それが今、できないことに絶望していた。


 中学生の時は、そもそも覗くという行為すらできない状況だった。男子も女子も制服の下に体操服を着用していた。体育の時は制服を脱ぐだけで着替えは終わる。下着を見ることはおろか、下に体操服を着ているので、制服姿にも色気の欠片もなかった。


 高校に入ったらさすがにそれはないだろうと期待に胸を躍らせていたのだが、それも期待外れだったようだ。


 

 体育初日の日、彼は朝からとてもわくわくしていた。3時間目が体育だったので、2時間目が終わると、女子は更衣室に向かっていく。しかし、何人かの女子は教室に残ったままだった。 

 それを不審に思い、彼は声をかけた。女子には更衣室が与えられていたが、男子には与えられず、何と男子は教室で着替えろとのことだった。さすがに女子の前で堂々と着替えなどできない。女子がいては着替えが始められない。


「女子は更衣室で着替えるんだろ。早く行かないと授業に遅れるぞ。」


「いやよ、面倒くさい。それに女子更衣室は狭いから、ここで着替えようと思って。」

「そうそう。それに別に制服の下にキャミとか着てるし、スカート脱いで着替えるわけじゃないし、別に問題ないでしょう。」


 

 彼に対する彼女たちの答えは衝撃的だった。ここというのは教室ということか。まさか、教室で着替えようというのだろうか。彼は驚いて固まってしまった。


「なんで固まってるのか知らないけど、さっさとあんたも着替えたらどう。それこそ、体育の授業まであんま時間ないんだから。」


 そう言って、彼女たちはその場で制服を脱ぎ始めた、慌てて目をつむってみないようにすると、今度は男子から声がかけられた。


「飯島、何目をつむってんだよ。目をつむんなくても何も見えはしないから。残念ながら、下着も腹も何も見えないから、そんなことしてないで、お前もとっとと着替えろよ。」


 恐る恐る目を開けると、すでに彼女たちは着替えを終えていた。体操服姿に着替えた女子たちは教室から出て行ってしまった。あまりの素早さに驚いていると、そのそばで男子が制服のズボンを脱ぎだした。となりをみると、他の男子はすでに着替えを終えていて、女子と同様に教室から出て行ってしまった。

 ズボンを脱ぎ、体操服に着替えた男子に疑問に思ったことを聞いてみる。


「どうして、そんな堂々とズボンが脱げるんだよ。普通、ズボンを脱ぐのなんて恥ずかしいものだろ。」


「じゃあ聞くけど、それなら俺たちはいったいどこで着替えろというんだよ。トイレにでも行って着替えろというのか。馬鹿かお前。パンツ見られたくらいで何を恥ずかしがることがあるっていうんだよ。それに女子だって俺たちのパンツになんて興味ないんだから、さっさと着替えた方がいいだろう。」


 そう言って、彼もさっさと教室から出て行ってしまった。


 

 残された飯島蓮人はあまりの衝撃に数分間、何もしないで固まっていた。そして、授業開始のチャイムが鳴ると同時に我に返り、慌てて体操服に着替えるのだった。

 

 そして、体育の授業に遅れた彼は、先生にこってりと説教をされたのだった。

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