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この世界はなんてつまらない世界なんだ  作者: 折原さゆみ
第1章 こんな学校嫌だ
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5部活を決めましょう~帰宅部もバイトも許されません~

 授業が本格的に始まり、学校生活がいよいよ本格的にスタートした。次に決めなければならないのは部活である。彼は前世では帰宅部だった。放課後はいつも同じ帰宅部の仲間とカラオケに行ったり、ゲームセンターに行ったりで楽しい日々を送っていた。そして、バイトにも精を出していた。


 しかし、今回はそうはいかなかった。どうやらこの学校に帰宅部は存在しないようだ。全員が必ずどこかの部活に入部しなければならない決まりであった。


 飯島蓮人はまた何度目かの絶望を味わうことになった。部活に入るということは、ただでさえ授業が多いのに、部活のせいでさらに放課後自由に過ごす時間が減るということだ。なるべく楽な部活に入ろうと部活を探していたが、彼に見合った部活は見つけられそうになかった。


 部活は大まかに二つに分けられる。運動部と文化部だ。運動などしたくなかったので、文化部中心に部活を探した。どうせ文化部に入るならば、何か面白いことをやっている部活がいいと考えた。


 結果として、彼はまたもや絶望した。前世での違いに戸惑っていた。前世では部活動の種類が豊富で文化部も様々あった。それがこの高校にはなかった。それならと新しい部活を創設すればよいのではとひらめいた。


 飯島蓮人は、部室で楽しく話して、ゲームをしてお菓子を食べるだけの楽な部活を作りたいと考えた。思いついたら即行動だと思い、授業後に行動を開始した。クラスメイトに新しい部活を作ろうという話を持ち掛けると、即刻断られた。


「そんな暇があったら勉強した方がいい。」

「ラノベや漫画みたいにそんな都合のいい部活ができるはずがないでしょう。そもそもそんな部活を先生が通してくれるとは思えないし。」

「面倒くさい。」


 この世界の住人はなんて覇気がなく、やる気のない人が多いことか。こうして、彼は新しい部活を作ることをあきらめざるを得なかった。


 そして、飯島蓮人は最終的に部活が週に2回しかない写真部に入部することに決めた。写真部には先輩が5人ほどいた。一年生で一緒に入部したのは彼を含めて3人だった。

 どの生徒も地味で目立たなそうな容姿をしていた。さらには全員がメガネだった。あまりにも地味な部員に即座に辞めたくなったのだが、そうもいってはいられない。

 

 部活についてよく聞いてみると、部活には最低1年は入部していなければならないが、その後、2年生になると、やめて帰宅部になってもよいらしい。彼は週2回の部活だと自分に言い聞かせて、2年生まで我慢することにした。


 

 部活を決めた彼は、次にバイトでもしようかと考えた。放課後、週2日しかない部活に入ったので、そのほかの放課後は暇を持て余している。

 昼休みに何かいいバイトはないかと探していると、一緒にお弁当を食べていた男子がスマホを覗き込んできた。そして、飯島蓮人に忠告した。


「俺たちの高校は基本的にバイト禁止だから、もしやるなら気を付けた方がいいと思うぜ。もしバイトがしたかったら、先生に許可を取るか、ばれないように高校から遠い場所でやることをお勧めするけど。まあやらない方がいいと思うけどな。」


 その生徒はバスケ部に入ったようで、バイトをする気はないようだ。いかにもスポーツが付きそうな顔で、背が高かった。


 バイトについて詳しいことを聞くと、この高校はバイトが基本的に禁止されていて、バイトがしたかったら、先生の許可がいるとのことだった。しかし、バイトの許可が下りるのは、経済的に厳しい家計のみだという。


 

 なんてつまらない学校なのだろうか。授業も多いし、部活も強制参加、バイトも禁止ときている。いったい何を楽しみに生きていけばいいのか。さらに本気で学校を辞めたくなった飯島蓮人だった。

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