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4:謎の少女

追記:少し改稿しました。メインストーリーに影響はありません。

 ……理解が追いつかない。


 いきなり化け物トカゲに襲われたかと思えば、魔法陣のようなものが出てきて転んだ。そして人が落ちてきた。


 ……何?この状況。


 意味が分からない。


 俺の頭が悪いせいなのか?


 いや、誰だってこんな状況に遭遇すれば混乱するだろう。


 しばらく呆気に取られていたが、落ちてきた人は大丈夫だろうか?


 まさか、死んでないよな?


 目覚めてから初めて出会った人が死んでいたなんて冗談じゃないぞ。


「すみません。大丈夫ですか?」


 声をかけてみる。反応無し。


「すみません!大丈夫ですか!?」


 さっきよりも声のボリュームを上げる。それでも反応は無かった。


 マジでヤバいんじゃ……


 もしかしたら声を掛けるよりも救出の方が先だったのかもしれない。


 急いで落ちてきた人が乗っている網の下に行く。


 近くで見ると12、3歳位の少女だとわかった。


 髪は真っ黒で華奢な体型をしている。


 なによりとても可愛らしかった。美少女というものか。


 人生、生きてきて初めてこんな美少女を近くで見た。


 ……見惚れている場合じゃないだろう。早く網のザルから救出せねば。


 その少女は気絶しているのか死んでいるのか分からないが、自力で脱出は無理そうだ。俺が助けるしかないか。


 でも、どうやって助け出そうか?


 網の隙間はそれほど大きくない。


 網の上から引っ張り上げるのも無理そうだ。


 大体、網のザルは地面から2メートル位離れて空中で静止している。


 網をよじ登るのは流石にキツイ。


 そういえば……


 網が出る直前に魔法陣のようなものが浮かび上がっていた事を思い出す。


 先程、自分の足元から網が出てきた場所を見る。


 地面から網が出てきたと思っていたが、地面には俺が足を引っかけたロープと転んだ跡しか残っていない。


 発射放置みたいなものも無かった。


 まさかとは思うが、ここは魔法のようなものが使える世界ではないのだろうか?


 夢だと思えばなんとか理解は出来る。


 逆に夢だと思わないと、さっきのトカゲも魔法陣も理解できない。夢だと信じよう。


 ここが魔法が使える世界、もとい夢だと考えるなら、この網の魔法を解くことが出来るかもしれない。


 まずは自分が足を引っかけたロープを見る。


 自分が足を引っかけた事でロープは張られた状態から解け、地面についてしまっている。


 ロープの端と端には魔法陣があった。


 ……この魔法陣に無理やりロープを入れて、網が出てくる前の状態に戻せば網が消えてくれないだろうか?


 試しにやってみる。


 ロープは問題なく魔法陣の中に入っていき、ロープが張っている状態になった。


 網のザルの方を見てみる。すると、網のザルが徐々に消えかかっていた。


 成功だ。まさか一発で成功とは……


 多分、猟の為の罠か何かだろう。その分、再設置が簡単だったのかもしれない。


 ……って、このままだと少女が地面に落ちてしまう。


 急いで少女を受け止められる態勢に入る。


 そして、完全に網のザルが消えた瞬間、少女が落ちてきた。


 危ない。結構ギリギリだったな。


 少女は目をつぶったまま起きない。


 生きているといいんだが。どうしたものか……




 ◆




 魔法陣が発動した場所から少し離れている平らな地面に、持っていたボストンバッグを枕の代わりに隣に少女を寝かせている。


 一方俺の方は、動きすぎてお腹が減っていたので、バッグに入っていたスナック菓子を食べている。


 こんなにスナック菓子が美味しいと思ったのは初めてだった。


 バッグの食料に毒が入っている可能性も考えられたが、他に食料は無いため信じるしかない。


 結局毒は入っておらず、普通に今食べているが。


 満腹になり楽な姿勢をしていると、少女の方から声が聞こえてくる。


「……?」


 少女は不思議そうな顔で周りを見回し、俺と目が合った。


「……!?だ、誰です、か……!?」


 少し怯えた様子で誰かと聞いてくる。


 まぁ、目を覚まして隣に知らない男がいたら恐怖でしかないだろう。


 警戒心を解くために素直に自己紹介をする。


「俺の名前は黒沢翔也。驚かせてゴメン」


 俺は簡単な自己紹介をする。


「…………」


 二人の間に沈黙が訪れる。


 少女は未だに警戒したままだ。


 どうしよう。家族以外の女性とあまり喋る機会が無かったから、話の繋ぎ方が分からない。


 気まずい空気が流れ始めた時、少女の方から声を掛けてきた。


「……わ、私、闇属性なんですけど……」


 ……へ?闇属性?何の話?


 あ、中二病ってやつか。


 ……いや、この夢の世界では魔法が存在すると思われる。


 自分の魔法属性を言ったのだろうか?


「……へぇ、そうなんだ。闇属性なんだね。あ、名前を教えてもらっていい?」


 正直に言うと、「闇属性なんです」と言われても、「そうなんですか」ぐらいしか答えられない。


 俺は属性があるのかすら分からないのだから。


 まぁ、夢の中なのだから俺にも何かしらの属性があって、魔法が使えると思うが。


 それよりも、少女の名前を知っておいた方が良いと思った。


「……え?……あ、あの私、闇属性なんです……」


 ……ん?


 名前を聞いたのに先程と同じ事を言ってきた。


 もしかして名前が「闇属性」なんだろうか?念のため聞いておく。


「……え、えーと、名前が闇属性っていうのかな?」


「……え……?」


「え?」


 またもや沈黙が訪れた。

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