2:目覚め
追記:少し改稿しました。メインストーリーに影響はありません。
ぼんやりとした感覚で、暗黒の空間に自分は浮かんでいた。
ここは何処だ……?どこからか声がする……
『どうしてそんなことも出来ないんだお前は!!バカか!?』
嫌な声だ。聞くだけで不快になる声が暗闇に響く。
『あいつと関わったら俺達まで部長に目を付けられる。近づくのはやめようぜ』
『そうね。なんかヤバいオーラ放ってるし』
周りからヒソヒソと自分の事を言われる。やめてくれ、俺が一体何をしたっていうんだ。
何百何千と嫌な声が脳内に響き渡る。もうやめてくれ!おさまってくれ!
……誰か助けてくれ……
「……ハッ!?」
勢いよく目を覚ます。何故か森の中で目覚めた。
いつの間に外で寝ていたんだ?昨日は真っ直ぐ帰宅したはずなのに。
昨日、何をしていたか思い出す。
自宅の玄関の扉を開けて、荷物を置いた場面までは覚えている。
そこからは……そうだ。
ネットで自殺方法を調べようとノートパソコンが置いてある机に向かおうとして転んだんだ。
……凄く痛かった。今までに経験した事の無い痛みだった。
……ん?じゃあなんで森の中で寝ているんだ?
誰かがここまで運んだのか?
何の為に?
大体、玄関の扉には鍵を掛けたはずだ。
家への侵入は不可能……あぁ、もっと訳が分からなくなってきた。
というか、頭は?俺は頭を机の角にぶつけたはずだが。
頭に手を置く。
血は出ていない。痛みもない。
どうなっている?昨日のは夢だったのか?
いや、これが夢なのか?感覚としては、現実だと思うのだが……
とりあえず立ち上がり、もう一度周りを見渡す。
うん、森。木しかない。
……いや、1つだけ異様な物が置いてあった。
2メートル位先にボストンバッグが置いてある。自分のではない。
まさか爆弾とか入ってないだろうな?
俺は恐る恐るバッグを開ける。
すると、中には数着の自分の服と下着、コンビニで買った弁当やカップ麺、お菓子などが入っていた。
なんで家の食料が……
ご丁寧に着替えまである。これだけでサバイバル生活をしろとでも?
いや、サバイバル生活に食料とか支給したら駄目だろ。
中身を全て確認し、バッグを持つ。
とりあえず、森から移動しよう。
もしかしたら、村とか集落とかが存在するかもしれない。
無人島だったらもうお手上げだ。素直にサバイバルするしかない。
何処へ向かえば良いのか分からない為、適当な方向に歩く。
……それにしても、本当に木ばかりだな。動物すらいないのか?
と思っていたのも束の間、何かが自分の前に現れる。
「え!?」
その異様な姿に目を奪われる。
現れたのは、小型犬くらいの大きさのトカゲ。
牙が鋭く、完全に自分を敵視している。
それだけでも不気味だが、もっと不気味だったのは、顔には大きい目が1つしか付いていなかった事だ。