1:プロローグ
初投稿なので色々と変になっているかもしれません。
追記:少し改稿しました。メインストーリーに影響はありません。
「帰りたい……」
無意識に声が漏れる。
家に向かって歩いているのに、無意識に「帰りたい」と口にした。
会社に居る時はいつもそれしか考えていないので、帰宅中なのに帰りたいと思ってしまった。今日も部長に沢山怒鳴られ、こき使われた。
会社に入社して少ししか経っていないが、何とか仕事はこなせていたはずだ。
なのに、俺が気に入らなかったのか、部長は俺が何か行動を見せれば罵倒してくる。
毎日が地獄だ。
俺の唯一の話し相手だった男は、俺と同様に毎日部長から罵倒され続け、自殺してしまった。
お互いに頑張ろうと約束したのに、彼は自殺してしまった。
彼の分まで頑張ろうと心に決めていたが、もう限界だ。
周りの人間は、俺に関わると部長に目を付けられると思っているのか、一言も話しかけてこない。
本当に辛い。
辞めたくても、他に行く場所が無いのだから耐えるしかない。でも、本当に限界だ。
……死のう。
もう耐えられる気がしない。
このまま会社に行き続けても精神が変になるだけな気がする。
それに、死んだ先には俺の親友が待っているはずだ。
よし、死のう。気持ちが変わらないうちにさっさと死んでしまおう。
そう考えると、急に足が軽くなった。
その足取りで自宅のドアを開ける。
「ただいま」
一人暮らしなため、もちろん返事は返ってこない。でも癖でつい言ってしまう。とりあえず荷物を置く。
さて、どう死のうか。とりあえず自分が知っている方法だけで考える。
首吊り……はなんか苦しそうで嫌だな。
飛び降り……駄目だ、他人に迷惑がかかる。
焼身……これも苦しそう。
服毒……って何の薬飲んだら死ぬんだ?
他は……全部苦しそうだ。
なにか楽に死ねる方法は無いものか。何気なく部屋を見渡す。ふと、机の上のノートパソコンが目に入る。
……ネットで調べれば良いじゃないか。ネットなら楽な死に方の情報があるはずだ。
早速調べようとノートパソコンが置いてある机に向かって歩き出す。が、何もない所で躓いた。
「え……?」
そのまま机の角に一直線に倒れる。物凄い激痛の後、徐々に意識が遠くなっていく。
……嘘だろ?確かに死のうとしていたが、こんなダサすぎる事故で死ぬのか?
恥ずかしすぎる。やめてくれよ。せめてカッコ良く死なせてくれよ。
ニュースで「躓いて机の角に頭を強打して死亡」とか報道されるの?恥ずかしすぎて死にたい。いや、もう死にかけてるが。
今思えば、色々とやり残した事が。
親孝行は何もしてないし、姉さんとも最後に話しておきたかったし、遺書も書いてないし、それから、それ……から……
意識が完全に無くなる直前。女性の声が頭に響く。
『……死んじゃダメ!!』
誰の声なのかも考えることすらなく、意識は完全に無くなった。