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9 魔法使いたちの愉しみ

 深夜、バロウズが眠った後、大魔導師タルトスの小屋。

 バロウズの魔法の師匠であるタルトスは、テーブルに座り紅茶を飲んでいる。小屋の奥には形になりつつある、エンジンがおいてある。

 テーブルには、ジョン、フィリプ、オイノ、エカヌス、ディナ、シルバードが座っていた。オイノやシルバードは巨大な身体を魔法で縮めている。


「で、どう思う?」


 タルトスはいきなりそう切り出す。主語が抜けている言葉だが、彼らは何が言いたいのか理解していた。フィリプが楽しそうに答えた。


「どう生きるにしろ、どの勢力に属するにしろ、世界のバランスを崩しかねないな」


 フィリプは死霊術師であるジョンによって蘇らされたアンデッドだ。700年前、無敗の将軍として恐れられ、小国を大国に変えた英雄だった。


「世界有数の魔力に加えて、類まれな魔法センスに武器術の巧みさ、異質の精神構造、どれを取っても素晴らしい」

「ディナやシルバードに勝てるとは思わんかったのう」

「私もまさか年端もいかない少年が我々を打倒しえる存在になるとは思わなかったよ」

「最近はバロウズも我々を殺さないように加減しているようだな」

「この二人に一矢でも報いられる人間がこの世界にどれほどいるかのう」

「まぁちょっとした弊害が残っているが……」

「ああ、残っておるの」

「我々も自分たちがどういう存在が伝えてないというのも悪かったのだが、なにより自己評価と客観的評価に大きな隔たりがあるのが問題だな。それはそれで面白いが」

「バロウズも自分が平均より優れた魔導師であることは理解しているようだけど、なにせ魔王ジョン・メフィストを一般的上位魔導師と思っているのだから」


 エカヌスが苦笑するジョンを見て笑った。


「魔王は止めてほしいな、他国が勝手に言ってることじゃないか」

「今代の魔導師でもっとも不死の秘法に近いあなたも十分に怪物バケモノでしょう。他国が恐れるのも無理は無いわよ」

「ほっほっほっ……では、結論を出そう」


 タルトスの言葉を聞き、全員が一度黙った。


「あやつは好きに生きてもらう。頼まれれば手助けするし、何かあれば協力もする。じゃが、あいつの生き方には口出しをせぬ。それでいいかのう?」

 全員、やはり楽しそうにうなずいた。


 国も種族も善悪すら異なるこの超越者たちの集団だったが、自由と変化を望むという点では考え方が一致していた。秩序ロウより混沌カオス側の集団だった。

 彼らは自分たちの技術をことごとく吸収した一人の少年が、この世界でどういう生き方をするのか、楽しみにでならないのだ。

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