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冒険者ギルド

 これからも挙げていきますので、

どうかよろしくお願い致します。


 ただ、一日に一度のペースは難しく、

週に一度に変更したいと思います。


 初めの宣言を撤回する形になります。

それでも読んで頂けるならとても嬉しく思います。


 何卒、よろしくお願い致します。

 剣とブーツをクロスさせた紋章を看板として掲げていた建物の目の前に立つ。


 宿屋のおっちゃんが正しければ、ここが冒険者ギルドだ。

すでに昼を過ぎているためか、その建物には出入りがない。

恐らく、何処かで依頼をこなしているのだろう。

 目の前の木製のスイングドアが寂しそうにしている。

だからなのか、異様なぐらいに静かで、背後から来る町独特のやかましさが違う世界のものに感じる。


 俺は深呼吸して、ゆっくりと力を込めてトビラを開けた。


「……」


 中は見た目相応に広い。

といっても、今まで入った建物が自分の家と宿ぐらいだ。

比較対象が少なすぎて、広く感じるだけなのかもしれない。


 そう考えると、俺はともかくリーナは初めて文明を感じさせる場所に来たってことか。

それにしては、全くはしゃいでいなかったな。

お兄ちゃん、はしゃいでいる妹の姿、見たかったな。

……馬鹿か、今はそんな事考えちゃ駄目だろ。


 瞬時にそんな願望を捨て、目の前の現実に注意を戻す。


 見た感じは酒場といった感じだろう。

右の壁全体が掲示板のような作りになっており、いたるところに羊皮紙が張られている。

ここで、仲間の募集や仕事を貼り出しているのだろうか。


左奥には厨房があり、近くには女給がいて、暇そうにあくびをしていた。

無理もない。がらんがらんで客がほとんどおらず、

ここから見ても二桁に及ばない数が暇そうに飯を食ったり、酒を飲んでいるのみだ。


最後に、正面には受付があり、受付嬢がニコニコしてこちらに視線を送っていた。


 俺は視線を合わせておどおどしくも会釈をする。

そして、ゆっくりと受付の方へと歩いていく。


 こちらが田舎丸出しのようにキョロキョロしてる時点で初心者だと、既に向こうは気づいているみたいだ。

だから、可愛らしい初心者だとアピールして可愛がってくれたらいいなと考え、そのように会釈した。

効果があればいいなあ……


 そしてここからは推測に近い憶測だが、

とっとと冒険者ギルドの傘下になるべきだと分かる。

 目に見えるギルドの従業員が全員女性だ。

人攫い……暴力が蔓延る、この世界で接客する人間が女性なのだ。


 その事から二つの可能性を考えてもよい。

従業員が暴力に晒されないという絶対的自信、

つまり権力や相手の暴力を制する暴力がバックにあるという可能性。

または、従業員自身が無茶苦茶強いという可能性。

脳裏に樽女がよぎる。こわい。


 俺は仲間になりたそうに向こうを見る事にしよう。

受付カウンターの前に立つと、


 「こんにちは、君、初心者……だね?」


と受付嬢が話しかけてくれた。


 向こうから話しかけてくれるとは。優しそうな人だな。

年齢は20代半ばだろうか。

明るみのある灰色の長い髪をポニーテールにし、自信に溢れる顔をしていた。


 「はい、そうなんです。連れと一緒にギルドに登録したいのですがどうすればいいですか?」


 「分かったわ。では説明しましょうか。けれど、連れの人はいないようだけど?」

と俺の背後をキョロキョロと大げさに探す。


 そんな、必要のない行動から受付嬢の人が分かる。

なかなかに茶目っ気が強いようだ。


 俺は軽く頭を掻いて、その疑問に返す。

 「連れは初めての町で緊張してダウンしてしまったんです。

俺も初めての町なんで、驚きの連続です。人もいっぱいだし、活気もあるし、ここは凄いですね。

静かな暮らしが懐かしいですよ。」


 連れの恥を自分の恥のように照れて笑い、ついでに町の事も褒めておく。


 「ふふ……面白いのね、その人は」


 「まあ、という事なんで、俺だけ先に済ましておこうと……

それにこの仮紋印がこの町の部外者って感じがして居心地が悪いんですよね」


 俺は寂しそうな表情を作って印を片手でなぞる。


 「むむ!久しぶりに見るわね、それ!

あれ、けどどうしてそれなの?村の紋章は?」


 受付嬢はびっくりしたり、訝しげになったりとコロリコロリと表情を変えていく。


 裏表が無い人にみえる。

これで俺と同じくわざとなら恐ろしいな。

念の為、逆らわない事を肝に銘じておく。


 「あーーとですね、田舎は田舎でも、

村ではなくて、その……森……なんですよね……ハハハ」


 と居心地の悪そうな顔で軽く下を向く。


 だが一向に向こうからの応答が返ってこないために、

俺はちらりと受付嬢の方を見る。それと同時に受付嬢が笑いだした。


 「く……くくッ。あははははは!!!

ご、ごめんね、本当なら笑っちゃいけないのに……けどさ、くくッ。」

と片手で口を大きく隠し、残りの手で腹を抑えて、小さな笑いを小刻みにたて続ける。


 俺はその笑顔が中々に素敵だったので、困った顔をして眺めて待つことにした。


 長い事待って、ようやく話しが進み始める。


 「ふぅふぅ……はあ~~お腹痛い。ごめんね、待たせて」

と、申し訳なさそうな笑顔で謝って、話し始める。

 

 「君は中々愉快な出身だね。もう少し遅ければ、愉快な仲間達に紹介出来たんだけどな。

私の名前は、マリッサ、改めてよろしくね。」


 マリッサは片手を差し出してきた。


 「はいマリッサさん、こちらこそよろしくお願いします。」

とこちらからも片手を差し出し、握手を交える。


 「名前はなんていうの?」


 おお……名前を覚えてくれるのか。


 「はい、……アランといいます。」


 一瞬、偽名を作ろうかと思ったが、これから身を預けるギルドでそんな事する必要も無い事に気づいて、

そのまま名乗る。

自分のひねくれ具合に、心の中で苦笑いする。


 「よろしくね!森の民、アランよ!!

そして……ようこそ、冒険者ギルドへ!!!」


とマリッサは大仰に両手を挙げて歓迎のポーズをとる。

更に加えて、いたずらが好きそうなウインクを送ってくる。


 「よし!では冒険者ギルドの説明をするわね。

その後に、正式に冒険者ギルドの印を授けるわ。

ふふ、少し、長くなるから覚悟してね。」


 マリッサの茶目っ気にこれから翻弄されそうな予感を感じつつ、


 「お、お手柔らかにお願いしますね」

 ギルドの説明を受ける俺であった。

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