花の海【中編】
環境汚染が進んだとある町。昔から、工業地帯として栄え発展を遂げてきた。また、自然に溢れ周りからは「人と自然と工業が共生する町」として注目を浴び、更に各企業からの進出が進んだ。人々は、安定した生活を送り、裕福な生活を楽しんでいた。
しかし、その裏では各企業の経済戦争により、工場の廃水・排気ガスが大量に溢れ、町人の暮らしに大きく影響を与えた。
町からは緑が消え、代わりに灰色の建物、どす黒く淀んだ空が広がり、喘息・肺炎になる者が増えた。川は廃水により、魚が死に絶え、生活用水として使用した町人達は病気となった。植物状態になる者、奇形児が産まれたり、流産したりする者、時には死亡した者がいた。各企業には町人達からの訴訟・撤退を要求されたが、メディアからの批判を浴びたくないことと、町と癒着関係にあったため、町人達の要求を無視し続けた。その結果、町から人と自然が消え、かつての共生する町は無くなり、廃墟と黒煙を出す工場しか残らなかった。
やがてその町は、ワイドショー・ネットで取り上げられ多くの批判を浴びた。別の町へ逃げて、生き残った町人達が町へ裁判をかけ、警察が町と企業の癒着関係を見つけ、多数の逮捕者を出した。そして「世紀の公害事件」と言われることになった町には誰も、訪れることは無かった。
全てが落ち着いて、裁判に勝利した町人達の中には、残る者、去る者の2つの意見に分かれた。だが町人達は、国・企業に頼ることなく、自分達で町を綺麗に取り戻す計画を立てた。
周りの町からは、無謀な計画だと言われた。しかし、町人達は力を合わせ、大学行って環境技術を勉強したり、廃墟になった町を更地にしたりなど、様々な方法を駆使した。少しずつではあったが、町人達は執念を持って、復興に専念し続けていた。
そして、事件から100余年の歳月が流れた。そこにあったのは灰色の建物、黒く淀んだ空ではなく、緑に囲まれた家、雲一つない青空と透明に澄んだ川で囲まれた町だった。先人達がコツコツと努力してきたものは、決して後代まで絶やす事なく、常に進化させてきた。
公害に侵された町が、自分達自身で復興させたことは世界中で有名になった。町の中心部には公害事件で亡くなった町人達の慰霊碑がある。その上には、桜の木が立ち並び、海のように花を満開にして、咲いていた。
子供達がピカピカのランドセルを背負って、学校に向かう。慰霊碑はまるで、見守るかのごとく、じっと佇んでいた。
重い感じで始まりましたが、最後はロマンチックに締めました。




