4.魔法
なかなか序盤は書きたいことが書けないんごおおおおお
説明回チックになるけど仕方ないよね!w
4歳になったことで自意識も安定してきたのでようやく第二の人生を歩みだしたといっても過言ではないだろう。
このメルロード家に住まうのは父エルフォンス=D=メルロード、母エルザ=メルロード、兄カイリ=メルロード、他にメイド数名と執事が数名だ。
俺の生活に関係してくるのはほとんどがメイドか執事で、両親はほとんど興味がないように思われる。そのことに少し疑問を持ち、メイド達の話を伺ってみると俺はどうも妾の子供であったらしい。メルロード家に仕えていたメイドを父が孕ませ無理やり産ませた子供なためあまり母によく思われていないようだ。
普通の子供であったなら心に傷を持ってしまったり、ショックを受けてしまうところだろうが俺にとっては好都合である。冒険者として世界を旅するためには家に縛り付けられてしまうと困ってしまうからな。なるべく早くこの家を出ていき、母上の邪魔にならないようにすべきだろう。
冒険者になるにあたり必要なことはなんだろうと考える。
やはり戦う力だろう。生き抜く力と言ってもいいだろう。一人で見知らぬ土地を生き抜く力、その日の生活費を稼ぐ力、就活の荒波をのらりくらりと超えていくコミュ力など必要なものは挙げ始めると切りがない。とにかくできることから始めていくべきだろう。
まずこの世界のことを調べることにした。
屋敷の中を歩き回れるようになり、あまりメルロード夫人の心象の良くない次男坊は使用人にとってもあまり関わり合いになりたくない存在のようで、屋敷を歩いていても特に何か言われたりはしない。
俺は王都に招聘され不在の父の書斎に忍び込み、歴史の本や物語の本を読みあさっていた。初めのうちは言葉が読めずに苦労したが、あいうえお表のような教科書も書斎に存在したため覚えることに成功した。
前世とは違ってすらすら言葉を覚えられたため三日とかからず言葉をマスターしてしまう。この体はとても物覚えがいい。
この世界は三つの大陸が存在している。
テケン大陸・ラー大陸・魔大陸の三つで、今俺がいるのはラー大陸である。その中心部に位置するラナーク王国は四方を他国に囲まれ、東の大部分にはジナの大森林が広がる。
世界の歴史はこうだ。
神々は星を作り、山を作り、海を作って遊んでいた。
次第にその遊びは加速していき、最後に戦争を作った。本当の意味では【争う】ということを作ったのだ。ある神は人族を、またある神は妖精族を、またある神は魔族を…作った。
彼らは自身の作った者たちを争わせ、それを見て楽しんだ。楽しみすぎた。次第にエスカレートしていく争いは気がついたときには神にも止めることのできないものとなった。
彼らは無理やり大地を三つに裂き、各種族を個々の大陸に押し込めたがそれでも彼らは争い続けた。
疲れ果てた神々は己の眷属を数名残し、この星を見捨て去った。
残った眷属たちは神類族と呼ばれテケン大陸の奥、飛龍山脈に住むと言われている。
置いていかれた種族たちは神に見放されたとも知らず何千年も戦っては休み、戦っては休みを繰り返している。
第三次世界戦争が終結し90年経った2790年…俺は転生し、今に至る。
本を読めば読むほどこの世界の人たちは戦争ばっかりしている。戦争ジャンキーだ。
しかしながらこれだけ戦争していても魔族は魔大陸にほとんどが住み、人族はラー大陸、妖精族はテケン大陸に住んでいて住み分けができているらしい。まぁ、人族と魔族が混じったりとかは結構あったりするらしい。第三次世界大戦の時に活躍した勇者は妖精族と人族の混血だったと記述されているぐらいだし。
そんなこんなで年がら年中戦争していたらしいが、その手段が俺にとって最重要だ。彼らは魔法と武器を使って戦争をしていたらしい。前世の世界と異なり、飛び道具とかは魔法が代わりの役割を果たしたり、戦士たちが肉体強化したりするので役にあまり立たなかったのだろう。
よって基本的に魔法を使い、武器を使って戦う!それがこの世界の戦闘なのだろう。これぞファンタジー!俺の求めていた世界だ!
しかしどうやって魔法を使えばいいのかまるっきりわからない。どうしようか悩むながら数日過ごした。
ある日の夕食の時斜向かいに座っていた兄、カイリが話しかけてきた。
「アルは最近父さんの書斎に勝手に出入りしてるみたいだね。あそこは父さんの大事にしているものとかあるから入ってはいけないよ」
「そうだったんですか…すみません、今度からは入らないようにします」
「アルはなにか知りたいことでもあったのかい?僕が答えられるならなんでも答えてあげるよ」
「最近は本を読んだりしていました。あと魔法とかにも興味があります」
「もう字が読めるんだね!それはスゴイ!僕も文字は4歳の頃に読めるようになったかな?今度魔法について教えてあげようか?」
にっこり微笑む兄はすごくできた人だ。サラサラの金髪に青い瞳、完璧な欧米人のイメージだがまだ9歳なので美少年といったところだろうか。俺は妾の人物が黒髪とかだったのか髪の色は兄と異なり金髪がくすんで茶髪のようになっている。
「あら、カイリさんがわざわざ教えて差し上げる必要はないですわよ!それにカイリさんは3歳の頃にはもう文字の読み書きはマスターしてましたわ。当主になるべくやることは山ほどあります、雑事にかまけず、しっかり自分のことをなさってください」
そんな風にいうのは母であるエルザである。母は滅多に俺に話しかけない。それだけ目障りな存在なのだろう。兄はそのことをどうにかしたいようだが、9歳の子供にそれをやってのけるのは無理があるだろう。
「はい…お母様」
うつむくように歯を食いしばるカイリ。気にしないでくれ兄さん!俺は何も気になんてしてないぞ!
「……アラン!アルフォンスにはそろそろ家庭教師の一人でもつけてあげなさい」
「承りました」
キリッとした動きで母の後ろに控える執事が答える。父の右腕として働いているアランという執事で、いつも姿勢よく控えていてザ・セバスチャン!みたいな感じだ。壮年の男性で目つきは柔らかいが怒ると怖そうな雰囲気を持っている。俺はなんだか彼が怖く見えるので中々話しかけられない。
次回!とうとうヒロインが…でな…