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童話 ぼくときりとキミ

作者: Ryuui
掲載日:2012/02/18

『まぁ、ステキな押し花!』



『わ!わ!しゃべった!?』



『わたしの日記帳にいつからいたの?』



『…旅をしてきたの?ねぇねぇ!どんなところ?!教えて教えて!』



『わたしずぅぅっと家にいるから、退屈で退屈でしんでしまうところだったの!』



 そんなに面白い物じゃないと思うけど…それでもいいなら…。



 退屈はー…、しないと思うよ。



 だって、いろいろ会ったからね。



 ちょっと長くなっちゃうかもしれないけど、それでもよかったら聞いて。



 ぼくは――……。











 ぼくは小さな花。

 みずうみが全部見える場所に、ずぅーっといる。

 ぼくは名前のない花。

 空はずーっと遠くて、見上げてるとつかれちゃう。

 ぼくは雑草みたいな花。

 お日様はキンキンきれいで、みずうみがまぶしい。

 ぼくは白い五枚の花。

 今日も、ぼーっと変わらない景色を見てる。

 でも、変わらないのがちょっと退屈。

 そんな事を言うと、みんな「おかしいよ」って怒るんだ。



「いいかい。ボクら植物は動けないけど、根っこはみんなつながってるんだ」

「そうそう。どこにいたってボクらはボクらなんだよ」

「だからね。退屈なんて変なんだ」

「ボクらは、退屈じゃないのにキミが退屈なんておかしいよ」



 …ぼくはぼくだって言いたけど、そんなみんなに言えないでいる。

 なんでぼくだけこんな気持ちがあるのかな。

 どうしてみんなはぼくみたいに考えないのかな。



 だからぼくは、みんなからはなれて、みずうみの側でひっそり咲いてるのかもしれない。

 一日中、お日様の気持ちを葉っぱに受けて、ぼくはぼーっとずーっと考える。



「ギャッギャ!まーた、おまえはくだんねぇー事考えてんのかぁ?」



「こんにちは、鳥さん。そんなに変かな」



「ギャッ、んなのオレが知るかよ。オレは鳥だぜ?この広ーい広ーい空が、んなメンドウな事考えるかよっギャ」



「空はなんにも考えないの?ずーっと同じなんてつまらないと思うんだ」



「ギャーッ、空は受け止めるのが仕事なんだぜ!ほら、空ってからっぽのからって言うじゃねぇか!」



「へぇー、空はからっぽなんだ。たのしーのかな?」



「ギャーギャギャ!まずは、その変に考える事からやめるんだな!」



「むむむ、とってもむずかしいよ?考える事を考えない様に考える…の?」



「ギャース!何言ってんのか分かんねーよ!お前はニンゲンみたいだな!」



「ニンゲン?ニンゲンってなに?」



「ギギャ、なんつーかお前みたいに変な事考えるサルの事だぁー!」



「へぇ、そんなのがいるんだー。会ってみたいな、どこに行けば会えるの?」



「ギャ?どこ…ん、何の話してたんだ?ギャース!そうだ、そうだ、空がオレを待ってるぜ!」



「ぁ…さよーならー」



「じゃぁな!ギャッギャッギャ!」



「たのし…そう…かな?」



 鳥さんはいつも好き勝手にしゃべって、それで忘れて帰っていく。

 とっても楽しそうなんだけど、何かちがうって思っちゃう。

 なんでだろ、なんなんだろう?



 ぼくは退屈なんだけど、楽しいってなんだろうな。

 あらためて考えると、ぼくには分かんないや。



 ぼくみたいな事を考えるニンゲンかぁ…。

 どこに行けば会えるんだろ。

 でも、ぼくはここから動けないから、やっぱりダメなのかな。



『どう、しんただい。また、なみやごかとい?』



「こんにちは、みずうみ」



『ほぅぅほ、こにんちは。いもつおうもが、キミは、ひょじうに、ニゲンン、みいたな、こをすとる』



「ニンゲン?みずうみはニンゲンに会った事があるの?」



『わしたは、どにこっだて、いるさ。それは、キミたちと、いっょしのずはだ』



「…ぼくには分かんないよ。みんな、変な事ばっかり考えてるからじゃないのかって言うんだ。ニンゲンみたいだって言われた」



『ふふむむ、たぁかしに。キミは、ニゲンンみいたなとこを、かがんえいてる。とてっも、めらずしい、こなとんだよ』



「ねぇ、ニンゲンにはどうやったら会えるのかな?」



『そさうなぁ、ならば、みをちつっくて、あやげう』



「ありがとう、みずうみ」



『なぁに、おすやいよごうだ。けどれいかいい、もにうどと、こにこは、もっどてこなれい、そでれもいかいい?』



「うん、へーき」



『キミは、ほとんうに、ニゲンンみいただ。なばらいっおていで』



 そう言って送り出してくれた。

 ぼくのまわりは、気が付いたらきりがいっぱいいた。

 きりは、ぼくをまる飲みして、



 ぼくは旅立った。











『それからそれから?!』



 それからねぇ、おっきなトカゲがたくさんいたよ。

 山みたいに大きな首長だったり、大きな牙を持った二本足だったり、本物の山がドッカーンってなったり、吹雪が吹き荒れてみんな寝ちゃったな。



『すごいわぁ。でも見たかった人間はみつかったの?』



 待ってね。

 次にきりが連れてってくれた先に、おサルさんがいたんだけどね。ちょっと変わってて、火を自分たちで作ってたんだ。



『おサルさんが火を…なにか変だったの?』



 うん、ぼくが知ってるおサルさんは火を作ったりしなかったからおどろいちゃった。

 きっと頭が良かったのかもね。

 それらをずーっときりと見てるとね、どんどん仲間をつくって、どんどん家なんかも作って、みんなして狩りをしたりねぇ、服って言うの?キミが着てるモノに似たのも作って、つくって作ってつくって作って、どんどん繰り返して…あっと言う間にたくさん増えてったんだ。



『おサルさんってすごいのね!わたし見直しちゃったわ!』



 でも、仲間を…いっぱい…うーん、ケンカもいっぱいしてたよ。

 ぼくはきりと見てるだけだったんだけど、やめてって言っても届かなくて…いっぱいケンカしてなぁ。

 そんなおサルさんは、ちょっとイヤだったんだけど、少しづつ少しづつ仲直りしながら、ケンカをしながらいろいろ考えてたみたいだったよ。



『ケンカはよくないわね。クーリャおばさんもお父様もお母様も、みんなと仲良くしなさい!っていつも言ってるし、でもねでもね。ドニーったらいっつもいじわるするのよ。ドニーって言うのは、わたしの家の近くに住んでる男の子なんだけど、この前だってわたしのお人形のマリアちゃんをけっとばすのよ!わたしは体が弱いから、マリアちゃんとドニーくらいしかお友達がいないのに…もっと仲良くして欲しいわ』



 そっか、ぼくには分からないけど、ひどい男の子だね。

 そのドニーくんとはどんな話をしたの?



『お話?うーん、いっつもぷりぷりしてるからあんまり。わたしとマリアちゃんで遊んでると、よく出てきてそれでマリアちゃんにひどい事するの。それからすぐケンカになっちゃうから…』



 ぼくが見てきたおサルさんはね、よくケンカをしてたけど、それよりもずっと話をしてたよ。

 あいてと話して、なぐられてもけられても、あいての話を聞いて自分の事を話して、そうやって仲良くなったおサルさんを見ると、ぼくはなんだかうれしくなっちゃうんだ。



『まぁ、とっても痛そうね。でも、とってもすごいわ。…わたしにもできるかしら』



 きっとできるよ。

 まずは話をしなきゃ、いっぱいケンカしてるおサルさんを見てきたぼくが言うんだから間違いはないよ。

 わかんないから、ケンカするんだ。

 でも、それじゃダメだよ。

 だって、ケンカしてると悲しくなっちゃうでしょ。



『そうね。さいしょはぷんぷん怒っちゃうんだけど、やっぱり悲しくなっちゃうわ』



 ドニーくんに話すといいよ。

 わたしとお友達になりましょう。ってね。



『仲良くしてくれるかしら。だっていつもいじわるするのよ。ちょっとこわいわ』



 それじゃ、字を書こうよ。



『字?お手紙のこと?』



 うん。おサルさんたちはね、口で気持ちが伝えられなかった時に、字を書いてあいてに渡してたんだ。

 それならこわくないだろう?



『そっかぁ、それならわたしにもできそうね!』



 おサルさんのすごい所は、字を考えた事だと思うんだ。

 字を書くって言うのはすごいんだよぉー。

 ゆっくり書いて、自分の気持ちを文字にして、あいてに届けるんだ。

 ちゃんと気持ちをこめて書けば、きっとキミの心がドニーくんに伝わるハズだよ。



『なんだかうまくいきそうだわ!ありがとう!』



 ぼくも、手紙が書けたら仲間と仲良くできたかもしれないな。

 ちょっとうらやましいや。



『どうして?あなたも書けばいいじゃない』



 ぼくはもう帰れないからね。

 それに長いこと旅をして疲れちゃったから、今はこうやって本の間にいるのがいいんだよ。

 ぽつんとぼーっとしてるのは得意だからね。



『それじゃわたしとお友達になりましょう!それならさみしくないでしょう?』



 えっ?

 ぼくと…?



『とってもいい考えだわ!そーしましょそーしましょ!』



 わわわわ、どーしようどーしたらいいんだろ。

 え?本当に?



『おかしいわね。あなたが一番いい方法を言ったのに』



 一番いい方法?



『お手紙を書いたらいいんでしょ?わたしが空いてる場所にお手紙を書くから、あなたも次に書いてちょうだい』



 あぁ、そっか。そうだね、それならきっとうまくいくかな。



『いけない、お母様が呼んでるわ。晩ご飯の時間になっちゃった』



 うん、行ってらっしゃい。

 そうだ、キミがご飯を食べてるうちに、いっぱい書いておくから、帰ってきたら見てね。

 ぼくのことを書いてみるよ。

 すごいんだよ、まだまだ旅の話の続きもあるんだから。



『うふふ、とっても楽しみ!それじゃ、行ってくるわ。またあとで』



 行っちゃった。

 なにから書こうかな。

 なにから書けばいいのかな。

 うーん、まずは最初から…かな。

 ぼくが生まれたみずうみの近くから、ずーっときりと一緒に見てきた全部を書こう。

 …長くなっちゃうかな?

 でも、いいよね。

 もう、いいよね。

 どうかキミに届きますように。

 あぁ、消えちゃう前に書かないと。

 ようやくなんだ。

 わかったんだ。

 いまさらだけど。

 なんで見てきたのに気が付かなかったんだろ。

 さぁ、最後の力でいっぱい書こう。

 ぼくを知ってもらうようにいっぱい書こう。



 ぼくと――…。



     ≪ 童話 ぼくときりとキミ ≫



 あぁ、間に合わなかった。


 そんな作者の締まりのない性格が出てるぐだぐだなお話です。

 童話ってなんだろう。


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