リリア、その7
ーーーこの世界には、魔法や魔道具、魔獣が存在する。
そして、人間は魔獣達と共存していくことを選んだ。
【お互いの住処を荒らさない】
それを守っていれば共存は難しくなかった。
そしてこの国は特に魔獣との共存が上手くいっている。
その理由は遠い昔の王が、この国を長く見守ってくれていた魔獣様が寿命で亡くなった際に、一ヶ月に及ぶ弔いの祭りを開いたからだ。
それに感銘を受けた魔獣様の子が
〝この御恩は決して忘れはしない、この先何百年経とうとー・・・〟
と、言葉を残してガイア国は魔獣に守られる国になった。
この話は絵本にもなるくらい有名な話で、私も小さい頃に何度も何度も読んだ。
そして、そのお祭りは何百年も経った今でも開かれる。
「そろそろ、そのお祭りの季節ね」
この時期は隣国から人はもちろん、魔獣もこの国に集まりお祭りに参加する。
ガイア国極東に位置するこの町は、ルードハンク領でもありお母様が生まれ育った町。
この町を視察で訪れていたお父様がお母様に一目惚れして、口説きに口説いて結婚し、子が生まれた。
それが私、リリア・ルードハンク。
ーーー貴族の血は、決して薄まらないーーー
だから市民との結婚も王の許しがあればできる。
けれど、わざわざ市民と結婚するような貴族が居ないのが現実。
ルードハンク家、ホーエンシリア家、ガティーネ家は王家の次に魔力を持ち、三大貴族と言われてる。
王家は男児しか生まれないのに対し、三大貴族は女児しか生まれない。
だから、王妃には必ず三大貴族の中から選ばれる。
そして、その三大貴族は昔からとても仲がいい。
問題なのは、その下の貴族達ー・・・。