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リリア、その6

いつもより長い朝食の時間にマリーは不審に思ったのだろう。

どんな話に花が咲いたのか聞かれたから、私は笑いながら〝キース殿下との婚約を白紙に戻したい〟と懇願したのよって教えてあげた。

マリーのあの驚いた表情・・・とても面白かったわ。

きっと一生忘れられないわ。


「しばらく、此処を留守にするわ。お父様の許可はもらってあるから心配はしないで」


「では、私も外出の準備を」


「いいえ、一人で行くわ。キース殿下との婚約を破棄する名目を私の体調不良という事にするつもり。王妃には心も体も健康で若く、魔力が高い貴族ー・・・その条件を満たしてないと分かれば白紙に戻すことは簡単だから。だから私は療養しにこの家を出るの」


「ですが・・・お嬢様が婚約者ではなくなったら・・・誰が・・・時期王妃に・・・?」


「それは・・・私にも分からないわ。けれど、きっと大丈夫だと思う」


「そう・・・ですか」


「ルーベルス陛下には心苦しいけど、そもそも私が王妃に選ばれたのだって


『キース、お前が私の跡を継ぐには条件がある。王妃には心も体も健康で若く、魔力が高い・・・だけでは駄目だ。聡明で思慮深くお前を導いてくれる、頼れる女性ではなくては継がせん!』


で、白羽の矢が立ったのが私なわけだけど・・・」


「お嬢様以上の適任者はいらっしゃらないかと・・・」


「いいえ、魔力が高い貴族は我が家(ルードハンク家)の他にも、ガーネット嬢(ホーエンシリア家)ヴィヴィアン嬢(ガティーネ家)も当てはまるわ。魔力が高い家では、魔力が高い故心も体も健康な子が生まれる・・・それは皆が知っていることよ」


「聡明で思慮深いのはお嬢様だけかと・・・」


「あら、そんな事ないわ。ガーネットもヴィヴィアンもとても賢く頼りになるわ。私と違うのは、二人ともキース殿下とは絶対結婚したくない!って言い張っているところね」


「でしたら・・・」


「どんなに本人が拒んでも、王の命令となれば話は別よ。従うしかない」


と笑ってみせると、マリーは少し困った顔を見せ・・・


「ミリア様もその候補に入っているのでしょうか?」


「入っているでしょう」


「そう・・・ですか」




こんな会話をしながら少しずつ進めていた荷造りも終わりが見えてきた。




「荷物が・・・少ないのですね、そんな量じゃ心持たないのでは・・・?」


「いいのよ、療養しに行くのだから荷物は最小限で」


「・・・どうしても・・・どうしても私がお側にいては駄目でしょうか?ずっと・・・ずっと・・・お嬢様と共に過ごしてきたのに・・・療養とはいえ離れるのは寂しいです」




ああ、マリー。なんて可愛いのマリー。両の目にたくさんの涙を浮かべて。可愛い可愛いマリー。




「大丈夫よ、少しの間だけだから。すぐ戻ってくるわ。それに手紙もたくさん書くわ。だから、私が戻ってくるまでこの家を守ってほしい。お願いできるかしら?」




「かしこまりました・・・お嬢様」





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