リリア、その3(加除修正済み)
「お父様。私は何度も同じ時間をやり直しています」
「正気か・・・?」
「でなければ私がこの話を知っているはずがありません。この話はお父様本人からお聞きしました」
「・・・」
「私が最後にライヤー伯父様にお会いしたのは、3歳くらいの時かと・・・さすがにその時に聞いていたとしても、ここまで鮮明に覚えていませんわ」
「・・・そうだな」
「お父様が私に、この話を教えて下さったのは、この話を自分にすれば、お前の言っていることをすぐ信じるであろうー・・・と、そう言ってくれました」
「そうか・・・信じがたいが・・・。
・・・真実なのだろうな・・・。
ああ、もしかしてそのネックレスが形見だと知っていたのも?」
「はい、別のお父様からお聞きしました」
「そうか・・・。私はお前にその話をしていないからな」
「はい」
「・・・私を憎んでるか?」
「え?・・・いいえ、今は憎んでおりません」
「今は、か」
「はい。真実を知るまではずっと憎んでおりました。お父様はお母様だけだと・・・お母様だけを愛していると!仰っていたのにお義母様と再婚し・・・まるでお母様が居なかったかのように・・・お墓にも足を運ぶことがなくなって・・・」
(ああ、泣かないって決めてたのに)
(泣いてはお父様を困らせるだけなのに・・・!)
「すまなかった・・・結局のところ、こうやってお前に全部バレてしまうなら最初から全部打ち明けていれば良かったなあ、あの時はまだお前も幼かったし・・・って言い訳だな、お前は昔からリリーに似て聡明な子だったのにな」
「お父様・・・」
(ああ、こうやってお父様に抱きしめてもらうのはいつぶりだろう・・・とても温かい・・・)
「落ち着いたかい?愛しい我が娘よ」
「・・・はい」
「では・・・本題に入ろう」
「はい」
「お前が何度もやり直すほどの出来事が未来にある。それを回避するためには、私の協力が必要・・・。ここまでは合っているか?」
「はい」
「ふむ・・・私は何をすればいい?」
「え・・・」
「・・・どうかしたか?私に出来ることなら言いなさい。リリアの為なら出来る限りの事はなんだってする」
(なんで・・・)
(なんで・・・こんなに・・・)
「何でですか・・・何で・・・」
「・・・」
「娘が突然、自分は何度も同じ時間をやり直してて、お父様の力が必要だから味方になって!って!そんなの普通信じない・・・あまりにも上手く行き過ぎてて・・・こんなの今まで無かった・・・!」
(お父様に信じもらえるのは嬉しい・・・けど、それとこれとは話が別だ・・・こんなに上手く事がいく事って・・・有り得ない・・・有り得なかった!)
「頭がおかしくなったと・・・!思われないんですか・・・」
「・・・」
「今までも何回か同じ流れがありました、朝食の席でお父様に自分が時間をやり直してると告げ、力になってほしいと・・・。ですが・・・ですが」
(ああ、そうか。今までならここで・・・)
「娘の話を信じない親がどこにいる、私はリリアの味方だよ、今までも、そしてこれからも」
「ありがとう・・・ありがとうございます」
「さあリリア、もう泣かないで。二回も泣かれたのがリリーにバレたら私が怒られちゃうよ」
(こんな表情をするお父様、初めて見た・・・)
「ほら、話を戻すよ」
「はい」