リリア、その1(加除修正済み)
ーーーこの世界には、魔法や魔道具、魔獣が存在する。
魔力は貴族にしか宿らない力であるため、平民で魔力持ちが現れたら血縁者を調べ、貴族として迎え入れる必要がある。
ーーーすでに他の家族がいた場合は、貴族にはなれないが王都に迎え入れて家族が離れ離れにならないよう配慮する必要がある。
「リリアお嬢様、おはようございます。今日は早いのですね」
「おはよう、マリー。なんたって今日は私の誕生日ですもの、早く起きたくもなるわ」
「うふふ、そうですね」
今日も忙しなく私の身の回りのお世話をしてくれるマリー。
私が小さい時からずっとそばに居てくれて、今は亡きお母様より長い時間を共にしている。
「お父様はもう朝食を?」
「いいえ、毎年恒例、今日は家族水入らずで朝食を取ると仰っていましたよ」
「そう・・・良かった。あまりお父様を待たせたくないわ。そろそろ行きましょう」
「かしこまりました」
そう言うとマリーは「今日もとてもお美しいです、リリアお嬢様」と、鏡越しに目が合った私に微笑んでくれた。
(やっと・・・やっと、ここまで来た・・・!)
(絶対に、絶対に、絶対に!)
(この〝やり直し〟で)
(全部終わらせてみせる・・・!)
ーコンコンコン
「お父様、おはようございます。お待たせいたしました」
「おはようリリア、そしてお誕生日おめでとう」
そう言うとお父様はネックレスをつけてくださった。
「ありがとうお父様。・・・このネックレスはお母様の。代々受け継がれてきた大切なネックレスですね」
「おや?よく知っていたね、話したことがあったかな」
「ふふ、どうだったかしら。それよりも早く朝食にしましょう」
(知っていて当然よ。このやり取りも、もう何回目か分からないくらい繰り返してるもの)
「改めて、お誕生日おめでとうリリア。リリアがこの世に性を受けもう18年・・・早かったな。リリーも今のお前の姿を見たらきっと嬉しくて泣いて・・・号泣していただろうな」
「そうだと嬉しいわ」
「マリーも長年お前と一緒にいたからな、嬉しいだろう?」
「もちろんでごさいます・・・ルードハンク公爵夫人にもお見せしたかったです」
「・・・マリー、少し席を外してくださる?お父様と二人きりで話したいの事があるの」
「・・・かしこまりました。何かありましたお呼びください」
ーガチャ
ーパタン
「珍しいな。お前がマリーに席を外させるなんて。余程重要な話かな」
「ええ。単刀直入に申し上げます。お義母様の尻尾は掴めまして?」
(お父様の動きが止まった)
「なんの話をしているのかわからないな」
「では、少し昔話にお付き合いくださいませ」