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02-05.就寝

「人体の最奥には魔力の源らしき力の塊が存在するのだ。

 私はそれを魂だと考えている」


「魂?

 どうしてそう思ったの?」


「正直な話、これは論証によるものではない。

 ただ私はそう感じた。それが理由だ」


「そう。良いんじゃない?

 そういう感覚、大切だと思うわ」


「うむ。

 パティならばそう言うと思っておったぞ」


「ふふ♪」


 嬉しそう。ちょろ可愛い。



「パスを繋ぐとは、魂にフックをかけるようなものだ。

 自分の魂と相手の魂を直接紐で結ぶのだ。

 それで距離を無視した通信が行える」


「なんでそんな事が出来ると思ったの?」


「これもなんとなくだな」


 前世の知識が強く影響を及ぼしてはいるけれど。



「眷属にする条件はまだ研究中なのよね?」


「うむ。そこは先ほど説明したとおりだ」


「残念だわ。私も繋いでほしかったのに」


「追々な」


 待ち遠しいのは私も同じだ。

だがまあ、もう暫くは先になりそうだ。


 経過観察も重要だからな。

待ちきれずにユーシャとは繋いでしまったが、もう少し慎重になるべきだったのかもしれない。その為の実験台スノウなのだから。



「身体の方はどう?

 だいぶ馴染んできた?」


「すまん。

 正直そちらは後回しになっていた。

 一先ず問題は発生していない。

 強度の方なら心配要らないようだ」


 何せ初っ端からあの過激な戦闘に巻き込まれて無事だったくらいだし。頑丈さには信頼が置けそうだ。今ならば更に増していることだろうしな。



「そう。まあ仕方ないか。ユーシャの事だもんね」


「もちろんお前とも関係があるからだぞ。

 ユーシャと繋がれば何時でもパティの側にいられるのだ。

 これは頑張らぬわけにもいかぬだろう」


「ふふ♪

 エリクったら♪」


「いかんぞ。騒ぐでないぞ。

 また大騒ぎになれば週末毎の帰郷は禁じられかねんぞ」


 ようやく寝てくれた他の皆も起きてしまう。

これ以上メアリに叱られるのも勘弁して欲しい。



「ふっふっふ♪」


「おい。なんだその笑いは。なんだその手つきは」


「今ならエリクも禄に抵抗出来ないと。

 つまりはそういうわけよね?」


「言っておくが私は大声を出すぞ。

 またメアリも呼び出してやる。大事にしてやる。

 どうせユーシャを介してお前には会えるのだ。

 少しくらい我慢も出来よう」


「けどユーシャとは会えないじゃない」


「心配要らぬ。何時でも存在は感じられるのだ。

 たった数ヶ月、耐え忍んでみせよう。

 だが、出来ることならパティには思い留まってほしい。

 一時の情欲に流されて私を悲しませないでほしい」


「冗談よ。冗談。

 そんな本気で説得しないでよ。

 私が悪いみたいじゃない」


「いいや。悪くなどないさ。

 パティはよく我慢してくれておる。

 私は感謝しているぞ」


「……」


「おい。何故そこで黙る?」


「あはは~」


「……どこまでやったのだ?」


「……のーこめんと」


「お前達!」


「しぃー!!静かに!エリク!

 私達帰ってこられなくなるわよ!」


「まったく!

 裏切られるとは思わなんだ!

 ユーシャを預けた私の信頼がわからぬのか!」


「いや、そこまでしてないから!

 ちゃんと初めては残してあるから!

 お願い!信じて!エリク!」


「ならば申せ。何をやったのだ」


「……ごめんなさい」


「おい!」


「違うの!そういう意味じゃなくて!

 これはただ私が恥ずかしいから言いたくないの!

 お願いだから察しなさいよ!」


「恥ずかしがるような事をしておるではないか!」


「そうじゃないんだってばぁ!

 私は我慢した!ユーシャに触ってない!

 それだけは信じて!」


「おい。声量を落とせ。

 皆が起きる」


「いきなり一人で落ち着かないでよ……」


「纏めると、ユーシャが何かしてきたのだな。

 パティが恥ずかしがるような事を一方的に。

 そしてパティは耐え忍んだと」


「纏めないでよ!

 もうこの話はお終いよ!

 それよりもっと自分の身体の機能を試しておきなさい!

 折角私達が頑張ったんだから!

 以上!おやすみ!エリク!」


 不貞腐れたような、照れ隠しのような態度で布団に潜り込むパティ。


 少し言い過ぎただろうか……。

まあ大丈夫か。明日にはケロッとしておるだろうし。


 私も大人しく寝るとしよう。どうせ身動きも取れんのだ。

結局、体中に皆がしがみついておるからな。

ふふ。人気者は辛いわね♪


 だからまあ、パティの気持ちもわからんでもない。

我が身にも度々降り掛かっている事だ。

何故か我慢している私の方が叱られるのだ。

世の中理不尽過ぎるだろう。


 だがまあ、保護者と人気者の立場と引き換えならば悪くはない。

慕ってくれる愛しい娘達の側にいられるのだ。

これ以上の幸せもあるまい。

多少のやっかみも笑って受け入れるとしよう。


 やっかみはなんか違うか。

ダメだ。変な思考になってきた。

もう寝よう。おやすみ。皆。

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