07-20.ギスギス
「ようやくやる気を出してくれたわね」
「すまんな。手間を掛けさせた」
「別にいいわよ。エリクが謝るようなことじゃないわ」
「二人ともうるさい! 気が散るからあっち行ってて!」
「そう。気を遣って側にいてあげたのだけど。わかったわ。何かわからないことがあったら聞きに来なさい」
パティは私の手を引いて歩き出した。
「パティ! なんでエリク持ってくの!?」
「二人ともって言ったじゃない」
「そこ置いといて!」
完全に物扱いだぁ……。
「ユーシャは勝手すぎるわ」
パティはユーシャの言葉に従うつもりはないようだ。私の手を離すことなく歩みを再開した。
「離しなさい」
ユーシャが私のもう一方の手を掴んで引き止めた。
「そっちこそ!」
バチバチと睨み合う二人。
「「……」」
「なあ、そろそろ仲直りせんか?」
「「ふんっ!!」」
息ぴったりじゃん。
ユーシャもなぁ。仲直りするって約束したのになぁ。結局素直になれとらんではないか……。
「離して!」
「離すのはユーシャよ!」
ああ……。腕がちぎれる……。
「二人とも~」
「エリク!」
「どっちを選ぶの!」
なんでそうなるのさ……。
「パティ~、ユーシャ~、エリク~、ご飯よ~」
助かったぁ……。
「「……」」
「ほれ。ディアナが呼んでるぞ?」
「「ふんっ!!」」
もー……。
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「銀花も大変ね」
「ゆーちゃんのせいでもあるんだからね」
「あら♪ 私のことはもう許してくれたじゃない♪」
こんにゃろぉ……。
「まぁすたー♪」
「おお! 賢いぞ! アウルム!」
アウルムが私の姿に変身してくれた。
「それで? どっちにアウルムを送り込むの?」
「結局魂で判定されるから見た目だけ真似ても意味ないのよね」
ディアナとゆーちゃんは助けてくれる気無いの?
「どっちもアウルムに行ってもらおう」
「それはそれで酷いわね」
「ならどうしろと……」
まさか今の私が分身を習得出来るわけもあるまいし。
……いや? それもアウルムに任せればいいのか? 一旦融合した上で。ダメか。結局同じか。私そんな器用じゃないし。
「ユウコが片方受け持ってあげたらどうかしら?」
「え~」
え~、ってなにさ。もう少し親身になってよ……。
「ちょっとあなた達」
「なんでそういうこと眼の前で話すのさ」
パティとユーシャが胡乱げだ。
「ただの雑談じゃない」
今は昼食中だからね。そりゃいるよね。二人も。
「ユーシャ。午後は私と一緒にやりましょう」
「……わかった」
ゆーちゃんの誘いに渋々頷いてくれた。
「ならエリクは私と」
「パティはアウルムとね。私もエリクと話があるの」
「……わかったわ」
ありがとう、ディアナ。ゆーちゃんとアウルムも。
「話って何?」
「どうやったら二人が仲直り出来るか作戦会議するのよ♪」
「「……」」
ディアナも容赦ないなぁ。
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「放っておきましょう」
え? いいの?
「作戦会議をするんじゃなかったのか?」
「冗談よ。あの程度別に問題無いわよ」
そっすね。
「それより、エリク」
あら。イチャイチャしたい気分なの?
ディアナが私の首に両腕を回してぶら下がるようにくるりと回った。
「二人の様子を覗きに行きましょう♪」
結局?
「絶対にバレるぞ?」
ディアナの魂は拘束もされてないし。ユーシャは間違いなくこちらを覗いているだろう。ユーシャとディアナだって主と眷属の関係性なんだし。それに今のパティなら似たようなことだって出来る筈だ。
「なら私に防ぐ方法を教えてくださいな♪」
「なんだかどんどん割れていくようだ」
「そんな事はないわ。繋がりを断ちたいわけではないもの」
「なら何が目的なのだ?」
「目的もなにもプライベートが全く無い方が不自然よ」
「それは全部わかっていて眷属になったのであろう」
「それはそれ、これはこれよ。束縛も欲しいけど自由も欲しいの。おかしなことではないでしょう?」
「まあなぁ」
とはいえなぁ。私は師匠としては不適格だしなぁ。
「そういう話なら何故ゆーちゃんに頼まなかったのだ?」
「エリクしか空いてないじゃない」
それはそう。
「大丈夫よ♪ 理論さえ教えてくれれば後はこちらで努力するわ♪」
これは何か別の目的がありそうだなぁ。




