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万能回復"薬"に転生しました!? ~ どうしても飲んでもらえないのでこの子(達)と生きていきます ~  作者: こみやし
07.新婚生活編(仮)

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07-18.懐かしの薬瓶



 あれからユーシャは心を入れ替えて頑張った。



 ……本当に頑張ったのだ。頑張りはしたのだ。本当に。



「なあ、ユーシャ」


「……」


「もう一度頑張ってみないか?」


「……(ふるふる)」


 私と融合してからは絶好調だったものな。だというのにここ最近は挫折続きだものな。あっさりパティに追い抜かれて心が弱くなってしまったのだな。なんだか久々だな。ここまで打たれ弱いユーシャは。


 いや。元々ユーシャは打たれ強いわけでもない。以前は嫌な事があったらさっさと逃げて忘れるタイプだった。


 ディアナ達と出会ってからはずっと頑張り続けていたのだ。、それでも今回ばかりはポッキリと折れてしまった。


 私と二人で暮らしていた頃に戻ってしまったようだ。つまり悪いのは私だ。私がユーシャをダメにするのだ。間違いない。今すぐにでも離れるべきだ。


 きっとユーシャだけなら耐えられた筈だ。どんなにパティが厳しく接していても、嫌われてしまっただなんて思わなかった筈だ。


 けど今は違う。嫌われたから厳しくされるのだと思い込んでいる。だから逃げ出してしまった。何よりパティに嫌われるのが耐えられなかったから。面と向かってお前の事なんか嫌いだと言われているような気持ちになってしまったのだ。


 心が読めなくてもわかる。ユーシャの考え方は誰よりも私が知っている。


 だからって今回ばかりは優しい言葉もかけられない。一緒に逃げ出そうなんて言える筈もない。自分が悪いとわかっているのに同じ失敗は繰り返せない。だから今度こそだ。私も心を鬼にしよう。追い詰められて泣いている娘に厳しい言葉をかけるとしよう。……やだなぁ。



「ユーシャよ」


「っ! (ふるふる!)」


 私の声のトーンが変わった事には気付いたようだ。驚いて酷く怯えながら首を激しく横に振った。



「枕にしがみついておらんでこちらを向くのだ」


「嫌!!」


「なあ、ユーシャ。パティはきっと待っているぞ」


「~~~」


「ユーシャになら必ず出来ると言っておったではないか」


「……」


「今も信じてくれているのだ」


「……」


「パティはお前を嫌いはならん。しかしお前は違うだろう」


「っ! そんなこと!」


「パティに嫌われてしまったと思い込むだろ。そんな自分の感情に潰されてしまうだろ」


「……」


「だから立てる内に立っておけ。時間が経てば辛くなるぞ。パティへの申し訳なさで身体は更に重くなるぞ」


「……」


「後になった方がもっと辛くなるのだ。そうやって一生後悔し続けるつもりか? あの時パティと仲直りしておけばと自分を責め続けるのか? そうなってからでは遅いのだぞ? その時私は……ユーシャの隣にはおらんかもしれんのだぞ」


「っ!? 何言って!?」


「私達には大切なものが沢山出来たのだ。私はパティの温もりを決して忘れられはしないだろう。例えユーシャの為であったとしても、皆を置いて共に行く事は出来ぬかもしれん」


「ダメッ!! そんなのダメに決まってるじゃん!!」


「ならば立て。もう一度教えを乞おう」


「っ! エリクが教えてくれればいいじゃん!!」


「それは出来ん」


「なんでよ!? エリクもなの!?」


「違う。私には扱えん。パティは私の力も封じているのだ」


「なにそれ!?」


「魔力と同じだ。神の力は魂より湧き出すものだ。だからユーシャもその力を扱えるのだ。魂がパティの力で囲われた私では力を扱う事が出来ぬのだ」


「……ひどい」


「ユーシャ」


「……私はもう一番じゃないの?」


「もちろん一番だ」


 すまんな。厳しくしてやろうと思ったが、その質問にだけは……おや?



「……嘘つき」


 本気で信じてない? 先程ついて行かんと言ったから? それとも私が一度はユーシャを拒絶したからか? ユーシャは本気で私にも嫌われたと思っているのか? これは逆効果か……。



「ユーシャ。もう一度旅に出ないか?」


「……なに突然」


「よく考えたらこうして心が通じ合わぬのも懐かしいだろ。これも良い機会だ。昔に戻った気分で過ごしてみよう。パティにもそう伝えてな」


「……その身体出られないんでしょ?」


「別にそこは構わんだろ。多少図体がデカくなっただけだ。私はなんの手も出さん。出すのは口だけだ。それで条件は同じだ」


「全然違う」


「ならパティに移してもらおう。今もお前が首に下げている薬瓶に私の魂を入れてもらおう。直に観察してみたいとでも言って頼んでみよう」


「……意味ない」


「意味ならあるさ。少し昔を懐かしむだけだ。私達の始まりの日々をもう一度過ごしてみよう。そうして得たものの大きさを改めて噛み締めてみよう。初心は大切だ。道に迷ってしまった時こそ見つめ直してみるべきだ」


「……」


「まあ細かいことは気にするな。これはただのサボりではないという言い訳だ。そう思えばいい。私に任せておけ。私が時間を稼ぐ。ユーシャが立ち直れるまで見守っている」


「……」




 パティに願い出るとあっさりと許可を出してくれた。とは言え三日だけだ。期日を定める事でパティ自身も言い訳を補強してくれた。更には課題まで出してくれた。ユーシャにもう一度チャンスを与えてくれた。


 私が言えた事じゃないけれど、パティも大概ユーシャには甘いものだ。本当に言えたことじゃないけれど。



 私とユーシャは二人で森に籠もることにした。


 パティ達と離れ、ささやかなキャンプを始めた。


 ユーシャは以前のように話しかけてくれるようになった。


 懐かしの薬瓶に収まった私を握りしめ、時には覗き込んで話しかけ続けていた。

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