07-07.スライムキングダム
「なんだこれは……」
「「「「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」」」」
そうか……あのトロッコはアウルム達が作ったのか。
というかいつの間に増殖したのさ。しかも全部ゴルドスライムだし。何故か人型だし。全員幼女だし。流石にゴルドキングはアウルムだけっぽいけど。
山エリアの地下深くには大都市が築かれていた。スライムたちが何故か人の姿を真似て生活を営んでいる。よく見ると少し家が小さい。全部幼女サイズだ。シュテルやキャロちゃんにはぴったりだけど、私達では家に入る事も難しそうだ。
私がトロッコを降りて近づくと、スライムたちが集まってきた。その内の一人が私の手を引いて駆け出した。
私達の周囲を幼女スライム達が燥ぎながら駆けていく。行く手には巨大な城が見えている。あれだけ人間向けのサイズだ。たぶん、いや、間違いなく私の為に作ってくれたのだろう。
トロッコと同じだ。最初から招いてくれるつもりだったのだ。アウルムが山へ行きたいと言い出したのも、何かしらの準備が整ったからという事なのだろう。
案の定城の中に連れていかれた私は、誂えたようにぴったりな玉座に座らされた。幼女スライム達は広大な謁見の間を埋め尽くして整列し、何かが始まるのをワクワクとしながら待ち始めた。
「カチャン」と音を立てて照明が消え、「パチッ」と音を立ててスポットライトが落とされた。私に。
続いて「ジャカジャカジャカジャカジャカ」とドラムの音が鳴り出し、もう一つのスポットライトが幼女スライムたちをランダムな動きで照らし始めた。
『『何やってんの?』』
さあ? けどほら。良いところだから。ちょっとワクワクしてきたでしょ。
「バァンッ!」とシンバルの音が鳴り響き、もう一つのスポットライトがある一点を指し示した。
『『上!』』
吹き抜けの上の階に少し突き出した部分があり、そこに立った一人の少女が照らし出されていた。
「♪」
少女は私と目が合うとニコリと微笑み、両手を広げて飛び込んできた。
私は立ち上がって受け止めようと手を広げたが、少女が私に到達するより先に私の腹部からアウルムが飛び出した。
『『なに……それ……』』
空中でアウルムと衝突した少女はそのまま私の腕の中に飛び込んできた。どうやらアウルムと融合したらしい。
いや、違うか。この少女はアウルムの身体なのだ。私と同じだ。アウルムは私を真似たのだ。今までに採取した魔物素材で同じように人型キメラを生み出したのだ。
「えへへ♪ まぁすたー♪」
少女は嬉しそうに額をグリグリ押し付けてきた。
「アウルム」
「うんっ♪ えへへぇ~♪」
「本当に驚いたぞ」
「やったぁ~♪ だいせーこー♪」
『『……』』
ユーシャとゆーちゃんが何か言いたげだ。まさかこの状況で増えるとは思ってもいなかったのだろう。私もだ。
「まぁすたー」
「なんだい?」
「だぁ~いすき!」
「そうかそうか。嬉しいぞ、アウルム」
「えへへ~♪」
『『……』』
今回ばかりは……。
『『後で話があります』』
はい……。
『それはそれとして』
『今は素直に褒めてあげなさい。アウルムが頑張ってくれたんだから』
うん。ありがとう。
「いこ!」
「うむ!」
アウルムが私の手を引いて駆け出すと、幼女スライムたちが道を作って送り出してくれた。
「どこへ行くのだ?」
「うえ♪」
城の最上階に向かっているようだ。きっとこの国を見せたいのだろう。最も見晴らしの良い場所から眺めてほしいのだろう。ふふ♪ アウルムが楽しそうだ♪
スライムキングダムは愉快な国だ。
誰もが楽しそうに燥ぎまわっている。おとぎ話に出てくる楽園みたいだ。きっとこの国には法律も仕事も無い。各々が人の生活を真似て、好きなことを好きにやるだけだ。
アウルムこそがこの国の真の女王なのだろう。この国の民は以前アウルムが吸収したスライムたちなのだろうか。或いはアウルムが生み出した者達なのだろうか。折角話が出来るようになったのだし、色々と聞いてみるのも悪くない。
「すごいっしょ~♪」
「うむ! 流石は私のアウルムだ!」
「えっへ~ん♪」
「ふふ♪」
「みて! まぁすたー!」
「うん? なっ!?」
広場の中央に巨大な銅像が寝かされている。それを幼女スライム達が紐を引いて土台に立たせようとしている。わざわざそれをしなくても軽く持ち上げられそうなのに、「うんしょ♪ よいしょ♪」と楽しそうに乗せていく。
「が~んばぇ~~~!!!」
「「「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」」」
アウルムの声援に幼女スライム達が手を降って答えた。一瞬紐が緩んで銅像が倒れ掛かるも、ギリギリのところで持ち堪えた。
「あはは~♪」
「「「「「「「「「「「♪♪♪♪♪」」」」」」」」」」」
楽しそう。
「まぁすたーも!」
「うむ! 頑張れ~~~~!!!」
「「「「「「「「「「「「!?!」」」」」」」」」」」」
あ。




